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村上龍最新対談本

我ながらすごいタイトルの本を買ってしまいました。
村上龍「人生における成功者の定義と条件」
龍さん、このノリはBig Tomorrowですから!

対談が好きなので、気になった対談本は必ず買うようにしている。
それで買ったわけであって、タイトルに魅かれてとかじゃないです。
これ、電話注文とかだと書名が恥ずかしくて言えないかも…。

正方形の珍しい版型と、カラフルな紙を使った中身。
あえて軽いトーンにしているのがうかがえます。
対談の相手は5名。

「建築家」安藤忠雄
「科学者」利根川進
「社長・CEO」カルロス・ゴーン
「大使・教授」猪口邦子
「プロ・スポーツ選手」中田英寿

まあそうそうたる顔ぶれ、と言わなければなりません。
まず対談前に村上龍が立てた仮説は

「人生の成功者とは、生活費と充実感を保証する仕事を持ち、
 かつ信頼できる小さな共同体(コミュニティ)を持っている人」


視点としてこれはかなり健康的というか正しいというか妥当と思いますが、
実際に以後の対談においても、このテーゼをなぞる感じになっています。
ただそこに安藤忠雄なら安藤忠雄の、中田英寿なら中田英寿の
「経験を通して得た実感」の話が収められています。

「うまくいってる人というのは、圧倒的にポジティブな考え方の人が多い。
 物事をネガティブに捉えてうまくいくケースというのはあまりないと思う。
 シェフチェンコが、失敗したらどうしようなんて考えてるとは思えない。
 (うまくいく)イメージを描ける人は強いですよ。仕事でも私生活でも、
 こうなるだろうとイメージできる人はその可能性を広げることができる。
 逆に曖昧なイメージしか持てない人は、何をやっていいいのかわからない。
 自分が何をやっていいのかわからない人は一番弱い」(中田英寿)

「ある目標があって、そこへ向かって一生懸命努力しているときに、
 人間はハッピーに感じるんです。人間の脳はそういうふうにできている。
 それで目標に到達しちゃうともうハッピーじゃないから、
 次の目標が必要になってくるんです」(利根川進)

日本が高度成長期にあった時代の「成功」と今の「成功」とではニュアンスが違う、
そういった意味であえてタイトルに「成功者」と入れた、と著者は述べています。

結局お金だけじゃなくて、時間の使い方、充実した時間を過ごせたかどうか、
朝起きた時になにかやるべきことがあるかどうか、
自分が好きなものを自分自身でわかっているかどうか、
他人に必要とされてるかどうか、自分が愛情を注げるなにかがあるかどうか、
そういったことだと思うんですけどね。それは「幸福」の条件みたいなものに近い。
だから最初のテーゼに収束していくんですね。

「人生の成功者とは、生活費と充実感を保証する仕事を持ち、
 かつ信頼できる小さな共同体(コミュニティ)を持っている人」

というのが結論です。この本。はい。


あと、挟まっていたシオリが「村上春樹 アフターダーク」だった。
なんか可笑しかった。
by shinobu_kaki | 2004-09-21 11:05 | shinoBOOKS

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by Shinobu_kaki
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