「華氏911」レビュー

恵比寿ガーデンシネマで「華氏911」を観てきました。

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封切りからずいぶん経ったからなのか、
朝10時半と早い回だったからなのか、

ガラガラでした。いつかの行列はどこへやら。

映画に関してはテンポがよく、そして「へええ」と思うこともあったものの、
結局主張的コラージュ・ドキュメンタリー・フィルム。

カンヌパルムドール?これが?というのが正直な感想。

仮に日本に、すべての新聞を対象にした権威ある賞があったとして、

なみいる一般紙をさしおいてタブロイド紙が受賞した、
そんな例えがあてはまるでしょう。

マイケル・ムーアの危機感、そして主張はよく分かるし、
今のアメリカの暗黒面をするどく突いていると思う。
そして何よりパワーがある。
カンヌ受賞云々については審査員が決めることだからあれこれ言うことはない。
べつにカンヌに思い入れがあるわけじゃないし。
ただこれ、「映画」というカテゴリーで判断してよいのか?とは思った。
結局、ムーア氏としては世界の一人でも多くの人にこの「主張」を見てほしくて、
そういった意味ではカンヌを席巻したという事実は、
ムーア氏にとっては「まんまと」という感じじゃないでしょうか。

いつからか勝手に「戦争はもう核の時代だから」と思い込んでいた。
ボタン一つで消滅か否かという状態なのだと。
しかし、人が人をこの手で切り刻む、痛々しい白兵戦はいまだに行われている。
中には「デビルマン」の魔女裁判のシーンのような、
凄い映像が入っていた。トラウマ必至。でもこれが、現実。


それより今回の収穫は「予告編」。


さすが恵比寿ガーデンシネマ、と唸らざるをえない、
魅力的な映画のラインナップがぞくぞくと。
はっきり言って本編よりこっちが良かったです。どの映画もイイ!
まとめてご紹介しましょう。


●モーターサイクルダイアリーズ●
キューバの「世界でもっとも美しいゲリラ」チェ・ゲバラの
23歳の時の南米縦断旅行を綴ったロードムービー。

はっきり言ってこれは必見。

アマゾン川、アンデス山脈、マチュピチュ遺跡、果てしなき草原…。
バイクで南米を駆ける、のちに世界のカリスマとなる若きゲバラの物語。
ガス・ヴァン・サントを思わせる、ざらざらとした質感の映像。
ロバート・レッドフォード製作総指揮。
主演は“ラテンのブラピ”(←これはどうか…)ガエル・ガルシア・ベルナル。
そして監督は「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス。
10月9日より公開。くり返すが、必見。


●ピエロの赤い鼻●
スピルバーグがリメイク権をすでに買っているという一作。
舞台はドイツ占領下のフランス。
街の公民館で毎週日曜日、ピエロとなって人を笑わせている父親。
息子はそんな父親を好きになれずにいた。
でも息子は知らなかったのだ、なぜパパがピエロになったのか…。
ストーリーとしてはシンプル。でもシンプルなほど泣けるのが映画。
ただ予告編が説明過剰で、

観る前からプロットが全てわかってしまう

のはどうかと思うが、すでに「超名作」の匂いがぷんぷん。
そしてスピルバーグがこしらえるハリウッド版は、
残念ながらどうしても駄作になるという、そんなパターンなんだろうな。
これはね、きっといい意味で裏切られる「観て良かった」と思う映画になると思う。
根拠のない確信があります。僕は観ます。10月9日より公開。


●イブラヒムおじさんとコーランの花たち●
モモは13歳。父はいない。母の顔も知らない。笑顔を忘れたモモ。
そんなモモがある日万引きした書店、
そこの店主のトルコ人イブラヒムが唯一モモを受け入れた。
「なぜ笑わない、笑うことで人は幸せになれるんだ」
実の親子のようになっていく二人は、イブラヒムの故郷であるトルコを目指す。
イブラヒムおじさんはあのオマー・シャリフ。
思えばシャリフもかなりのおじいちゃん。

ということはいつ死んじゃうかわかんない、

そんな「森繁的」な意味でも必見の映画。
トルコの風景が美しく描かれています。2005年正月公開。


●モンスター●
2002年に死刑となったある女性の真実を綴った実話。
「超演技派」主演のシャーリーズ・セロンが演じるのは、
不幸な環境で育ったゆえに娼婦として生きる術しか知らなかったアイリーン。
彼女は続く不幸な境遇に負け、アメリカ初の女性連続殺人犯として身をやつしていく。
共演に「バッファロー’66」のクリスティーナ・リッチ。

いやー、もうね。痛いです。予告編だけでじゅうぶん痛い。

ちょっと「ボーイズ・ドント・クライ」のラスト以上に痛いかも。
「ずーん」とくること間違いなし。もう予告編だけで半泣きです。
ちなみにシャーリーズ・セロンはこれでアカデミー主演女優賞を受賞。
体調を整えて行きたい一作。
9月25日、渋谷シネマライズにて公開です。
ところでファンが多い(特に女性ファン)クリスティーナ・リッチだけど、
僕はいいと思ったことがないです。
どうなの?クリスティーナ・リッチ。




結局「レビュー」と言いながら
本編の「華氏911」がおまけのような扱いに。
まあ、しょうがないね。今回の収穫は予告編にあり。
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Tracked from VIVA!ちどりあし at 2004-10-04 17:15
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Tracked from マチダタイムス at 2004-10-07 01:43
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Tracked from msunjhc at 2006-09-09 20:31
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Commented at 2004-09-26 02:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by shinobu_kaki at 2004-09-26 07:28
>鍵さま

トップの写真、一瞬違うのにしてたんですけど、
友達から「エロい」という指摘があり(笑)、
そして僕も「…これは微妙…」と思っていたので、
ソフト路線に変えたんですよ(笑)
Commented by kyon at 2004-09-26 08:17 x
森繁的 …(笑)
あのめまぐるしい映画を観た後で
何と何の予告編があったかちゃんと覚えている記憶力に感服です。

ヨン似と思ったこと実はなかったけど、
トップのこの写真は似てますね〜
Commented by shinobu_kaki at 2004-09-26 11:42
>kyonさま

まあ、チラシ持ってきましたし(笑)
でも予告編でかなり「おお!」と思いました。
それに比べると華氏、
面白いんだけどちょっとスクリーン向けじゃないような。

>トップのこの写真は似てますね〜

し…しまった…。
Commented by のこのこ at 2004-09-26 22:26 x
華氏911、ほんっとにつまんなかったっすね。
パルムドール取ったときはお祝いにブログネタにもしたくらいだったけど、実際見に行ってみりゃあまりの幼稚さに、「なんじゃゴルァ!今更こんなもん見せやがってオリャ~!」ってかんじだったもの。

でもパルムドールには賛成。オタクのタラちゃんがあの映画を本気で「映画として最高に面白い」なんて思ったなんて絶対大ウソ。あの映画をパルムドールにすることが最高に面白いわけでしょ。アンチハリウッド。アンチディズニー。
まさにオタッキータラちゃんの世界に対する「ふさわしい貢献 支持求める」最高のパフォーマンスだわよ。

ところで、その写真、似すぎです。狙ってるとしか思えないからハズカシー。けどあえてそれも、いいかも。
Commented by shinobu_kaki at 2004-09-26 22:39
>あの映画をパルムドールにすることが最高に面白いわけでしょ。

タラ夫も「カンヌ審査委員長」という立場を借りて、
「まんまと」かましたってことですかね。
まあ「賞の権威」ってのも有名無実、
利用してなんぼ、な世界に過ぎないのかもしれませんね。
以前クリント・イーストウッドが委員長の時に、
アルトマン「ショート・カッツ」らを差し置いて、
「パルプ・フィクション」がカンヌを獲った経緯があるんで、
(いや「パルプ・フィクション」は相当フェイバリットだが)
今回はタラ夫が委員長ってんで、どんなのを選ぶのかなと。
そしたら作品は「華氏」、主演は「誰知ら」でしょう。
まあタラ夫らしいといえばタラ夫らしい。

あと、写真の件、

>狙ってるとしか思えないからハズカシー。

まっっっったく意識してなかった、
と言っても信じてはもらえなさそうですから、やめます(笑)
Commented by みかち at 2004-09-27 14:11 x
キミからの×批評を受け、ソッコー見ることを取りやめた華氏911。
代わりに何か見に行こうと思いつつも、適当なのがなくて。
今ちょうど谷間みたいね。

「モーターサイクルダイアリーズ」はチェックしていた。
ラテンブラピ、確か去年カンヌで「これからの活躍が期待できるで賞」みたいなの受賞してなかったっけ?
「モンスター」も外せないわね。

クリスティーナ・リッチは好き。作品選球眼があるし、あのムチムチ具合もいい。
「バッファロー’66」の包容力のあるロリ娘は彼女にしか出来ないと思われ。

後、話は変わるけれど「オールド・ボーイ」も絶対見たいんだよねー。
11月からだからマダマダだけど。
Commented by shinobu_kaki at 2004-09-27 15:05
>みかち911

率直に言って「×」だったからなあ。
どこがどうこうじゃなくて、観た印象、「観後感」が×。
でも自信あるけど、君にもヒットはしないと思われ。
観に行くつもりだったとは思わないでメールしちゃったけど(笑)

作品選球眼と言えばジョニー・デップだよね。
あと、違う意味でスティーブ・ブシェーミ。
悪球打ち(笑)

オールドボーイはシュリの監督かあ。
シュリ、なんか好きだったな。
誰が主役かわかんないルックスの男優とか(笑)
ベタだけど、結構泣けたね。
でもこれがカンヌグランプリ獲ってたとは。
今回は委員長のタランティーノのある意味遊び場だったわけね(笑)
by shinobu_kaki | 2004-09-26 01:53 | 人生は映画とともに | Trackback(3) | Comments(8)

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