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「らくだの涙」レビュー

母親にとって初めての出産は、難産だった。
産みの苦しみは何日間にもおよび、周りはどうにかできないものかと手を尽くした。
数日目にようやく、無事、元気な子供を産むことができた。
しかし問題があった。
愛おしいはずのわが子を、母親は見ようともしないのだ。
ノイローゼかもしれなかった。
出産のショックがあまりにつらすぎたのかもしれない。
周りの人間が産まれたばかりの子供を近づけても、どうしても逃げてしまう。

しかし、授乳はしなければならない。

とりあえず、周りの人間が疑似的にお乳を飲ませるしかない。
それで一応の栄養は与えられる。
しかし、このままでいいはずがない。
子供が母親の愛情を受けずに育っていいはずがないのだ。
周囲がさまざまな努力を試みても、一向に母親は回復しない。
子供を愛そうとする様子はどうしても見られない。

距離の縮まらない、らくだの親子。

母親の「出産ノイローゼ」を解消するため、ある伝説の療法が採用された。
そして、その方法はとても意外なものだった。


音楽。




以前から、なぜか良作の確信があって観に行きたかった映画。
モンゴル南部、ゴビ砂漠にラクダや羊とともに住まう遊牧民達。
砂漠に沈む巨大な夕日、吹き飛ばされそうな砂嵐、
ラクダの出産、幕舎(ゲル)での遊牧民達の生活など、
なかなか目にする機会のないものがスクリーンに展開され、
セリフと音楽のほとんどない映画ながら退屈さを感じさせません。
名門ミュンヘン映像大学に通う学生2人が、
共同の卒業制作として作ったドキュメンタリー。
それにしても、モンゴルの人はみんなあんなに声がいいのか?(笑)
映画終了後、それほど入っていたわけでもない映画館のあちこちから、
たくさんのすすり泣く声が聞こえてきました。良作。

「らくだの涙」レビュー_a0022014_1318404.jpg


「らくだの涙」(2003年/ドイツ)
 原題:The Story of the Weeping Camel
 監督:ビャンバスレン・ダバー、ルイジ・ファロルニ
    インゲン・テメー(親らくだ)
    ボトック(子らくだ)
    オーガンバータル・イフバヤル
    オドゲレル・アユーシ
 マイアミ国際映画祭優秀ドキュメンタリー賞
 サンフランシスコ国際映画祭国際批評家賞
 ブエノスアイレス国際映画祭観客賞
 配給:クロックワークス
 字幕監修:旭鷲山昇
 らくだの涙・公式HP


 
by shinobu_kaki | 2004-10-18 10:50 | 人生は映画とともに

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by Shinobu_kaki
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