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雨男。

「雨男(または雨女)」と呼ばれる人がいる。
外出の際、なぜだか雨になる比率の高い人がそう呼ばれる。
ちなみに僕は比較的「晴男」(ハルオじゃなくてはれおとこ)だが、
「雨男」と呼ばれる人は印象的にウェットなタイプの人が多いように思う。
だがたとえ、カラッとした人柄であったとしても、
統計上圧倒的な「雨率」を誇るのであれば、
キャラクターに限らずその人は「雨男」の称号を頂戴するのであろう。

いわゆる「雨男」と呼ばれる人は、
イベントなどのケースにおいては忌避される傾向が強い。
世の中のイベントは好天が望ましいものがほとんどであり、
「雨でなければ成立しないイベント」というものは皆無だからだ。
ピクニック、キャンプ、ドライブ、海水浴…。
特にアウトドア系においては、好ましくないというレベルを超えて、
「雨?中止中止!」ということになりかねない。
だが「雨男」に罪はない。

もしも「雨男」が科学的数値的に証明できるのなら、
いっそ政府主導でもって「雨男100人隊」なる団体を結成し、
世界の、干ばつや日照りで困っている地域へ派遣するというのはどうか。
「雨男」は一人でも局地的に雨を降らせてしまうのだから、
100人も集まればそりゃーあんた、かなりの雨量が見込めるに違いない。
「AMAGOI」は世界の共通語になるだろう。

冷たい空気と暖かい空気がぶつかると、雲ができて、雨が降る。
湿った暖かい空気を産む海と、冷たく乾燥した空気を産む大陸の、
ちょうどはざかいの位置に出島のように寝そべる日本は、宿命的に雨が多い。
「日本の四季」とよく言うが、正確には「五季」だ。
春、梅雨、夏、秋、冬。
ちょうど今の季節を「台風季」として「六季」と数えてもいいかもしれない。
つまり、それほど雨が多い。
赤道付近的な激しいスコールならまだあきらめもつこう。
だが日本の雨は長く、しとしとと、優しい。

カーペンターズの曲に
「雨の日と月曜日は(Rainy Days And Mondays)」という曲があるように、
雨の日は気持ちが沈んで憂鬱になるという人も多い。
雨は、それはそれで悪くないが、
雨が降るということは太陽が出ていないということで、
気持ちとしてはダウナー傾向になってしまう。
雨にはしゃぐのは、新しい傘や長靴を買ってもらった子供と、
前述の乾燥地帯の人々と、ジーン・ケリーだけだ。


実はここからが本題なのだが、
雨の降る日にいつも思うことがある。

傘のことだ。

雨の日に出歩く時には皆、傘を差す。
(「雨合羽派」は少数なのでここでは無視させていただく)
傘を差すと、確実に片手がふさがって荷物が持ちづらいうえに、
横雨に対して足元が無防備なため、ひざ下がしっかり濡れてしまったりする。
雨具として純粋に難がある。
しかも、いつもいつも持ち歩くものではないがため、
帰りに雨があがろうものなら、うっかり忘れてきてしまったりする。
電車の忘れ物の一位は、携帯電話をおさえていまだに傘だそうだし、
店先の傘立てに置いたはいいが、誰かに持ち去られはしないかと不安になる。
自転車などに比べ、圧倒的に軽い気持ちで盗まれてしまう傘。
だが盗まれたほうはたまったものではない。
降り続く雨の中、帰りはどうするのか。
そう思うと、あまり高価な傘を持ち歩くことに躊躇してしまう。
(いや、そもそもそんな高価な傘は持っていないのだが)

それにしても、我々の雨具はいつまで傘なのだろうか。

携帯電話でテレビが観られる時代、
こんなシンプルでアナクロで不完全で忘れがちな道具しか、
我々には与えられていないのだろうか。
もっとこう、なんかさあ、雨の日でも濡れずに済んでかさばらなくて忘れない、
そんなエポックメイキングな道具は他にないものだろうか。
急な雨でもスウェードの靴でさえ濡れずに済む、
セットした髪の毛が望まぬ方向にくるくるしないで済む、
そんな21世紀的なツールはまだ発明されていないのだろうか。
待ちわびてやまない。

こうなったら有志でもって、
「『いつまでも、傘じゃない』実行委員会」を結成し、
月に一度か二度の割合で会議を開き、
「問題は携帯性だ」
「階段で傘を横に持たれると、後ろが危なくてムカツク」
「じゃあビール追加ね。ピッチャーで」
などと真剣に語り合うのはどうだろうか。

雨の多い、日本の未来へ向けて。
by shinobu_kaki | 2004-10-20 12:42 | ライフ イズ

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