良き人生の定義。

「良い映画の定義とは何ですか?」
「意図通りにつくられていること」

先日、こんなやりとりを目にした。
なるほど、そうかもしれない。
良い映画の定義とは、意図通りにつくられていること。
制作者の意図が正しく表現されていること。
つまりイメージと表現がきちんと合致していること。
特に、映画はテクニックだからね。

では、こうしてみたらどうだろう。
「良い人生の定義とは何ですか?」と。

映画の話に照らすとこうなる。
「良い人生の定義とは、その人の意図通りであること」
さて、どうだろうか。これは違う気がする。
映画と人生は違うのだ。
むしろ真逆な気すらしてしまう。

もちろん、人が人生について強くイメージを持ち、
その通りに物事が進むことは素晴らしい。
計画し、実行する。
それゆえ破綻がない。
しなくていい苦労をせずに済む。
それは、このあまりに不確かで恐ろしい世界にあって、
ひとつの「成功」とすら言えるかもしれない。
ただ、それを「良い」とするかどうかはまた別じゃないかと思う。

結論から言うと、
人生が良いものであるかという問題は、
僕は「受け入れられるかどうか」にあると思っている。

つまり不確定要素をサプライズとして受け入れられるかどうか。
納得できるかどうか。
「それもまたひとつの結果」として、自分のものにできるかどうかだ。

精一杯膨らませたイメージを上回る現実に出会い、
驚き、世界の広さを感じ、またイメージする。
そのほうが豊かであると言えるように思える。
だって、人間ひとりのイメージの範疇にすべて収まる世界なんて、
ちょっと小さすぎるじゃないか。

とある詩人は言った、
「世界を1とすると、人は必ず1以下である」と。
そして、
「1以下ではあるが、1以上であろうとする働きがすべてだ」と。

良き人生というのはそのようでありたい。
自分の生きている世界が自分の想像も及ばぬものであって欲しい。
相対的に自分のちっぽけさを感じるほどの、
打ちのめされるくらいの巨大な世界であって欲しい。
生きるとは結局のところ出会いなのだ。
サプライズのまったくない出会いなんてつまらない。
そして、可能性は見えないことの中に、
つまり無明の中にこそ新しい希望はあるものなのだ。

そう思っている。
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Commented by にゃら at 2011-04-23 13:02 x
先日、たまたまNHK教育でニーチェの「超人」をわかりやすく解説していたのを観たんだけれども、その内容は難しいながらも、この記事を読んでその「超人思想」を彷彿させた。ニーチェはその中で「過酷な試練をも欲せよ、そうすることでその人は超人になり得る」と言っていたけれども、なかなか至難の業だ。
でも、木を見ず森を見れば、人生ってそういうものなのかもしれないね。何もない世界から色んな事が起こっていく。
Commented by shinobu_kaki at 2011-04-23 18:32
>にゃらさん

たとえば、ドラマチックな人生なんてものはなくて、
人生をドラマチックに捉える感受性があるだけなんじゃないか、
みたいに思うんですよね。

なんというか、人間が自分ひとりで選んだつもりのことなんて、
たいそうちっぽけで、たかが知れてるんじゃないかとすら。

少なくとも、世の不幸とは、
「自分>世界」という認識から起こるのでは?
なんて思ったりね。
by shinobu_kaki | 2011-04-23 08:06 | ライフ イズ | Trackback | Comments(2)

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