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夢五夜。

夢を見た。

僕は仕事で、とある学校の一室に来ていた。
ある月刊誌の取材だ。
女性タレントのインタビューと撮影。
まだそれほど売れてはいないが、映画出演の話もちらほら来ており、
女優としてのこれからが楽しみなタレントだ。

授業中なので校内は静かだが、
誰もいない空間とはまた違った種類の沈黙だ。
そういうことはよくわかる。
大勢の強い気配だけを感じる。
だが、咳(しわぶき)ひとつ聞こえるでもない。
優秀な生徒たちなのだろう。
もしくは大人しいだけかもしれない。
なんにせよ、撮影には都合がいい。

現地集合なので、スタッフどうしがまず挨拶をする。
タレントと、その男性マネージャー。
クライアントの中年男性と、その部下らしい30代の男性。
制作スタッフ側は、デザイナーである僕と、ライターの女性。
あとはカメラマンだが、まだ来ていない。
僕は彼のことを知らない。仕事をするのは今回が初めてだ。
カメラマンが来ないと、撮影ができないじゃないか。何をやってるんだ。
その瞬間、ドアが勢いよく開いてカメラマンが駆けつけた。
カメラマンは、弟だった。

初対面の相手が弟、という状況はなんらかの驚きがあってしかるべきだが、
不思議とそれはなく、
彼は僕の弟であり、(知らなかったのだが)カメラマンだった。
弟は遅れてきた非礼を詫び、名刺を配る。
みんなはそのまま名刺を受け取り、とくにリアクションはない。
しかし、おかしくないか?

僕と弟の名字はとても珍しく、そこらにある名前ではない。
それに、顔もとてもよく似ているのだ。
おそらく兄弟にしか見えない。
それなのに、どうして誰も「兄弟ですか」と言わない?
どうして他人だと思うんだ?

さあ、そろそろ始めませんか。この子もスケジュールが詰まってるんでね。
マネージャーがそう言った。
弟がカメラをセットし始めるのを、僕は奇妙な心持ちで眺めていた。
by shinobu_kaki | 2004-11-26 01:38 | 夢十夜

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by Shinobu_kaki
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