赤坂真理「コトバとカラダ」

後藤繁雄 じゃあ、コトバとカラダとどっちが好き?

赤坂真理 身体かな。私ね、この世で一番好きなコトバっていうのが
 『気狂いピエロ』の中に出てくるアンナ・カリーナのセリフで
 『私の望みは生きること』っていうやつ。やっぱ身体かな。

後藤 いいね、それ。

赤坂 ただ身体のことについて考えるのが並外れて好きなんだと思う。
 考えるのにはコトバがいるからね。

後藤 なるほど。

赤坂 それからね、なんでそう言ったかというと、今書いてる小説の中で、
 コトバじゃないんだけど「記憶なんていらない、身体があればいい」っていう
 一節があるんだ。そういう意味で身体。

後藤 身体はウソをつかない?

赤坂 それもキャッチコピーっぽい嘘だと思うけどね。嘘つくよ、身体も。
 というか言葉に言いくるめられて動くときがある。
 ただ身体のほうが、嘘に対する許容量が小さい。
 身体のほうが、ある容量超えると壊れ方が機械的。
 ところで、嘘言ってる人って私わかる。

後藤 わかるの?

赤坂 うん。この嘘はね、例えば妄想とは違うの。
 分裂症の人の言うこととか文章とかホントだよ。あれは彼らの生きてる、
 すごく強度のある現実。でも思ってもないことを言ってる人っていうのはわかる。
 言葉が身体とずれてて、なんとも言えずいやーな感じ。
 言葉のほうを信じたくて、努力する時っていうのもあるけど、
 結局だめになっちゃう。

後藤 自分は書いてる時はウソをつかない?

赤坂 うん、書いてる時はウソはつかない。身体と言葉がすごく近い。
 書いてない時の私は、だらしなくて
 安易なコミュニケーションすることもあるんだ。
 でも書いてる時の私は嘘つかない。
 コトバが身体の直轄にあるっていうのかなあ。切り離せない。


後藤繁雄対談集「彼女たちは小説を書く」より



女性作家って、ときどきシャーマンみたいに思う時がある。
もちろん、人にもよりますけど。
本質(というか、虚偽)を見抜く目が鋭くて、
コミュニケーション表現に妥協せず、
そしていろんなことを絶対に忘れない。
怖いと言えば怖いとも言える。

ちなみに「シャーマン」と聞くと僕は、いつも松任谷由美を思い出します。
最近の彼女は知らないが、以前はとてもシャーマン、
というか巫女っぽい感じがした。
状況を把握している人が持つ独特の自信があって、
発する言葉は常に箴言のような感じ。

感覚的な「直感を信じる」ことの自信というのは、
「学習」ではたどり着けない境地だと思う。
これは男性よりも、女性のほうが得意な部分なんだろうな。
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Commented by いづみ at 2005-01-10 14:21 x
久々の一番のり!

以前、葉月里緒菜が
「女優は裸を見せればいいけど
作家は心の中をさらけ出すわけだから、私にはできない」と言っていた。
その時私は「裸の方が恥ずかしいじゃん!」と思った記憶が。

>本質(というか、虚偽)を見抜く目が鋭くて、

私は、嘘というか「狡さ」みたいなものがすぐに目についちゃうんだけど
これは人間不信に陥りやすく、あまり幸せなことではない。

そういえば「冬ソナ映画化」計画が韓国で浮上しているらしい(涙)
主役はヨン様以外でという話らしいけど
ヨン様以外の男が演じる「冬ソナ」って、一体、誰が観るんだろう?

Commented by おち at 2005-01-10 15:37 x
うーん。


松任谷ユミに関して言うと、

ファミレスでカップルとか女子高生の会話聞いて歌詞に生かしてる、とか
そういうエピソードばっかり漏れ聞いてたんで
マーケティングの人ってイメージが強いですねえ。

Coccoとか、ユタっぽくてまさにシャーマンって感じがしますけど。
Commented by kyon at 2005-01-10 16:07 x
松任谷由美は、描かれた場面の空気感を表すのがすごいと思います。
「ロッジで待つクリスマス」とか「最後の春休み」とか。

たしかに、マーケティングの人みたいなイメージはなくはないですね。

ずっと前にどこかでユーミンが(正確な言い回しは忘れたけど)
「“あ、このパターンで何曲か作れるな”って思うけど、
 『ひこうき雲』だけはそれがない」って言ってるのを読んで
面白いなと思ったことがあります。
ずっと沢山仕事で作るなかで、作者と曲との関係もいろいろなんだなと。

マーケティングといえば、最近はあまりそう思わないけど
一番売れてた頃のドリカムのことはそう思ってました。
Coccoは、聴いてるうちにじわじわ効いてきて
ずーーんと重い気持ちになってしまうので、聴かなくなりました(私は)。
Commented by おち at 2005-01-10 16:44 x
なるほどそうですね、「場面の空気感」もそうですし、
的確なフレーズをチョイスする妙は感じますね。

そんな、「直感を信じる」鋭敏さは群を抜いているんでしょうね~。
Commented by えいこ at 2005-01-10 20:56 x
> 「言葉が身体とずれてて、なんとも言えずいやーな感じ」

これ、すごくわかります。
自分でもあります。あれ、何かヘン。って思いながら
どこがヘンなのかよくわからないまま壊れていく時。

どこかで自覚していながら「私、なぜか天然っていわれるの~」という人が「気持ち悪い」と、前にいづみさんのところに書きました。自覚していない演技の方が、自覚のある嘘より怖いんです。

巫女とコトバ、というと、物書きのセミプロの知り合いが「処女を失うと、途端に生きた言葉を失う女性がいる」といったのを思い出します。逆に生きた言葉が「生まれる」人もいて、そういう意味でコトバ(頭)と体の関連が強いのはやっぱり女性だと思ったり。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-10 22:17
>いづみちゃん

今日は会社の内装工事にともなう大片付け…まだ会社。
すでにへろへろです。

>女優は裸を見せればいいけど
>作家は心の中をさらけ出すわけだから、私にはできない

葉月里緒菜っぽいコメントです。
というか葉月里緒菜って久しぶりに聞いたな。
引退したの?

>人間不信に陥りやすく、あまり幸せなことではない。

あまり人の機微に敏感な人って、
確かに人間不信になっておかしくない気がする。
ちょっと、ぼんやりしてるくらいが幸せかと(じ、自分か?笑)

>冬ソナ映画化計画

確かニュースで、韓国国内でも
「もう冬ソナはいい」と反対意見があがっているとかいないとか…。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-10 22:20
>おちさん

>マーケティングの人ってイメージが強いですねえ。

本人も「よく言われる」そうで、
かなり嫌がっておりました(笑)

>Coccoとか、ユタっぽくてまさにシャーマン

Coccoは小さいころから人に見えないものが見えたり、
はっきり特殊な能力があったそうで、
おばあちゃんからユタとして育てられそうになったとか。
なんというか、「本物」ということですね。すごいです。
まさにシャーマンっぽい。


Commented by shinobu_kaki at 2005-01-10 22:29
>kyonさん

個人的に「やさしさに包まれたなら」の
空気感が凄いと思ってます。
あの、春先の木漏れ日の下にいるような感じ。
ものすごくニュアンスがあって。

>“あ、このパターンで何曲か作れるな”って思うけど、
>『ひこうき雲』だけはそれがない

面白いですね。
なんというか、自覚的なんでしょうね。とても。

Coccoはちょっとパワフルです。
パワフルすぎてやられます。
毒があるんですよね。
とても良い曲を書くと思うんですが、
毒にやられないようにしないといけません。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-10 22:35
>えいこちゃん

>「処女を失うと、途端に生きた言葉を失う女性がいる」
>逆に生きた言葉が「生まれる」人もいて、

興味深いですねえ。とても。
ちょっと、男性には感覚的に理解しえないものなのでしょうか。

なんというか、
世界と自分の「チャンネル」が合うという感覚かな。
言葉って、自分と世界をつなぐものでしょう。
「生まれる」人は、チャンネルがピタリと合って、
すべてがクリアーになる感じとか。
そのスイッチが処女性にあるというのは面白いね。
えいこちゃん言うように、
肉体と精神がより強くリンクしてるってことだものね。
Commented by いづみ at 2005-01-10 22:56 x
まだ会社だったの?ご苦労様。

>葉月里緒菜っぽいコメントです。
>というか葉月里緒菜って久しぶりに聞いたな。
>引退したの?

この前、出産したばかりだよ。
ハワイの寿司職人とスピード離婚して、会社員と再婚したの。

>「処女を失うと、途端に生きた言葉を失う女性がいる」
>逆に生きた言葉が「生まれる」人もいて、

若いうちに失うと、生きた言葉を失うんじゃ……
と思ったけど、金原ひとみのような作家も出てくるわけだしねえ。

生きた言葉が生まれるって方がなんとなくわかるなあ。
恋人同士でも、寝てるか寝てないかでは
話す言葉というか、気持ちとかも違ってくると思うし。


Commented by cashnon at 2005-01-10 23:54 x
はぁぁ〜…やっと書き込めるw

あ〜これボクもこれに近いネタ書いてるとこで。
PCが幕末から明治維新なみに変わっていろいろ思うことがあって。
今までボクは文章を書くのが遅は、脳みそのクロック周波数が極度に遅いせいだ、と思っていたのですが、単純にPCの速度が速くなったらメチャメチャすらすら文章が書ける。
物理的な障壁は、思考すらも妨げるもんだなぁと再認識しました。

「バカの壁」の養老孟司氏と、古武術師の甲野善紀氏の対談で、20世紀までは脳の時代、21世紀は再び体の時代が来る、とおっしゃってて、結局思考が入り込んだところに存在する体のムダな動きを排除することによって、シンプルに真実を悟った感覚というのが生まれるんじゃないかな?と思います。

意外と勉強ができない子供とか、その解決法は、さらなる勉強などの脳の方にあるのじゃなくて、実は鉛筆の持ち方や、机に向かう時の姿勢など、ムダの無い体の使い方とかにあるのかもしれませんね。
想像だけど。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 01:01
>いづみちゃん

葉月情報、ありがとう(笑)
そうですか、寿司職人とスピードワゴン。

>若いうちに失うと、生きた言葉を失うんじゃ……

「処女を失う」っていう言い方だけど、
それってまるで「あった物がなくなる」ようなニュアンスじゃない。
でも、逆に「新たに大事なことを知る」みたいな、
プラスのニュアンスで捕らえる人もいると思うんだよね。
それによって、なにかが色々違ってくる感じがしないでもない。
言葉の上だけの問題ではなくて。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 01:06
>cashnon氏

いやー、ほうぼうで喜びの声を目にしております(笑)
新しいマシン、快適至極なようで良かったねえ。

cashnon氏の書き込み読んで思い出したんだけど、
「笑うから楽しい」っていう言い方があるじゃない。
とにかく笑ってみることで、脳に信号が送られ、
快感物質が分泌されてほんとうに可笑しくなってしまうという。

ヨガだとか、身体を使ったリラクゼーションの意味だけではなく、
もちろん精神的にもリラックスできるわけでしょう。
それは感情のコントロール、というレベルかもしれないけど、
その延長線上にある話だと思う。姿勢、あと呼吸は大事。
というか全ての基本って言っていいんじゃないか。
そんなふうに姿勢の悪い僕は思うのでした。

記事、アップされたらトラバします。覚悟されたし(笑)
Commented by たーちゃん at 2005-01-11 01:08 x
Yumingにはうるさいので(笑)一応突っ込ませてもらいますと、
松任谷由美ではなく松任谷由実です。

確かに、巫女っぽいなぁ。言葉。
Commented by えいこ at 2005-01-11 01:14 x
「カラダとアタマ(→言葉)」の記事TBさせていただきました☆

>「笑うから楽しい」

心理学の授業で聞いて以来、いつも生徒に言ってます!
接客業をしていた時、自分でも実感してました。

あとは授業中は身を乗り出して、「話を聞いている体勢」を作ることで、やる気の出る脳内物質が出て来るんだよ!って話もよくするんですけど、「形から入る」って、そういう意味では案外間違ってないのかもしれません。
同じ理由で、仕事の時は絶対スーツか制服がいいです。自分でやる気になるんですよー。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 01:26
>た〜ちゃん

実はどっちだったか自信がなくて、
一応ぐぐってみたんだよね(笑)
で、「由美」でたくさんヒットしたから大丈夫かと(笑)

由実ね。はい。覚えたぞ。

>確かに、巫女っぽいなぁ。言葉。

対談読むと、さらにね。
いろいろを予言というか、予想していたりするもんだから。
それはもしかしたら、
単純に聡明さからくる分析能力の高さなのかもしれないけれどね。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 01:38
>えいこちゃん

緊張状態にあると思ったら、ちょっと深呼吸とか背伸びしてみるとかね。
まちがいなく精神的な部分に影響するなあと実感。
やっぱり、心理学的なとこでも正しいのね。
僕の知識はあまり正規なとこから得てないので(笑)、
そう言われると安心です。

スーツ!
そうだよね。ちょっと気分が違います。
僕はあいにく仕事でスーツを着る機会はほぼないのですが、
やはり数少ないスーツ飲みの時など、
なぜかちょっと気分が良くて、
歩き方から小さい動きから(笑)、ちょっと余裕ありげになったり。

だから、僕が「スーツを好き」な理由は、
「スーツを着ている時の気分の自分が好き」なんですね。
Commented by いづみ at 2005-01-11 09:44 x
>「処女を失う」っていう言い方だけど、
>それってまるで「あった物がなくなる」ようなニュアンスじゃない。

えいこちゃんの書き込みの時点て「失う」は適切じゃないなと思ったけど
いい言葉が思い浮かばなかったから、そのまま引用していました。
女性蔑視になるかなと思ってね。

私が思うのは、若い時に強烈な経験しちゃうと
小さなことに感動する心が失われ、
思春期の多感な時期に感受性が磨かれないのではと。

>僕はあいにく仕事でスーツを着る機会はほぼないのですが、
>やはり数少ないスーツ飲みの時など、
>なぜかちょっと気分が良くて、
>歩き方から小さい動きから(笑)、ちょっと余裕ありげになったり。

では、次回も是非スーツで(笑)

Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 11:17
>いづみちゃん

蔑視的にはとらなかったよ。
流れでわかるしね。

>私が思うのは、若い時に強烈な経験しちゃうと
>小さなことに感動する心が失われ、

それほどにドラスティックな体験だってことだよね。

>では、次回も是非スーツで(笑)

こないだも言われましたが、
どうもホストっぽいと(笑)
自己紹介で「シノブです」と言ったあとに、
「源氏名ではありません」と聞かれもせずにつけていました。
Commented by kuro at 2005-01-11 18:26 x
なんか、
「巫」って字、じっと見てると、

耳飾付けてるのか髪がおさげなのか、

いかにも、って感じぢゃありません? (何を言ってるのか分かんないし)


>そういえば「冬ソナ映画化」計画が韓国で浮上しているらしい(涙)
>主役はヨン様以外でという話らしいけど

こなんだなんかの雑誌で読んだけど、
韓国って「映画俳優」と「TVのドラマ俳優」って、
日本以上に、明確な棲み分けというか、
「格」のこだわりというか、そういうのがあるそうな。
Commented by shinobu_kaki at 2005-01-11 18:46
>「巫」って字、じっと見てると、
>耳飾付けてるのか髪がおさげなのか、

わかる気がする(笑)

>韓国って「映画俳優」と「TVのドラマ俳優」って、
>日本以上に、明確な棲み分けというか、
>「格」のこだわりというか、

へえ、そうなんですね。
「シュリ」とか、なんだっけ、カンヌのとか、
あのへんは結構ステイタシーなんでしょうか。

韓国って、サッカーなんかでもそうだけど、
「エリート」「非エリート」と棲み分けがすごいよね。
ある意味国民性なのかしらん。
by shinobu_kaki | 2005-01-10 12:11 | 言葉は踊る。 | Trackback(3) | Comments(21)

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