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不倫と神様。

tadashiさんの不倫は絶対悪か。を受けて。
言っとくけど、長いです(笑)

日本の「結婚」って基本的に「一夫一妻」で、それはまあ「制度」だよね。
そして制度は「器」のようなもの。
人間の本能だとか繁殖欲求だったりというのは、
制度という器に納まるとは限らない、ともいえる。
まず、男には「自分の遺伝子をとにかく残したい」という本能があると言われ、
対する女性は「なるべく優秀な遺伝子を残したい」という本能があると言われる。
そうすると男性はどうしても「数」に走りがちで、
女性の場合はどうしても「質」を求める傾向になるのは否めない、
というのはちょっと竹内久美子的だけれども。

不倫とは「倫理に反すること」だ。では倫理とは何か。
それは「倫(ともがら)の理」のことだそうである。
「ともがら」とは仲間のこと。
「理」とは善悪を判断する道徳的規範、というところかな。
つまり道徳的な共通理解を侵害することが「不倫」なのだった。
なぜそれが良くないかというと、
もちろん自分の身に危険が降りかかるからだよね。
何をするか分からない、なんて人がいたんじゃ安心して生活できない。

日本は「実際的な意味で」宗教のない国とよく言われるけれど、
それはどういうことかというと、
普段の生活の中に、自分を見てくれている「主」がいないということだ。
「神」と言ってもいい。
「他人が見てなければ何をしてもいい」
「他人に迷惑をかけなければ何をやってもいい」
という心理は、この「神の不在」により発生するものだよね。
大前提的な「タブー」が無い価値観、とも言えるかもしれない。
常に相対的な相手との距離でしか善悪を量らない。
他人との関係、つまり「世間」がどう言うかを気にする。
だからとても流動的で不安定だし、揺らぎやすい。
反面、柳の木のように折れにくいとも言えるけれども、
足場がそれほど固定されてるとは言い難い。
少なくとも他者(この場合、日本人的価値観を持たない人)には理解はされにくいはず。
言ってみれば外側だけで中はカラ、
中空の社会であり、中空の精神構造だと思う。

ちょっと話はそれたけど、
不倫を善か悪かで語るのならば、まず人の善悪の基準がどこにあるか、
それを明確にしないといけないと思う。
それは「人を殺すのは悪だ」とかそういうレベルの話じゃなくて、
今回は不倫、つまり配偶者以外と「不埒」な肉体関係を持った場合、
何に拠って罪悪感を持つのか。どういう意味で「悪い」と思うのか。
不倫が許される人がいるとすれば、それはどういう人なのか。
日本において奥さん以外の人とのセックスをまるっきりの悪とするならば、
一夫多妻制の残る国においてのそれも悪と呼ばれるべきなのか。
国が違えば倫理も違う、その一言で済ませてよい話なのか。

きっと、まだまとまらないと思うが一応続けてみよう。

少なくとも日本においてのそれは「悪」だろう。
理由は「法律で許されていないから」。
神のいない国としては、そこに基準が求められてしかるべきだ。
儒教的なモラルにもとづいた法治国家。

そしてもうひとつは、
「自分がされて嫌だと思う事を相手にすべきでない」という、
かなり道徳的にまっとうな理由だ。
自分のすることで誰かが深く傷つくことにつながる、
そんなことは誰もしたくないのは確かだろう。
人を傷つけたなら、そのうち自分も同様に傷つけられると思った方がいい。
(身近な例で言うと、人の悪口を言ったなら、
人にも言われてると思った方がいいというアレね)

ただし、善悪は別として成立するケースはあると思う。
ポイントは経済力だ。

仮定の話をする。

一人のとても魅力的な男性がいた。
彼は新進の会社の経営者で、すでに裕福であり、奥さんも子供もいる。
だが奥さんとの仲は冷えきっている。よくある話だ。
女性に関してマメな性格の彼は、実際よくもてた。
何度かの小さな浮気はあったが、奥さんはそれも彼の属性として目をつむってきた。

そんな彼を一人の女性が好きになった。
彼女はまだ若く独身で、ほかに釣り合う男性はいくらでもいたはずだったが、
彼に奥さんがいるのを承知で交際を申し込んだ。
そして彼は彼女の申し出を了承した。

二人は愛し合うようになり、やがて彼女は子供を身ごもった。
彼女は迷う事なく産みたいと言い、彼も彼女との子供が欲しいと思った。
彼は奥さんにこの事を話し、離婚した方がいいと思う、
残念ながらお互いに以前ほどの愛情は見られないのだし、
慰謝料と養育費は満足のいく額を払えると思う、と言った。

しかし奥さんはリベラルでプラグマティックな性格だったので、
別れない、と答えた。愛情はなくてもいいからこのまま夫婦関係を続けましょう、
あなたにそういう人がいたとしても構わない、
ただしあなたはあなたの責任をもって彼女とその子供の面倒を見てちょうだい、
もちろん私たちについてもひきつづき責任を負ってほしい、そう言った。

彼は不倫相手である彼女にその旨を話し、
そういう事情で結婚はできないが、お前と子供の面倒はみる、
こういういびつな形だから幸せにするとは言えないが、
絶対に不自由はさせないと言い、彼女もそれでいいと心から思った。

こうして法的には認められない一夫二妻の関係性が生まれた。
経済的には問題はない。問題は嫉妬だが、女性二人はお互いに納得している。
言わば、全員がそれぞれの了承のもとに少しずつの幸せを成立させているのだ。

この状態を断罪するもの、それは何だろうか。

NOという「神」も存在せず、世間の中傷も気にしない「強さ」を持ち、
経済的な部分で彼らが十分に関係を成立させることができたなら、
中身のない「世間のモラル」の後ろ指はいったいそれを崩せるのか。

彼らは断罪されるべきなのか。されて然るべきなのか。


よくわかんないので、もう寝ます。


ぐう。
by shinobu_kaki | 2005-01-19 03:22 | なぜ、どうして。

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by Shinobu_kaki
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