怒りについて。

人は誰でも怒りの感情を持っている、と思う。

よほど穏やかに見える人だって別に怒りの感情がないわけではなく、
怒りの形でもって表に出る前に何か違う形の感情表現に
変換されているだけなのだと思っている。

自分は印象としてはどうやら穏やかに見られがちなようだが、
自ら感じる性分や親しい人に言われる気性としては、
別に、というかまったく穏やかではないようだ。
声質であるとか、顔の造作を含めた表情などが
比較的ソフトに見えるというだけの話なのである。

まあ、ここで「俺はこう見えても気性の荒い男なんだぜ」という
アピールをすることにメリットや意味はあまり見出せないのでこのへんにするが、
人の感情というのはなかなか面倒くさいものだと思っている。
すべての感情はその人にとって傀儡というわけではないからね。
だからこそ人は「感情の動物」などと言われるわけで。

さて、怒り方というのはいくつかタイプがあるわけだけど、
自分はその場で我を忘れてワーッといくタイプではなく、
瞬間的にはわりと抑えてしまうほうだと思う。
その場だけというわけではなく、
常日頃から比較的に怒らないようにある程度セーブしている。
こういうのはストレスが溜まりやすいので良くないのだが、まあ性分である。
なぜセーブするかというと、喧嘩という一種の戦争状態の
ストレスを嫌うからというのはもちろんあるし、
とにかく相手との関係性を悪化させたくないという
ことなかれ主義的な発想がまったくないかと言われると嘘になる。
なにしろ争うのが嫌いだし、不毛だし、避けたいと思うのだ。
これはそれほど不思議な心性ではないはずだ。

そして怒る時に比較的饒舌になる。
これについて長らく、自分は怒っても
頭は冷静なタイプだからではないかと思ってきた。
でもいつからか、それは違うのではないかと思うようになった。
言ってみれば饒舌になるということは、
ある程度自分の頭の中で結論が出ているのだ。
それもアドリブ的にということではなく、
怒りの形で感情が表出するまでに、
自分の中である程度の整理が行なわれているのではないか。

「セーブされる怒り」についての自分のイメージとしてはこうである。
自分の中に沸き起こったマグマのような感情があって、
それを理性の何重かの防御壁がストップをかけようとする。
だがそこの関所を越えるほどの熱さか、
もしくは感情を爆発させるだけの正当性を持ったマグマだけが、
防御壁を越えるのである。そして後者であることがおそらく多い。
それがために、マグマはある程度の理論武装を帯びた怒りとなって表れ、
つまるところ饒舌さに繋がるのではないかと思うのである。

怒りについてもうひとつ、「根に持つかどうか」というポイントがある。
割とストレートに怒りやすい人は、
そこできれいさっぱり水に流すことが多いと言われる。
自分はどうだろうかと思うと、決してそうではないようである。
なんというか、いつまでも怒り続けているというのではなく、
その時の怒りと一緒に相手との関係性を切り離してしまう、
残念ながらそういうケースが多い気がするのだ。
(これは怒りを避けたい一心の防御的感情ではないかと思う)
だから、その人の最後の印象にその時の怒りが付随して、
結果的に相手をいつまでも怒っているみたいな構図になる。
もちろん時間が経てば経つほど、感情としてはある程度以上冷めている。
ただ、修復があまり行なわれないというだけである。


感情自体は打ち消すことが難しく、ただ逃がしてやることしかできない。
仮に誰かに怒りを感じたとて、物理的に復讐しても怒りがなくなるわけではない。
違う形で昇華させてやるのが一番なのだ。
精神と身体はリンクしているので、もっとも有用なのは運動だと思うけれど、
もちろん自分の中でリラックスできるスイッチがあればさらによい。


怒りというのはその人の悲鳴であると言われる。
これは疑いようがない。
怒りは感情を侵食される事象があった上での、カウンター的な発露である。
つまり、怒っている人はすなわちつらい人なのである。

人の心の中で、怒りの感情はいつしか悲しみに変わるのだと聞いたことがある。
しかし上記の「悲鳴論」が事実であるならば、
怒りが悲しみに変わるのではなく、
まさに怒りは悲しみそのものである、そんな風に言える気がする。
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by shinobu_kaki | 2013-09-07 22:32 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

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