2005年 04月 22日
村上もとか「水に犬」
「生きることは食べること」といったテーゼを扱った作品は
世にあまたあるといえばある。
村上もとか「水に犬」(講談社モーニングKC)
これも家の大掃除で見つけた本のひとつ。
無くしたと思ってた。
村上もとかと言えば「六三四の剣」そして「龍-RON-」。
緻密な取材と確かな描写力で知られる漫画家ではあるが、
ここ数年の「龍」の展開は自分のフェイバリット映画のトレースに留まっている、
そんな気がしないでもない。
「ラストエンペラー」と「覇王別姫〜さらばわが愛〜」が好きなのね、
みたいな。
「水に犬」がモーニングに読み切りで掲載されたのが93年。
まあずいぶんと昔ではあるが、当時からとても好きな作品で、
単行本が出た95年にさっそく購入。全1巻。
タイ内務省警察局中央犯罪捜査部(CSD)第7課、
スラム出身のワッサン大佐は日夜凶悪犯罪と格闘するエリート、
口癖は「マイペンライ」で、意味は英語の「No Problem」、
のようなもの。「大丈夫」「のんびりいこうぜ」「まあいいさ」…
いろいろな意味を包括した便利な言葉。
「タイ語は語彙が少ないんですよ」(くろさん談)
タイ社会の泥の川を必死で泳ぐワッサン大佐だが、
とにかく食いしん坊で、毎話にわたって食事のシーンが出てきます。
ジャッキーチェンの映画みたいである。
バンコクのうだるような暑さの中、屋台の軒先で、
辛〜いタイ料理に「喰らいつく」描写は圧巻で、
それだけでも一読の価値はある、と思う。
曰く「タイの料理は世界で一番官能的な味だからな」。
「カオ・カー・ムー(豚足の醤油煮と高菜漬けのご飯)と
カポ・プラーのスープ(干した魚の胃袋のスープ)、
パッ・ペッ・ムー・パア(イノシシ肉の唐揚げ甘炒め)に、
ナム・プリック・オーン(豚挽肉の炒め煮生野菜つけ)、
この店のやつは特に辛くてうまいんだ。
俺もチェンマイ出身だからタイ北部の料理が
時々懐かしくなってな。食うぞ!」
「この店はシーフードがうまくてな!
トート・マン・クン(エビすり身サツマ揚げ)、
トート・マン・プー(カニすり身サツマ揚げ)、
トム・ヤム・タレー(魚介入りの辛いスープ)、
プラー・ジャラメッ・ヌン・マナオ(マナガツオの蒸し物)、
クン・パオ(エビの炭火焼き)、
カオ・トム・プラー(魚入りのおかゆ)…」
汗をだらだら流して食べるのも(・∀・)イイネ!!