贅沢な景色。

地球時間で18時あたりだと思う。
B767型のANA機は上昇を続けると、雲の上に出た。
進行方向に向かって左の窓側の席。
見えた景色が素晴らしい。

視界の端から端までびっしりと、足下に雲が敷かれている。
じいっと見ていると何か違うもののように見える。
でこぼこの絨毯か、ウィンナ・コーヒーの生クリームでできた表面か、
水蒸気の粒ではなく、固形物のように見えるのだ。
ステレオタイプな上にメルヘンチックな言い方で恐縮だが、
そのまま歩いていけそうな感じすらある。

視線を手前、つまり足下に移動すると、
羊の群れのような雲の間から夜の地表が見える。
日本上空の夜景は細かい光の筋に見える。
目線を上げると、雲の地平線、という言い方もおかしいが、
雲の地平線の先にはピンクとブルーのグラデーション、
晴れた西の空があるのだった。つまり、雲の下だけが夜なのだ。

窓の右側、つまり進行方向から目に富士山が飛び込んできた。
雲の上に黒い山頂だけを出した三角のシルエットが、
夕焼け・雲海・光の粒と、渾然一体の絵はがき的な風景となって、
きっとそれらを、忘我の表情で見つめる自分がいるのだった。
贅沢なものを見たって感じである。

贅沢といえばもうひとつ。
昨日の夜に羽田に帰ってきたのだが、初めてバスで帰宅をしてみた。
吉祥寺行きの直行バス。バスにしたのは時間がちょうど良かったのと、
電車と違ってぐっすり眠って帰れると思ったのだ。
時間は約40〜50分、料金は1200円である。

バスの右側の席に乗ってバスに揺られて思ったのは、
これは東京を代表する観光コースと言えるな、ということである。
羽田を出たあたり、湾岸地帯は光の海だ。
夜でもオレンジの光が煌々と灯る海沿いの工業地帯、
そしてお台場を右に見てレインボーブリッジ、
品川から三田方面に進むとライトアップされた東京タワーのすぐ脇を通る。
議事堂や最高裁のある三宅坂、皇居を臨み、
紀尾井町あたりのホテル街、円形の青いプールが水色に浮かび上がる。
泉ビルからアークヒルズ、全日空ホテルのラウンジが見え、
赤坂・六本木の賑わいから西新宿の高層ビル林、
初台のオペラシティでライトアップされた東京はほぼ終わる。

なんだか綺麗で(夜景が大好き)、寝る間をすっかり逃してしまった。
移動代プラスこの風景…ちょっとしたシアターであった。
なお、このバスに乗る場合は右側の席をオススメします。
右から見える風景が、絶好のビューポイントと思われるからです。
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Commented by colorcube at 2005-09-28 13:02
うまい!!
ごちそうさまでした、せんせ!肉声楽しみエス。
Commented by shinobu_kaki at 2005-09-29 11:00
>いし氏

そうですね、肉声楽しみです。

…「肉声」って(笑)
by shinobu_kaki | 2005-09-28 11:48 | ライフ イズ | Trackback | Comments(2)

移動祝祭日


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