2005年 11月 19日
井上雄彦「リアル」5巻
井上雄彦の「リアル」単行本5巻が発売である。
自らに突然降り掛かった境遇と、
人一倍高い虚栄心とプライドの狭間でリハビリに苦しむ高橋。
一人の女性から「足」を奪った罪悪感と無力感に苛まれつつも、
自分なりに前に進もうとあがく野宮。
チームメイトとの意識の差にもどかしさを覚える日々、
しかし車いすバスケ日本代表として、
確かにステップを駆け上がる戸川。
物語はこの3人をメインに進んでいるのだが、
井上雄彦の真骨頂は脇のキャラクター造形の魅力にあると見ている。
「スラムダンク」の他校のライバル達、
「バガボンド」の例えば沢庵和尚。
そしてこの「リアル」で言えば、圧倒的に魅力的なのは、
戸川のポジティブな人生の羅針盤となる勝田虎、
そしてナガノミツルである。
井上雄彦は意識して二つのタッチを使い分けていて、
二つとはもちろんバガボンドの筆によるタッチと、
スラムダンクからの流れを引く「リアル」のペンタッチ。
ちなみに僕は後者のほうが好きである。
バガボンドは最近、ユーモアの部分が少なくて寂しいよね。