松本隆「歌うこととそのバックグラウンド」

 昔の多くの歌詞は花鳥風月を美しいと褒め称えていたり、
失恋したから悲しくて泣いていたりとか、
そんな単純なものばかりなのが不満だった。
もちろんそれでも同情で泣けるんだけど、
そこからどうやって立ち直るかとか、
凹んでもそれでも「生きたい」と思ったり、
人を傷つけてしまったけど傷つけた方も痛かったりとか、
人間はもっと複雑な生き物だと思う。
そういう複雑な人間をリアルに描きたい。

 でもそれを歌うのがアイドルだと、
人間的にまだ成熟していないので、あまり複雑なことは歌えない。
だからサビの部分はインパクトのある言葉を使って、
フレッシュさで押してしまったりする。
しかも長さは2分半という制約があった。
僕が歌謡界に入ったばかりの頃はそんな仕事ばかりしていた。

松本隆(作詞家)


今日のAVANTIより。
全体的にはちょっと主旨の違う発言ではあるけれども。

歌に限らず、ある言葉を人が発する時に問われる一つの要素として、
「説得力」がある。
つまり言っている内容に見合った「人物」かどうかが問われる。
そこに乖離というか、似合わなさがあると途端に人にはバレてしまう。
上記の松本隆の言に沿えば、
「未成熟なアイドルに複雑な人間像は歌えない」のである。
これはちょっと示唆的だよね。
言葉は一種、その人そのものであると思うけれども、
借り物の言葉というのは通用しない、ということだ。

ちなみにスポーツ選手でもなんでも、
一流の人の発言というのは総じて、実を伴って聞こえる。
つまり彼らは「自分の言葉」を獲得していると言えるだろう。
逆に言えば、自分の言葉を獲得した瞬間が、
その人が一流になった瞬間なのである。
さっき「言葉は人そのもの」と言ったのはそういうことだ。
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Tracked from ciunfxh at 2006-09-10 20:16
タイトル : ciunfxh
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Commented by あい at 2006-05-29 17:59 x
松本隆=聖子ちゃんの詞ってイメージが強いんですが
アイドルという位置に居ても、いい歌が多かったと思います。
私の好きな「赤いスイートピー」も「制服」も確か作詞はこの方。

今、人生で初めて作詞というものに挑戦しているんですけど
(オリジナル楽曲作成中)、言葉って難しいです。

Commented by shinobu_kaki at 2006-05-29 19:18
>あいさん

「赤いスイートピー」はめっちゃ名曲。
ていうか松田聖子の歌った曲はいい曲が多いんだよね。

あいさん作詞中かあ。
言いすぎでなく、
後に残るような良い曲を書いてくださいね。
Commented by kuro at 2006-05-30 20:47 x
仕事がやや煮詰まり気味にて。

>言っている内容に見合った「人物」かどうか

大学で一応、心理が専攻だったのだが、
その頃、「卒業したらカウンセラーとか調停員とかで働きたい云々」という学生に対して、
師曰く、
「大学出たてのひよっこに、2倍以上も人生経験あるような人たちの、
 様々なあれやこれやの悩みやら苦しさやらを、
 的確に理解して応えられると思うかい?」と。

まぁそんなこと言ってたら、その手の職業の人たちは、
みんな白いひげ生やして杖突いて遠い目をしているような、
仙人系な人ばかりになっちまうやんけ、とか当時聞いてて思ったけれど、
実際、どう受け止めて噛み砕いて反応できるかは、
いろんな経験(実経験だけでなく間接的なものも含め)が無いと、
難しいだろうなぁ、と思ったり。

とかいうことを思い出したり。

聖子ちゃんだし。
Commented by shinobu_kaki at 2006-05-30 23:28
>くろはん

まあ、確かにワカゾーにカウンセリングされてもなあ、
てところもなきにしもあらずといえる。

ヤギさんにばかりしてもらうわけにも
いかないかもしれないけどね。

確かに微妙なところではある。

ところで明日の未明、ドイツ戦ですな。
目覚ましをセットしますた。
by shinobu_kaki | 2006-05-27 21:35 | 言葉は踊る。 | Trackback(1) | Comments(4)

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