満月夜のビール待ち。

じっとしてるだけで汗がにじむくらい暑かった昨日、
私は黒のスーツを着て革靴を履き、
夕方から大江戸線に乗って千駄ヶ谷へと向かった。
久しぶりの感じがした地下鉄は空気が止まっていて蒸し暑く、
いつも地上線で通勤できていることに軽く感謝したりした。
国立競技場駅のエスカレーターを昇って地上に出ると、
外苑の緑の匂いを含んだ湿った空気がつんと鼻をついた。
雨が降る直前の時のような肌触りだったけれど、
今日の予報と空模様からは雨は降らないように思われた。

私の勤めている会社が主催したコンサートのホールにつくと、
開場まもない時間ということもあってまだ客はほとんどいなかった。
代わりに見知ったスタッフがてんでバラバラの格好のまま、
忙しく机を移動したりパンフレットを並べたりしていた。
よれよれのTシャツにジーンズでもくもくと会場づくりをする姿は、
まるで高校の文化祭のそれのような趣きがあって、
ふいに懐かしい気分にさせられた。
文化祭の準備は昔から好きだったのだ。

エレベーターが開いて、ぽつぽつとお客さんがやってきた。
やってきた品の良さそうなお客は私の知らない人たちではあったけれど、
ほとんどが社長の知り合いのようだ、というのは挨拶の仕方でわかった。
1時間弱ほどの入場時間の間、私は人が入るたびに軽く頭を下げながら、
慣れない接客業のようなものを無心でやっていた。
自分が客の立場の時でもそうしているはずなのだが、
接客をしている人を客は軽く無視するようにする、
そのほっとかれる感覚がなんだか新鮮で面白い、と思った。

21時にはコンサートがすべて終わり、
21時半には客もすっかり帰っていった。
仕事が残っている者は会社へと戻ったが、
私を含めて食事に出られる者は数人でタクシーに乗って、
すでに予約をしてあるという香港ガーデンの裏手の店へと向かった。
しかし店に着いたはいいが予約のミスとかで、
しばらくの間、店の前の小さなテーブル席で待たされることになった。
店の前で道は二手の分かれていて、
右のほうの道を登っていくと昔の私の家の方角だった。
このあたりから歩いて帰ったことは何度もある。
月齢を見ると今日は満月で、
少し気持ちが高揚する日なのだといわれている。
雲の厚い梅雨明け前の夜空は、
せっかく丸く光っているだろう月を隠してしまっていて、
ちょっともったいない気持ちのまま、
私たちは店内へ通されるのを待っていた。
無性にビールが飲みたくなった。
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by shinobu_kaki | 2006-07-12 15:01 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

移動祝祭日


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