「本」講談社

今日の昼、銀座の書店で
伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」を買った。
今までどこの本屋にもありそうでなかったのだが、
見つかるときはなんとも他愛なく見つかるものである。
「オーデュボンの祈り」の文庫を棚から取り出して
レジへ持っていった時、平積みになっている小冊子を手に取った。
「ご自由にお持ちください」というPOPがついている。
会計をすませた文庫本と一緒にバッグに入れた。

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講談社から出ている「本」という名前のマガジンである。
「読書人の雑誌」らしい。どうやら月刊誌のようだが、知らなかった。
食事をしながら読んでみたのだが、これがとても面白かった。
特に面白かったものをいくつか取り上げてみる。

「反転する・目がまわる」町田康

いまやすっかり独自の作風を持つ作家として認知された町田康。
この人の文体はコラム的な短いものほど適している気がする。
なにしろリズムがあって、キレている。
「サザエさんの泥棒は、いかにも泥棒です、という格好をしていて、
なぜそんな不利なことをするかと言うと、サザエさんを見ている人が
一目で泥棒と認識できるようにするためである」(本文より)という話。
普通の泥棒はほっかむりなどしていない。しかしドラマ的には、
わかりやすい記号が観客に対して提示されなければならないのである。
しかし、町田康は文章上手いよね。なんか読んでしまう。

「新日本野球紀行 中西太・育てる打撃論2」二宮清純

シリーズインタビュー。二宮清純が中西太に聞く。
今回の話題は、あのラルフ・ブライアントについて。
当時、中日ドラゴンズの二軍で「大型扇風機」として
くすぶっていたブライアントを近鉄にトレード。
打撃コーチだった中西はいかにして、
ブライアントをパ・リーグ最強のホームランバッターに育てたのか?
技術論を交えて、かなり具体的な話にまで突っ込んだインタビュー。
「バッターの基本はアウトローのまっすぐを打つこと。
ここが打てればどんなバッターでもメシが食えますよ」(中西・談)
とても面白かった。ぜひ続きを読みたい。

「“鏡像”としての議論」吉岡友治

この冊子の中で一番面白かったコンテンツがこれ。
小論文の指導を行っている筆者の、
議論や文章そのものを通して感じた表現の真理とは。
僕が稚拙にまとめるよりも、文章中のパラグラフを引用してみたい。
「論理的文章のもとになっているのは、
問題・解決・根拠という“議論の構造”である。
これは、よく考えてみれば、
ある問題について、一つの主張を表すとともに、
根拠を示すことで他者からの批判を受け入れることも示し、
さらに間違っていたら即座に同意して訂正することも含意している。
それ自体が“対話の構造”を具現化しているのだ。その意味で、
他者に注意し、他者に応えるという
暗黙のコミュニケーション・システムになっている」
メチャクチャ明解だ。そうだよね。そういうことだと思う。

ところで、店頭POPに導かれるまま、
フリーペーパーと思って持ってきたが…
よく見たらこれ、「定価80円」とか書いてるじゃん!
教えてくださいよ店員さん…。
でもこれほど充実しているなら、定期購読してもいいなあ。
ちなみに年間購読料金は、1年間で900円です。
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by shinobu_kaki | 2006-08-23 14:13 | shinoBOOKS | Trackback | Comments(0)

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