マッスルな灯ろう。

灯ろうと言えば、小学生の頃にこんなことがあった。

僕はその時5年生か6年生で、たしか平日の夕方だったと思う。
見知らぬ小学生(低学年)が母親連れで訪ねてきたのだ。

僕の実家は信号機が見当たらないほどの
田園というか田舎なので、少ない人口ゆえ

人間関係が非常に限られ、
知らない人はとても目立つのだ。
彼は、僕の知らない子だった。
聞いてみると隣町からやってきたのだという。
なんと絵の依頼であった。

「あの〜申し訳ありませんが、今度学校の宿題で、
灯ろうに絵を描かなくてはいけないのですが、
その絵を是非描いていただけませんでしょうか」

翻訳するとこうだが、秋田弁なのでこうなる。

「まんず申し訳ねンすどもハァ、
こんだガッコの宿題(しゅぐだい)でよ、
この灯ろうッコさ絵ば描がねばならねぐなったンしォん、
なんどが描いでやってけねンしべが」


どこからか、絵というか漫画を描くのが好きな子がいると、
評判(?)を聞いてやってきたのだという。
たしかに絵は小さい頃は比較的得意で、
小さい町のコンクールに貼りだしてもらったりとか、
友達に「描いて」と言われ、鉛筆描きの汚い漫画を
大学ノートに何冊も描きなぐっていたことがあった。
そうは言っても、僕より絵の上手い子はクラスにもいた。
隣の町からわざわざ絵を依頼しに訪ねてくるというのは
予想できないことであったのだった。
依頼主の彼はおとなしい性格らしく、
おずおずといった面持ちでじっと座って喋らないでいる。
話としては非常に光栄なことではあったので、
ふたつ返事で引き受けることにした。
期限は3日ほどもらったと記憶している。
楽勝だった。

「で、どんな絵がいいの?」

「…キン肉マン」

得意分野だった。

彼のお母さんは帰り際に何度も頭を下げ、
彼はといえば照れ臭そうにこちらをちらりと見ただけだった。
小さなクライアント。

3日後、できあがったキン肉マンをひきとりにやってきた、
その時の事はなぜかまったく覚えていない。
「お礼」を払う、いらないで

「いやいやいやいやまんずまんず」
というふうな、親同士のお決まりの押し問答があったはずだった。
今になって思えば、学校の宿題を知らない兄さんにやってもらおうという
その子の姿勢はいかがなものか、という気もしないでもないが、

飛び込みでやってきた根性は買える、かもしれない。



灯ろう、と聞いて記憶がフラッシュバック、
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by shinobu_kaki | 2004-06-15 15:11 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

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