徒然草。

つれづれなるまゝに、日くらし、硯にむかひて、
心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそものぐるほしけれ。


(現代語訳)
ムラムラと発情した気持ちを抑えられないままに硯とにらめっこしながら、
心の中を通り過ぎてゆくどうしようもないことをうだうだと書き残しているうちに、
なんとなく変な気持ちになってしまった。

吾妻利秋「完訳 このよはまぼろし」より


あまりに有名すぎる一節も、なんだか気持ちの悪い男性の欲情みたいに。
このサイト、「徒然草」を完訳してるんだよね。お疲れ様でした。

他にも。


仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、
ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩より詣でけり。
極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。

さて、かたへの人にあひて、「年比思ひつること、果し侍りぬ。
聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、
何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、
山までは見ず」とぞ言ひける。

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。



(現代語訳)
仁和寺で生活していたある坊さんは、ご老人になられるまで
石清水八幡宮を拝んだことがなかったので、気が引けていた。
ある日思い立って、一人で歩いて参拝することになった。
八幡宮についている付属品の、極楽寺と高良神社だけ拝んで
「これで思いはとげました」と思いこみ
(八幡宮はこれだけだと思って本殿を拝まずに)退散した。

 帰ってきてから、友達に「前から思っていたことを、ついにやり遂げました。
これまた、噂以上にハラショーなものでした。
しかし、お参りしている方々が、みんな登山をなさっていたから、
山の上でイベントでもあったのでしょうか? 行ってみたかったのですが、
今回は神様にお参りすることが目的だったので、
余計なことはやめておこうと思って山の方は見てこなかったのです」と話した。

 些細なことでも、案内がほしいという教訓。



こうして、改めてみると内容は実に他愛ない。
文体って印象を決めるよね、といういい教訓。
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Commented by どらごん at 2006-10-24 21:12 x
このブログなるもの
あなたのかたのながむれば、
いとあはれと思ふらむ

正しいかどうかは全くわかりませね。
こうやってみると知識はずいぶんと抜け落ちていますなあ。
Commented by shinobu_kaki at 2006-10-24 23:32
>ドラララ

特に「徒然草」的な名を冠したブログは多いよね。
多くは「なんちゃって随筆」なわけで、
吉田兼好は汎用性の高い流行語を遺したといえる。
Commented by た〜ちゃん at 2006-10-26 22:54 x
高校の先生が、「お前ら、大人になると、ふとやりたくなることがあるんだよ。」といっていたのを一笑に付してたのが最近は実に楽しかったり。古文、気象通報、確率統計の計算などなど(笑)。

たはこと ってのも、この類ですな。

訳本の一種で「絵本徒然草」(河出文庫)というのがあるんですけど、これはお勧めです。
Commented by shinobu_kaki at 2006-10-27 08:07
>た〜ちゃん

>古文、気象通報、確率統計の計算などなど(笑)。

いいですね(笑)

絵本徒然草、チェックしてみます。
by shinobu_kaki | 2006-10-24 17:53 | エウレーカ! | Trackback | Comments(4)

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