富野由悠季「ガンダム」インタビュー

CUT12月号、日本のアニメ映画ベスト30が特集。
別段アニメ映画が好きではないが、
ペラペラと立ち読み、毒にも薬にもといった風情の
ハリウッド・スターのインタビューなどより数倍充実を見せていた。
他の衝動買い本と一緒に買って来たわけである。

ランキングは1位から順に、
ナウシカ、ガンダム、エヴァ、攻殻、ラピュタ、AKIRA、
カリオストロ、ヤマト、もののけ、トトロ、千尋、火垂るの墓、ハウル、
うる星、999、紅の豚、魔女の宅急便、パトレイバー、
しんちゃん、時かけ、人狼、オネアミス…といった順。
多分に渋谷陽一の好みが入っているにちがいない感じ。

2位のガンダム。映画は3部作。
幼き日の僕も第3部「めぐりあい宇宙(そら)」は観に行った。
その映画館もすでに今はない。
ガンダム、創ったのはあの人。もちろん富野由悠季。
劇場公開から25年、「ヤマト」と「十五少年漂流記」を下敷きにした、
伝説的なアニメである。プラモは「ガンプラ」の名で一世風靡。
僕もいくつも買った。ジオングにドムの足をつけたこともある。
最初に買ったのは小学校低学年の頃、ものは100分の1シャアザク。
当時は色を塗ることなんて思いもしなかった。

「ロボットものではまず敵味方を設定するけど、
敵味方をきれいに分けるとつまらないし、
ガンダムまでの宇宙ものを敵は宇宙人だったのを人間にしたら、
違うものになると考えた。
人間だったら敵と味方が結婚するなんてことも当然ありうる。
コロンブスの卵なんですよ。子供の頃思っていた、
この手の映画に対する不満を吐き出したことがポイントですね」

ガンダムの、勧善懲悪ではない、相対的な世界観が当時斬新とされた。
アムロ=レイという「苦悩する主人公」の像は、
その後庵野秀明によって「碇シンジ」を生み出すに至る。

「ファーストガンダムを作った後で『スター・ウォーズ』を観たんだけど、
ルーカスには脱帽した。一番重要なのは、
美術に関係することで、宇宙船の中が汚れていた。
人間が24時間住み込んでたら汚れるってことをきちんと描写してたの」

「2本足ロボットって、基本的にSFでも使えない嘘八百の素材なわけ。
それをどうやって“嘘八百のリアリティ”に落としていくか考えれば、
人間ドラマしかない。どんなモビルスーツやモビルアーマーが出て来ても、
手前に出てる人間の動きで話が見られる。
ただ困ったのは、当時視聴率が取れなかったので
『ロボットアニメにしなきゃ』ってところに辿り着く前に
打ち切りになってしまったこと。
でも人間ドラマ的なところだけで終わっちゃったために、
その後30年残るものになったのかもしれない」

人を模した2本足のロボット、というのは現実的ではないと言われる。
バランスの取り方が天文学的に難しいからだ。
ましてやそれに人が乗り込むとなると、激しい揺れで操縦どころではない、と。
しかして、いつのまにやら2本足はロボットアニメの「前提」となり、
それが幻想とは言えファン共通のスタンダードになった。
格好良さを皆が望んだ結果である。
例えばいくらリアリティがあったとしても、
あの中でガンキャノンは主役になりえない。

「ガンダムのような兵器があるとしたら、
戦争で使うしか国家予算が降りないだろう。
だから戦争を舞台にしただけで、戦争を描く気なんてないね。
ひとつ気をつけたのは、好戦的になっちゃいけないってこと。
少なくとも右翼の片棒を担ぐことだけはしたくなかった。
逆に反戦を謳うことも絶対しない。反戦なんて当たり前でしょ!
ガンダムで意識したのは、情け容赦なく人は死ぬ。
生き延びるってことは、紙一重のことでしかないってことだよね」

“当たり前すぎるから反戦は謳わない”というのはシニカルだ。
ナイーブさがひとまわりして、むしろ誤解さえ生みそうなものである。
そして富野自身、この考えにひたすらブレがないがために、
ガンダム以降ロクなものが作れない、ガンダムを超えようとしてもできない、
僕に作家の才能はない、という。面白い。

「ぼくは基本的に仕事師で作家じゃないし、創作物というのはその時代の反映」
インタビュー中にそう富野が語る場面がある。
ガンダムは自分の好みで作った物ではない、時代が作らせたのだと。
しかし、その“時代のフィルター”になれる事が、
まさに「作家の才能」ということではないかと思う。
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Tracked from youtue 動画 yo.. at 2006-11-26 22:24
タイトル : youtube
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Commented by KH at 2006-11-26 22:55 x
そっか・・・
11/23に東京ドームシティでロボワンがあったので誘えばよかったなぁ。
2足歩行ロボット同士の戦いです。
ガンダムが現実的になってますよ。
もちろんサンライズも協賛企業です。笑
Commented by shinobu_kaki at 2006-11-27 14:08
>KHさん

K-1ならぬ「ロボワン」ですかあ。面白そう。
と調べてみたら、

http://www.robo-one.com/

これですね。行きたかった!(笑)
by shinobu_kaki | 2006-11-25 00:54 | エウレーカ! | Trackback(1) | Comments(2)

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by Shinobu_kaki
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