世界

C-NET JAPANの「江島健太郎のブログで、
作家の平野啓一郎がこんなことを書いている。

 僕は今、小説を書いていて、本当によかったと思う。
 僕は、親類や友人を含め、小説を通じて、
 初めて自分という人間を、十分に理解されつつある気がします。
 注意深くあえて書けば、それは「本当の自分」なんかじゃなくて、
 要するに、自分という一個の人間の複雑な組成、
 「複数性」を理解されつつあるという感動です。
 それで僕のことをもっと好きになる人もいれば、
 嫌いになる人もいるだろうけど、それは納得のいく好き嫌いで、
 自分の様々な面を抑圧しながら人に好かれるよりはずっといいと思う。
 (2006年5月の記事「新潮6月号の梅田望夫×平野啓一郎の対談を読んで」より)

平野啓一郎は、小説を書くことで初めて、
「ろくでもないようなものの一抱えすべて」である自分を、
「表現し」「理解されつつある」と言っている。
それだけ、リアルなこの世界において、
自分をトータルで理解してもらうことは難しい。

他人が自分について知っていることなんてほんの一部だし、
自分も他人について知っていることなんかほんの一部だ。

人の「印象」というのはその程度のものなのだ。

僕にしても、ある人々を除けば、
実際に会っている姿よりもこのブログのほうがよっぽど「自分」だろう。
平野啓一郎言うところの、
「ろくでもないようなものの一抱えすべて」である自分そのものに近い。

そこに相手がいるから出さない、出せないことってあるものだ。




もっと本を読もう。色々なものを見よう。
広く深く、そして快適なものを探しに行こう。

世界はそこにある。
トラックバックURL : http://kakiwo.exblog.jp/tb/5058007
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by そら at 2007-01-31 23:04 x
この記事、私も読みました。

ネットにいる自分が「本当」なのか、
現実の自分こそが「本当」なのかという問題は
ネットを初めて少し経った頃からよく考えるようになっていて
それは私が随分昔からサイトを作ったりしながら
何かを伝えようとしてきたからなのですけど…。

どちらだけが本当だというわけではない、というのが
実感としてここ数年感じています。

うまく言えませんが…。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-01 02:20
>そらさん

この、引用部分のちょっと前の平野氏のコメントで、
「本当の」という言葉が氾濫している、というくだりがありましたね。
よく、人が怒った時に「本当の性格が出る」だとか、
「本性が云々」だとか言う人がいますけど、
僕はこういう言い方に関してはいささかうんざりしているというか、
「楽な言葉を選んでいるなあ」みたいな気持ちになります。

言葉って基本的には「区別」から発生したと思うんです。
「彼」と「我」だとか、「山」「野」「海」だとかね。
原始の言葉はそんなものだったと言われます。
さっきの話に照らすと、怒っている自分が「本当」とするならば、
普段の社会的な仮面としての自分は「虚偽」になる、
でも人間そんな単純なものではない、とも思うのです。
人の中に、たった2つのシンプルな感情があるわけではない。

ネットにおける自分も、人と対している自分も、
明確に分かれるとかそういうものでなくて、
もっと1つに溶け合っているというか、どれも「本当」だし、
そうなると「本当」という言葉に字義通りの意味はなくなってくる。

なんだかぐるぐるとそんなコトを考えました。
午前2時という時間のなせるワザでしょうか。
Commented by そら at 2007-02-02 00:18 x
私が最近少し気になっているのは、「ネットの中の自分こそが本当の自分だ」とか「仲の良い友達の前でいる自分が本来の自分だ」という見方で、実はそれは自分がそうありたい、と願っている自分の理想像がそこにあるというだけの話なんじゃないかなと感じてます。

普段の社会的な仮面、はもちろんあると思うんです。

だけど、それもまた「含まれている」(シノブさんは溶け合っている、と表現されていますが)自分であるし、仮面をかぶっているのなら、仮の姿だと言うならば、その姿であることを選んでいる行為そのものが、また「真実」だと言えるし、じゃぁ、一体全体「本当」ってなんだろう、などと…考えているわけでして…。

もう午前0時を過ぎたので、これもまた時間のなせるワザなのでしょうか。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-02 20:28
>そらさん

うむ、お互い、深夜のとばりのナセルワザでありましょう。
夜っていろいろ考えちゃいますよね。

今はまだ会社です。
長い打ち合わせから解放され、
とりあえず席に戻って次の打ち合わせを待つ。うう。
by shinobu_kaki | 2007-01-31 09:38 | ライフ イズ | Trackback | Comments(4)

移動祝祭日


by Shinobu_kaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31