重松清「流星ワゴン」

昨日、会社の近くのそば屋の2階で読み終えた。

「涙なしには読めない」との評判に違わず、
かなりぐっと来るものがあったのだが、
会社の近くのそば屋の2階で嗚咽したり落涙したり号泣したり、
というのもどうかと思ったのでなんとかこらえてみた。
読んでいたのが会社の近くのそば屋の2階でなかったなら、
誰はばかること無く泣いていたかもしれなかった。
このラストシーンには、人を泣かせる成分が入っていると思う。

タイトルの「流星ワゴン」とは、作中にでてくる赤いオデッセイのことで、
このオデッセイが一般のそれと違うのは、
乗っているのがかつて死んだはずのある父子だということだ。
と言っても「流星ワゴン」にオカルト的に「怖い」要素はほとんどない。
赤いワゴンは死を思う人のもとにふと、現れる。
彼がそのままワゴンに乗り込むと、それはタイムマシーンのように時空を巡り、
過去にあった、人生の「たいせつな瞬間」へと彼をいざなう。
そこで彼は過去の自分を、後悔した瞬間を「なぞる」のである。
三谷幸喜が脚本を書いた「天国から北へ3キロ」を思い出した。
大地真央が主演だったと思うのだが、なぜかやたら泣けたのを覚えている。

「流星ワゴン」は、寓話である。
つまり一種のファンタジーなのだが、彼が追体験する家族の問題は、
とても現代的な苦悩であり切実だ。
重松清は初めて読んだけれど、リリカルで「若い」文体が、
ウエットな物語によく合っていた。かなり良作だと思う。
読んだ人の人生において「たいせつな一冊」になり得るんじゃないかな。

「流星ワゴン」を読んで思ったことあれこれ。

人にはそれぞれ大切な瞬間、大切な関係、大切な人生があるということ。
人の幸せはその人の周りの人間との小さな、しかし良好な関係によるということ。
後悔しない人間などいないということ。
相手と正面から向き合うことはコミュニケーションにおいてとても大切で、
それはとりもなおさず自分自身と向き合うことを余儀なくされること。
つまり、何かを手に入れようと思ったら傷つくことを恐れてはいけないということ。


さて、今日から次の本を読み始めます。
小説ではありませんが、
松岡正剛「17歳のための世界と日本の見方」
17歳というには、えーと、2倍くらい行っていますが(ごほんごほん)、
まあ「青春18きっぷ」も年齢関係なく使えますからね。
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Commented by sasakure at 2007-02-07 10:14 x
こんにちは☆
重松清の作品は若い人の描写がみずみずしくて好きです。
やはり泣いてしまうことが多いので外で読むには不向きです。
でも泣ける自分が嫌いではないのです。

>相手と正面から向き合うことはコミュニケーションにおいてとても大切で、それはとりもなおさず自分自身と向き合うことを余儀なくされること。
同意、納得いたします。頑張って実践もしていると思う。
でも
>何かを手に入れようと思ったら傷つくことを恐れてはいけないということ。
傷つくのが怖いから、何もいらない…
ここに落ち着いてしまう、思いっきり後向きな自分が情けなくなります。
失礼しました。
Commented by みかち at 2007-02-07 13:33 x
ちょうどこの本、これから読もうと思ってたんだよね!
母親が重松清の本たくさん差し入れしてくれて。

ということで、本編読み終わってからじっくりレビュー読ませていただきます。

ちなみに今は、さやに借りた東野圭吾を読破中。

入院してから、あなたにもらったの含めて7、8冊くらい?読んだなぁ。
すっかり(やむなく)本の虫。
Commented by さや at 2007-02-07 14:46 x
流星ワゴン。随分 昔に読みました。
友達に借りて。これは借りた本だったけど買ってもよいと思うくらい
いい本だった。
泣けるよねー。あとやっぱね。家族は大切にしないとねーと思った。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-08 16:54
>sasakureさん

>やはり泣いてしまうことが多いので外で読むには不向きです。

会社の近くのそば屋の2階で読むには向いてないな、と思いました。
登場人物が素直でピュアなのがよかったです。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-08 16:56
>みかち

なんか色々展開があったみたいで。
献身的な旦那さんの存在はありがたいよね。

外出できない時期、やはり本が友達になるやねえ。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-08 16:58
>さやさん

結構前の本なんだよね。いい本です。
自分を省みたり前向きになったり何かを大事にしようと思ったり、
読んだ後に何かが変わるというか、
そういう本が「いい本」だと思いますやね。
Commented by snow at 2007-02-09 00:03 x
shinobuさんは読書が好きなんですね、今さらですが。
私も読書好きで、読む速度が速いです。(深く読んでいないから?)
映画館でネイティブと同じ時に笑ってしまうほど………
伊坂幸太郎氏の新刊「フィッシュストーリー」さっそく読みました。
黒澤さん(私のお気に入りの人)が出てきますよ~。
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-09 08:41
>snowさん

>画館でネイティブと同じ時に笑ってしまうほど

それは、読書好きのせいというよりも、
英語が堪能ということでは…?(笑)

黒澤さん、渋いですよね。スターシステム。
Commented by snow at 2007-02-09 23:33 x
英語が堪能ではなく、文を読むのが速いんです〜
お酒はマッタリ飲みますが。明日も仕事だ〜おやすみなさい
Commented by shinobu_kaki at 2007-02-11 10:10
>snowさん

字幕が出た瞬間に反応するってことかなあ。
休日仕事、おつかれさまです。
by shinobu_kaki | 2007-02-07 02:46 | shinoBOOKS | Trackback | Comments(10)

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