時代

「それにしても解せない あなたはまるで変わらずにおられるのに
何故自分はこうも年を取ってしまったのか」

「それは…あなたの欲が深くていらっしゃるから」

「欲が深い…? といわれたか…」

「あなたはあの二十一年前の瞬間よりも
もっと美しいほうへお移りなさりたがった
生きておられるあいだ中 もっと美しいものをと
憧れることをおやめにならなかった
だから…年をお召しになった」

「そうか…あなたは少女ではないのだ
女でさえないのだ あなたは…ただの美にすぎないのだ
…あなたは画(え)だ」

「…そしてあなたは詩なのです
画(え)は変わらずにいて 言葉は移ろうのです」


関川夏央/谷口ジロー「『坊ちゃん』の時代」より



このネームを書いたのは関川夏央かな?いいね。
最後の一言がいい。

近代日本の黎明、つまり明治期の群像を描いた一作、
「『坊ちゃん』の時代」。これ以上無いほど静謐な漫画である。
最終の第五部は、中途より夏目漱石の白昼夢のように描かれている。
修禅寺で大量の吐血をみた漱石は死の淵を彷徨うが、
病床にて漱石の見た夢はさながら走馬灯か万華鏡のごとくだ。
漱石は若き日の帝都竹橋で一瞬だけかいま見た「永遠の少女」に出会う。
光射す病院のベッドに鎮座する、かの日の少女の姿があった。
少女はあの当時の十二、三歳のまま。漱石は実に齢四十三を数えていた。

明治はまさに、今では想像つかぬほどの時代の転換期。
自分が今ではなく、明治期に生まれていたかったかというと微妙だね。
別に今がすごくいい時代だとは思わないし、
むしろひどい世の中だと思う事象もたくさんある。
仕事はふらつくほど詰まっているし休みも少ないし、
毎日終電帰りだし今週の日曜日も休日出社でうんざりだが、
(だんだんただの愚痴になってきているなw)、
それでも「今」という時代はそれなりに面白いし、
まあ悪くない部分もあるんじゃないかと思っている。
少なくとも違う時代に生まれてさえいれば、なんて思わない。
それが偽らざる現在の、僕という人間においての正直な気持ちである。
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Commented by kuro at 2007-06-17 17:28 x
確かに明治も激動だったんだろうけど、
「今」も、「これから」も相当激動だよねぇ。きっと。

早起きして飛行機ん中とかでビールがぶがぶ飲んでるので、
うまく書けないけど(いつもか)、
すごい時代になっていくんでしょうなぁ。。

個人的には、昨今の中国が気になるよ。
広東省では、下水から採った油(!!)が横行していて
「マイ油」を持って料理屋に行くOLの話とか新聞に載ってたけど、


まぁ、ある意味、ものすごい究極のエコかもだけど(違います)


豚肉も既に高騰が始まって、食料中心にインフレ懸念が顕在化してるってーし、
都市部の不動産・株バブルとか(どこが共産主義国なんだ)、
地球過熱化(温暖ではなく)とか、
中国の動きがものすごい影響を与えることは明白ですし。

問題は、誰がコントロールできるのか。
中国を。

Commented by shinobu_kaki at 2007-06-18 13:54
>くろさん

>広東省では、下水から採った油(!!)が横行していて

いや、それはちょっと…ね。やだなあ。

中国ってずうっと世界の懸案ですね。
やっぱ何しろ大きすぎるのが難しくなってるんでしょうか。
by shinobu_kaki | 2007-06-15 22:31 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(2)

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