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言葉と依存。

よく「依存していない人間は言葉を獲得する」と言われる。

自分で考え、自分で行動し、自分でリスクを負って生きている人は、
(たとえ言葉というものが宿命的に借り物でしかないとしても)、
自分だけの、血肉を伴った、生きた言葉で話すことができる。

口がうまいとか、饒舌だとか、そういうことではない。
つまり「個」として、他者とコミュニケーションできるということ。

「個」として自立できていない人は、どうしても状況に流されてしまう。
発言、つまり思想がポジションによって左右されるということだ。

依存は主に経済的な部分によるのだが、もちろんそうでないものもある。
サラリーマンは構造的に会社に依存しているが、
かといってフリーランスが何者にも依存していないかというとそうではない。

完全に「個人」として働ける職業というのは非常に少ない。
スポーツ選手や芸術家はかなり近いが、
完全にシステムから自由というわけではない。
選手は所属団体が必要だし、芸術家はいつの時代もパトロンが必要なのである。
モーツァルトだってあの美しい曲たちを「生活のために」書いたのだった。
(川島雄三みたいですね)。

だから、システムから自由であることと、
人が「個人」として生きることとはきっと別の問題なのだ。

人が口に糊して生きる以上、経済というものはあって、
経済というものがある以上、市場というものは存在して、
市場が存在する以上、コンテンツとして自分という商品があるということ。
提供する立場なのか、提供される立場なのか。
売れる価値があるものなのか(価値は相対的なものだ)。

まあ、ブレイクスルーするのは市場価値云々を考える人よりも、
より強くマニアックな個人の「想い」だったりするのだけど。
by shinobu_kaki | 2007-08-15 10:08 | 言葉は踊る。

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