痛み

昔というか、20代の頃に比べると、
痛みを感じることが少なくなったね。

痛みというのはもちろん肉体的苦痛という意味じゃなくて、
精神的な後悔とか自己嫌悪とかのことで、
そういった過ちに悶え苦しむ期間が短くなった、くらいのこと。

いまだってもちろん何かあったら悶え苦しむけれど、
かつてほど尾を引かなくなったように思う。
そういった意味では生きるのが幾分ラクになった。

「年をとって、少しラクになった」
「30歳を過ぎたらラクになる」
なんていうと、
「それってどういうことなんですか?」と聞かれる。

それは、「分母が増えた」ってことなんだと思う。
過ごした日々が増え、その分経験も積み、
ある日の痛みもワン・オブ・ゼムに過ぎないと思える。
そんなふうに思えるようになっていく。
分母の値が増えると、分子の値は減る。
10分の1より、15分の1のほうが値は小さい。
単純だが、そういうことだと思う。

この理屈で行くと、
これから年を取るたび楽になっていく、ということになる。
ただしそれは、分子の値が同じとした時のことだ。
年をとるとあらゆることに責任が増えて行くから、
つまり自分以外のリスクを引き受けるケースが増えて行くから、
痛みを感じる機会も増えるのかもしれない。
そうやって、トントンになっていくのだろう。

もちろん、年をとっても責任を取らずにすむ人生というのもある。
社会的しがらみを出来る限り捨てて、一人で生きていくというものだ。
そんな人生は確かに楽だが、しかし、少し寂しい。

じゃあ、痛みの相対値が減るように、
喜びの相対値も年をとることに減って行くのか?
これはその通り。
大人になるにつれて、人は、
子供の頃のような爆発的な歓喜を感じることはなくなる。
全身が総毛立つような、細胞が破裂するかのような、
そんな喜び方をしなくなっていく。

だからこそ、年をとってからの強い喜びというのは貴重だ。
大事にするべきなんだよ。
意識してクールになんかならなくていい。
感情的でいいんだ。
黙っていたって、年月とともに人は淡々としていくのだからね。
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by shinobu_kaki | 2007-08-19 11:58 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

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