森博嗣「天才の共通項」

MORI LOG ACADEMYより、天才について。
天才というか、「超一流の仕事人」について、と言うべきか。
ちょっと引用させてください。


 これまで、いろいろな分野で天才あるいは達人と呼ばれる人たちにお会いしてきたが、ほぼ共通していることに気づいた。それは、「自分よりも上手い人間は沢山いる。とてもかなわない」と口にすることだ。これは謙遜ではなく、正直に感じているところだろう。劣等感とまではいかないまでも、優越感を持つようなところへはまったく到達できない、という気持ちが、なんらかの新しい道を彼らに思いつかせるようだ。自分にしかないものを強く求めるベクトルが、ここで生じる。もし、彼らがその分野で客観的にも主観的にもトップクラスの技術を持っていたら、現れなかった方向性かもしれない。オリジナリティとは、このように、ある種のストレス(あるいは諦め)から吹き出もののように突然生まれるものかもしれない、と感じる。
 もう1つ重要なことは、他の才能との差異に敏感であるのに、けっして排除しないことだ。「あれはね、僕が目指すものとは明らかに違う。でも、面白いよね」と彼らは言う。おそらく、こうした広い視野や柔軟な視点を持っていることが、第2の条件だと思う。認めるのではなく、なにものも嫌わない、したがっていつでもどこへでも向かえる、という姿勢だ。


こういう人たちはつまり、自信があるということではないだろうか。
俗に言う「自信」とは、自分が他人より優れていると思うことではない。
自分はここまではできるが、ここからはできないというような、
自分自身の座標をしっかり認識している人が、
いわゆる「自信のある人」なのではないかと思う。
つまりそこには諦念は含まれてよいのである。
いつの時代にも全能な人など存在しなかったのだから、
誰もがどこかで挫折または挫折のようなものを味わうはずなのだ。
そこを通過した上で、どのように行くかというのが大事なのである。
トラックバックURL : http://kakiwo.exblog.jp/tb/6023740
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by こーさく at 2007-08-21 03:00 x
あ~ 自分も実感として
超一流の人にはそういう空気を感じます。

実際、超一流と呼ばれるような人は他の超一流と会う機会も多いので
自然と謙虚になれるのかもしれませんね。
大海にいるから井の中のなんとかになりにくいみたいな。
Commented by shinobu_kaki at 2007-08-21 11:23
>こーさく

超一流の人に会ってみたいです(笑)
その時の自分に見合った、意識の高い人が集まるというのは分かるね。
スパイラルっていくのでしょう。
Commented by kuro at 2007-08-21 19:30 x
こういう感じのこと、
スポーツで言えばGetSports とか観てると、思うよね。
Number もそうだし。

いつもの如く、話しの流れとちょっと違うかもだけど、
凄い人たちは、その道における閾値というか弁別閾が、
普通の人と極端に細かい、というか。
(逆に、関係ないカテゴリーだと、普通の人よりもむしろ感性が低かったり。)

座標もしっかり持ってると共に、
その目盛も非常に繊細である、ということでしょか。
Commented by shinobu_kaki at 2007-08-21 20:24
>くろさん

なんというか、爽やかですよね。
たたずまいとか姿勢が。

それはきっと、ある程度自分自身と勝負して、
(他人ではなく)自分に勝ったと思える経験があり、
それがために他人と比較してぐちゃぐちゃにならずに済むというか、
そういう意味での自分の「才能」でもって、
世界と対峙して生きている、または生きてきた人。

>弁別閾

この言葉知らなかったな。
Commented by HIRA at 2007-08-22 21:54 x
最近「この人素敵!」が増えてきて楽しくなってきましたけど(笑)、自分がまだ中途半端だからでしょう。まだ超一流って思う人にあった事がないです・・・。 会っても通りすぎちゃってるのかもしれないですね。
Commented by shinobu_kaki at 2007-08-23 07:49
>HIRAさん

「この人素敵!」が増えたのは、いいですね。
実際にそういう人が集まっているのか、
そう感じられる自分になってきているのか。
by shinobu_kaki | 2007-08-20 17:53 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(6)

移動祝祭日


by Shinobu_kaki
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31