雷句誠と小学館の件について。


雷句誠(らいく・まこと)。漫画家。1974年8月23日生まれ。
代表作は「金色のガッシュ!!」(小学館週刊少年サンデーに連載)。
何といっても小学館に対する訴訟問題で渦中の人物。
まず小学館側がカラー原稿を紛失したことに対する賠償金の問題があり、
それに付随してページ当たりの原稿料(1枚あたり1万7000円)が
ネット上で明らかにされた。これについて他の漫画家によるリアクションがあり、
それは主に、7年間で2200万部超(32巻)を売り上げたドル箱作家にして、
その原稿料はいくらなんでも安すぎる、という論調のものだった。
これに、やはり漫画家の新城まゆ等が反応(まゆたんブログ:思うこと)
小学館の編集者の悪質さを具体的にブログに書き、さらに騒動は広がっている。
竹隈健太郎氏のたけくまメモのコメントスレッドもかなり紛糾していて熱い。

もし、これを機に何か漫画界の構造が大きく変わるようなことがあれば、
雷句誠の名前は、欧州サッカーにおけるボスマン判決
ジャン=マルク・ボスマンのような形で、漫画の歴史に残るのかもしれないネ。

もしネットで言われているような小学館の編集者の行状が事実だとすると、
パワーハラスメントというよりもすでに犯罪的な域というべきものだ。
というか、マンガ出版の世界がそれだけ「ヤクザな業界」だったということか。
現代的ワークライフバランスの視点で見るとあり得ないような、
ぐちゃぐちゃでめちゃくちゃな中からマンガは生み出されてきた。
それが現代の基準に照らしてみるとトンデモない状態だったということ。

システムのどこかに無理がある。無理があるというのは具体的に言えば、
誰かが犠牲になって成立している状態であるということ。
それはかつての土着的日本の生活文化で言えば「お嫁さん」が犠牲になったのだし、
日本のビジネススタイルで言えば「下請け」「派遣」を犠牲としている。
これらは多分に昭和日本的で「現代的」ではない。
もっと言えば、「理想的」ではない。あるべき姿ではないということだ。
例えば船場吉兆のアレや、橋下徹大阪府知事の血の出るようなコスト削減、
マクドナルドやワタミの店長職の残業費等待遇についての件、
さかのぼってJR福知山線脱線事故もそうだと思うし、
派遣社員の労働条件の問題という意味では秋葉原の事件も全く無関係ではない。
【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式
つまり社会のあちこちのいびつな部分から、膿が出ているようにも見える。

そして今回、ことさら新鮮に感じるのはネットの果たしている役割の部分だ。
個人の声や意見が、その影響力の結果的大小に差はあるとしても、
とりあえず大多数の人の目に入る場所に放つことができること。
例え小さくか細い声だとしても、勇気と覚悟とネット端末さえあれば、
広く世間に「上奏」することができる、これは本当に大きいと思う。
これはかつての世界になかった新しいフェーズだ。
密室から情報が引きずり出され、本来声の届かない人に市民が口をきく、
どこかフランス革命的な面白さがある。

それにしても、つくづく言葉が大事な時代だと思う。
本来、直接的なコミュニケーションの要素としては、
言語以外のノンヴァーバルな部分の影響が少なからずあり、
それは表情であったり顔つきであったり、身振り手振りであったり、
衣服や髪形を含めたキャラクターの部分が大きな役割を占めるのだが、
オンラインにおいては不特定多数とやりとりができる代わりに、
交通のためのコミュニケーションツールはテキストという「通貨」のみとなる。
要するに、内容に関わらず発言そのものが力を持つ有名人のケースを除いて、
ネット上で何かを表明するには文章が上手いほうが圧倒的に有利なのだ。
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by shinobu_kaki | 2008-06-12 11:39 | エウレーカ! | Trackback | Comments(0)

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