職とプライド。派遣村について


だらだら書いてみる。

派遣村の件(余談だけど「派遣村」って誰がつけたんだろう?)、
総務省の政務官が「本当に働こうとしてるのか」みたいな、
まあ至極本音的なコメントを出していたよね。
人が働くにあたって、正社員としての雇用を選ばないという道は、
「常に選択肢を用意した可能性のある生き方」という言い方もできるし、
「長期的視野と計画性に欠けた行き当たりばったりの労働選択」
というシビアな言い方もできる。
ただ、「国民の健康で文化的な生活」は憲法で謳われている、
いわば国というか政府のひとつの義務なのだから、
今回、村に集まらざるをえなかった人は気の毒と言えば気の毒である。

だけど冒頭の政務官のコメントのような疑問は確かにある。
あの場の皆が、本当に真剣に働こうという決意を持っているのか?
【追記】政務官の取消・謝罪コメント出ましたね。

僕もこれとほとんど同じような心理状況を、弟の件で数年前に経験した。
当時は雇用状況が今ほど悪くなく、まあバイトを転々として食いつないで、
演劇とか、「自分の本当にやりたいこと」に時間を最大限使う、
そんな選択肢が現実的で可能なもののように思われた。
でも結局、弟は経済的に破綻してしまった。
人間関係などが上手く行かず、バイトが長く続かないのが原因だった。

僕も時折会って弟と話したが、やっぱり苦しんでたよね。
何に苦しんでいたか。
それは、自分自身と社会、働き先との兼ね合いに。
もっと言えば、自分自身のプライドの落とし所を見つけられずに苦しんでた。
「生活のために、金を稼ぐ」ことを最優先に思えば、
誰もがしなければならない我慢やある程度の忍耐の部分を、
彼はあまりにも省みていなかったと思う。
見ていて、話していても、それくらい自分を大事にしていた。

僕も20歳から働いているからもう16年ほど仕事をしていることになる。
やっぱり今よりも若い時のほうが苦しかった。
他人や、仕事環境における自分自身の落とし所に苦しんだ。
それは自分の自意識との戦いだよね。「これでいい」と思えないというのは。
働き始めてから今まで、うんざりするほど嫌なことも多く経験したし、
実際に倒れたことはないけれど、真剣に危機を感じるほど疲れたこともあるし、
何年も経った今でも絶対に許せないような態度を取られたこともある。
自転車で赤信号の交差点にこのまま突っ込んだら楽になれるなとか思ったり。

でも「働いて金をもらう」って、
そういうことも「込み」なんじゃないのかとも思う。
(最後の自転車のはどうかと思うが…)

楽しいことだけして、嫌なことなんかなくて、色んな人とも知りあえて、
なおかつお金も貰えるなんて、そんな話があると思うほうがおかしい。
ギャラはそもそも報酬、つまり「対価」なんだ。そこを考えないといけない。

以上、個人のマインドの話。

今回の「派遣切り」に関するひどい話については、
もちろん社会というかシステムに問題があったことは確かだし、
こんなこと書いている僕も、たまたま今は仕事を得てはいるけれど、
一寸先はどうなっているか分からない。そう思うと怖い。
僕1人ならまだやけっぱちにもなれるけど、
今は大事な2人が、かわいい家族がいるからね。

職とプライドに関して書いたけど、この2つはとても密接に関係している。
職を奪われるということは、恐ろしくプライドに関わるものだ。
これはおそらく「他人に実際的に必要とされる」という状況が、
人間にとってどれだけ支えになっているかということだと思う。

だから「本当に働こうとしてるのか」という冒頭の質問に対しては、
(もちろん、全員が同じ気持ちではないだろうが)、
彼らは、イエスでありノーだろうね。働きたくないわけじゃない。
でも自分自身の人間的な気持ちとして、職を奪われたことで、
また面と向かって「あなたは必要じゃない」と言われたことで、
力がでないし、元気がなくなっている、というのはあると思う。

ただ第三者の態度としては、
そこに同情はするが、同情しかできない。
気持ちは慮ってあげられるかもしれないが、それだけだ。
それを冷たいと言う人がいたら、
今すぐ、自らの私財をなげうって世界の飢餓の足しにしてくれ。
人生なんて最期は、自分でなんとかするしかないわけだから。
なんとか頑張って欲しい。強くあって欲しい。
「明日をも知れない」なんて、今、誰もがそうなんだからね。


ところでウェッジウッド破綻のニュースにはびっくり。
こういう「価値がある程度安定したもの」って大丈夫だと思い込んでいた。
やっぱり今までとは認識を変えないと、現象についていけないのかも。
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by shinobu_kaki | 2009-01-06 11:30 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

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