あの言葉を探している。


飯島愛の訃報に触れた時に、
同世代(というかほぼ同年齢)ということもあり、
何か書き記したいと思っていた。
あの、やるせないような寂しいような、
そしてどこにも行き場のないような気持ちをである。
これは非常に「ブログ的」な行為と言えると思う。

そこで、とある小説のフレーズを思いだし引用することにした。
自分自身の稚拙な言葉でもってあれこれ綴るよりも、
文章のプロの手になるその見事な一説を引用するほうが、
よっぽど僕の心境を代弁してくれるだろうと思われた。
それは男性2人の会話文だった。

しかし最後の一文、最後の一言は憶えているものの、
その前の一節がどうしても思い出せなかったのである。
悪いことに、その一節がなければ最後の一文の意味がわからない、
意味として成立しないタイプの文章なのだった。
あいにくネットで検索しても出てこないし
(インターネットにはすべてがあるわけではないのだ)、
家にある「これは」と思う本をめくってみても見つからない。
そうこうしているうちに、
飯島愛の訃報について書くべき時期は過ぎ去ってしまった。
もちろん回想としてならいつでも書けばいい。
だが、その報せを受けて最初に感じた手触りというか、
その場で感じた思いを「自分に嘘のないように」記すには、
もはやその言葉以外にないように思われた。


その言葉とは、

「ただの女の子だったんだろ」

というものだった。


その小説も、とある女性の訃報に触れた話だったと思う。
僕の記憶が正しければまさに、今回のニュースと状況的には酷似していた。
小説内の女性は、亡くなる前に(確か)コール・ガールか何かをしており、
共通の知り合いである男性2人が女性のことを話している。
そう記憶しているつもりなのだが、何しろきちんと憶えていない。
まったく違う内容だったかもしれない。
あえてアレンジをするが、以下のような会話である。


「この間亡くなったあの女性、死因がよくわかってないらしいよ」

「1人で死んでたんだって?」

「都心のマンションでね。クリスマスイブに見つかったんだそうだ」

「とっくに引退してたんだね。ブログは書いていたようだけど…」

「その少し前には、数千万単位の横領被害にあったんだそうだ」

「そうか、気の毒にな」

「バラエティ番組ではレギュラーを持ってた。人気があったようだよ」

「小説も出してたよね?」

「ベストセラーになったな。タレントの前はAV女優をしていた」

「じゃあ、その前は?」

「いわゆるやんちゃな、不良高校生だったらしい」

「その前は?」

「ただの女の子だったんだろ」
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Commented by yukachin at 2009-01-27 22:39 x
ただの女の子だった頃、ただの会社員女性になっている今の自分を、
想像することすらできていませんでした。
別段、特別な人生を送るだろうと思っていたわけじゃないのに、
未来の自分は、先であればあるほど、遠い存在に思えて。

そう思い返すと、『ただの女の子』から遠くまで来たんですね。
その道のりは彼女と私とで、一体何が違うんですかね。
Commented by shinobu_kaki at 2009-01-28 15:32
>yukachin

この件についてはリアリティがあるようなないような、
未だに不思議な感覚を受けています。

昔の、例えば高校生の頃に思った未来の自分、
という意味でいうと、
今の僕の状況というのは…どうでしょうね。
あの頃はどちらかというと今よりも短絡的で極端だった気がします。
足をつける地を見つけられていなかったし。
まあ、今はどうかと言われるとそんなに大したものではないですが。

by shinobu_kaki | 2009-01-26 12:43 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(2)

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