「茄子」3巻と会話の妙。

ものすごく久しぶりに、黒田硫黄「茄子」3巻を読んでみる。
もう何度も読んだし、お風呂の中に持ち込んだりもしたので、
ページはよれてクシャクシャである。

元大学教授(らしき)高間と、
旧友である怪しいスカウトマン松浦の会話。
単行本の62pと63pの見開きだ。
松浦はいつも自分の仕事を「宝さがし」とうそぶく。
高間は田舎で自給生活をしている。
場所は高間家の縁側。
2人は昼から水割りを飲んでいる。

「そんでおまえ、あの宝っての見つからなかったのか」
「宝はな、あるんだよ。掘り出すところまでいったんだ。
でも出資者と折り合いがつかなくておじゃんさ」
「もったいねえなあ」
「宝ってのは埋もれてるから宝なような気がするんだなきっと」
「ロマンチストだな」
「ロマンチスト…おまえさ、ロマンチストは。
昔は詩なんか読んでて変なやつだと思ったぜ」
「別に変じゃないぞ」
「うん、おれにはよくわかんねえと思っただけで。
なるほどロマンチストとは、自分以外はばかだと思ってる奴か」
「いや昼間っから酒かっくらってる奴のことだろうな。
…ロマン補充すっか」
といって水割りのおかわりを取りに行く高間。

お互いに照れくささを持ちつつ、実はそれほどウマの合うわけでもない、
それなりに年をとった男同士の友達の距離感が絶妙でいい。
人によっては不愉快に思うかもしれない「宝さがし」というはぐらかしにも、
高間は優しくつきあっているのだ。

終始はっきりしなかった松浦の仕事の内容だが、
68pのカットバックですべてが一瞬のうちに明らかになる。
これは非常にテクニカルに描けている。

やはり会話文っていいね。
ドライブのある会話は、それだけで高揚する。
昔、完全に会話だけで漫画が描けないかと思ったことがあったけど、
すでに「ちびまる子ちゃん」でさくらももこがやっていた。
(まあ他にも色々な人がやっているだろうけど)

小説もそうだし、対談が好きなのもそうだと思うが、
会話文に魅かれるのは僕が漫画で育っているせいかな。
トラックバックURL : http://kakiwo.exblog.jp/tb/7976163
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by shinobu_kaki | 2009-02-20 00:11 | shinoBOOKS | Trackback | Comments(0)

移動祝祭日


by Shinobu_kaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30