宮崎駿「陰影の家」

やっぱり家が必要なんです。
においのする、暗がりのある、そういう家を建てるのは難しいけど、
場所を作らなきゃならない。
あんまり世界が単純明快だって思っている子供たちっていうのは、
ツーバイフォーのすみからすみまで全部わかる家に住んでるから
そうなっちゃうんじゃないかと思うのね。

宮崎駿(1990年12月 糸井重里との対談より)




生まれてから18年間、田舎の古い家に住んでいた。
玄関を出ると見渡す限り田んぼで、
近くを小さい川が流れ、ザリガニやフナなどがそこにいた。
家の隣は60m四方ほどの原っぱで、
秋になると赤トンボが入り乱れるように飛んでいた。

実家は製材所を自営していたので工場(こうば)が併設されていた。
毎朝職人さんが勤めにやってきて、夕方になると帰っていった。
日が暮れると家の周りは黒々とした夜で、子供の僕は夜の闇が怖かった。

裏庭には古ぼけた小さな庭園のようなスペースがあって、
小さな石灯籠が置いてあった。大根やナスを植えた狭い畑もあった。
それらの奥に材木置き場としてそこそこ大きな小屋があって、
小屋の前の車に5、6台も停まれるスペース、そばに大きな栗の木があった。

家自体も古かったがやたらに広く、土はないが土間があった。
1階から急な階段を上がると3階に達し、
そこから2階に降りていくという変則的な作りの家だった。
いつも2階で寝ていた僕は、夜トイレに起きた時など、
廊下を歩くたびにギシギシと音がするのが怖くて仕方がなかった。

そんな家の隅々すべてを、自分が知っていたかというと疑問が残る。
確か、開けたことのない扉などもあったと思う。
単なる物置の扉だったと思うが、
僕にとっては不気味な「開かずの扉」だった。

そんなこんなで大人になって、僕は住むなら新しい部屋がいいと思う。
不気味さとは無縁なキレイな部屋に住みたいと思う。
家の周りに何がいるのかわからないような暗闇の夜はいらないと思っている。

だが、宮崎駿の言っていることはよくわかる。
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by shinobu_kaki | 2009-02-25 10:52 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(0)

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