2009年 03月 16日
【マクガフィン】
【マクガフィン】(MacGuffin, McGuffin)
物語を構成する上で登場人物への動機付けや話を進めるために
用いられる仕掛けのひとつ。登場人物たちの視点、
あるいは読者・観客などからは重要なものだが、
作品の構造から言えば他のものに置き換えが可能な物をそう呼ぶ。
(例)
「あの男(ひと)は私にとってはマクガフィンに過ぎなかったのよ、
他の人たちからどう見えたのかは知らないけれど」
…という例題は冗談ですけど。
wikipedia-マクガフィンの項に詳しいが、
「マクガフィン」は、かのヒッチコックが好んで使った用語のようである。
比較的身近な映画を例にとると、
クエンティン・タランティーノ監督「パルプ・フィクション」において、
サミュエル・L・ジャクソン扮するジュールスの持ち歩いていた、
高価なものが入っていたであろう黒いスーツケースがそれにあたる。
劇中、トランクの中を見てリアクションする者はいても
(強盗役のティム・ロスの顔には「それ」が金色に映りこんでいた)、
スクリーンのこちら側にはついに一度もその中身が明かされることはない。
よってこのスーツケース(とその中身)が、
この物語における「マクガフィン」というわけである。
あと思いつくのはスピルバーグ監督「激突」の、
全編に登場しながら最後まで正体の分からない謎のトレーラー。
そして藤子・F・不二雄のSF短編「ヒョンヒョロ」がそうだろうか。
それにしても「マクガフィン」とは、人名のような不思議な言葉である。
同じポジションの言葉を探したのだが思いつかなかった。
「信頼できない語り手」などが近いだろうか?あまりピンとこないが。
でも「グランドホテル方式」は違うものなあ。
ジャンルは違うが、似た言葉がひとつだけあった。
「トマソン」である。
汎用性のある意味があり(つまり言葉の前に「いわゆる」とつけても成立する)、
そして人名っぽい、というのが選出の理由である。
マクガフィン的な言葉は、もっとちゃんと探せば見つかりそうではあるけどね。