都市のブランドについて。

「ブランド」とは古ノルド語をその由来とし、もとは家畜などに押された焼印から来ている言葉である。つまり「識別するためのしるし」だったわけだが、そこから派生して「個性」「付加価値」などの意味を持つようになり、いまや「商標」としてのポジションで認識されるに至った。そしてほとんどの商品が「商標」を持つようになると、価値、つまり他よりも良質であるというお墨付きは、実にぼんやりとしたイメージによってしか認識されなくなった。よほどのものでない限りブランドに実体はなく、そのうちに「ブランド」という言葉自体が、プレステージ的な意味で語られる事が多くなったと思う。「一流」とか「伝統」とか「高級」とか、そういったものが「ブランド価値のあるもの」として呼ばれている現状があるのだ。もとは家畜のハンコ程度の話なのだが、言葉の意味の変遷というやつは面白いものである。

以前、当ブログのコメント欄で「都市のブランド」の話に少しだが触れた。「東京」「横浜」「神戸」「札幌」にはある、「郡山」にはない、みたいな話だ(郡山在住の方、悪気はありませんので怒ってメールとかしてこないでください)。街のブランド、つまり「街の魅力、付加価値」ということになるのだが、僕がここで言っているそれは「旅行者の視点」に近いものだ。つまりよく知らないで言っているだけなので、そこんところ、暖かい目で見守っていただけると僕としては非常に嬉しい。今回は、個々の街というよりもっとざっくりしたエリアで見てみたいと思う。


[北海道エリア]
北海道はブランドエリアの宝庫だ。それは観光地的魅力にあふれた土地である事とほぼ同義である。食事は美味しく、景色は雄大で、なにしろ(首都圏から)遠い。この「遠い」というのがいいのだ。「遠い」ということは「ちょくちょくは行けない」、つまり「よく知らない」につながり、だからこそ「ステキかもしれない」という発想を生むに至るのである。首都圏と比較すると気候がかなり違うのも良い。後で書くが、これは沖縄について思うのと似た心性である。事実、我が家も、娘がそこそこ大きくなったら国内旅行は沖縄か北海道もいいなあと思っている次第である。
●代表的ブランド都市 札幌、函館、小樽ほか

[東北エリア]
我がふるさと東北であるが、北海道のメジャーな魅力には及ばない。もっと種類の違う、「落ち着いた」「枯れた」「わびさび」なんていう形容詞が浮かんでしまう。地味なのである。北海道がコロコロコミックなら東北はボンボンなのである。だが地味ゆえになかなか奥は深く、食事の美味いところは多いし、美人の産地と言われる秋田も擁している。ただ、東京で会った人の中で「北海道は行ったけど東北は行った事ないなあ」という人は結構いた。つまりそういう場所なのである。これは四国も同様だ。わざわざ行くにしては遠く、せっかく行くなら北海道(もしくは九州・沖縄)。これは非常に良く分かる。
●代表的ブランド都市 仙台、盛岡ほか

[関東エリア]
日本の機能的中心都市である東京を擁するが、それ以外のエリアは都会とは言いがたい(横浜は別格だが)。というより東京が特殊すぎる。東京はさまざまな個性の街が寄り集まって構成された世界的にも稀なギガ・シティであり、その高度集積回路のような密度は比類するものがないのである。それ以外ではやはり神奈川に良い街が集まっている。港町というポジションが独特の風合いを醸し出しているのだろうか。やはり差異はミックスから生まれるのかもしれない。
●代表的ブランド都市 東京、横浜ほか

[甲信越エリア]
「ベネルクス三国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)」と似た構造を持つエリアカテゴリ名が、この「甲信越(山梨、長野、新潟)」である。富士山や日本アルプスをいただく山がちなエリアで、スキー場の多さがそれを物語っている。それぞれ独自の名産品がある。米とかほうとうとか、そばとかね。
●代表的ブランド都市 魚沼(これは都市というより米か?)ほか

[北陸エリア]
富山と福井と石川の3県。ここはもう「小京都」金沢で決まりである。日本の中でも有数のグッドな都市だと思う。泉鏡花、徳田秋声、室生犀星などが金沢ゆかりの作家だ。個人的には小京都という言い方は「京都の劣化版」というニュアンスを含んでいて好きじゃない。金沢には金沢の良さがあり、ある視点で見るとそれは京都ですら及ばないものだ。南米のサッカー選手が「マラドーナ2世なんかじゃない、僕はメッシだ」と言うのと同じである。
●代表的ブランド都市 金沢ほか

[東海エリア]
静岡というのは不思議な県で、商品開発の際にまずテストが行われるのがこの静岡だったりする。地理的にも日本の中心と言って差し支えないが、何より日本の平均的な数値を表すものが多くあり、民度も高く、何かとちょうどいいらしいのだ。そんな静岡には伊豆や熱海がある。伊東、下田も静岡だ。清水市も有名だし、サッカーがらみで全国に名前を売っている都市は多くある。静岡は見どころが多いように思う。食べ物(特に魚介類)も美味いしね。愛知はトヨタが世界的に有名だし、なんと言っても名古屋がある。名古屋は完全にひとつの独立した文化都市として異彩を放っているのだ。岐阜は白川郷、そして関ヶ原の古戦場などが有名だ。このエリアは群雄割拠の戦国時代、覇権をかけて英雄たちが争ったまさにその場なのである。
●代表的ブランド都市 名古屋ほか


と、さすがに長くなったのでここまで。
続き「西日本編」は気が向いたらまた書きます。たぶん。
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Commented by ゼロヨンQ太 at 2009-04-13 20:39 x
鎖国時代に開港してたのは長崎だけだったのでは
Commented by shinobu_kaki at 2009-04-13 20:42
>ゼロヨンQ太さま

>鎖国時代の港町

確かにここの箇所がそういう表記になってますね。
変更いたしました。ご指摘ありがとうございます。


Commented by こーさく at 2009-04-15 20:53 x
岐阜「高山」もブランド力高いですよ。
某タイヤメーカーの旅行ガイドでも
三つ星観光地として取り上げたみたいですし、
僕もこの間行ってなかなか良いところでした。
Commented by shinobu_kaki at 2009-04-16 14:28
>こーさく

飛騨高山。行った事ないんです。
歴史の色濃い田舎っていいですよね。

それにしても某タイヤメーカーはいつのまにこんな権威を手に入れたのか。
Commented by こーさく at 2009-04-16 20:05 x
高山は「飛騨の小京都」とも呼ばれているので
金沢がお好きならオススメですよ。
関東からだと大変ではありますが。
Commented by シノブ at 2009-04-17 00:29 x
>こーさく

金沢は好きなので、飛騨も好きになるかなあ。
京的情緒、いいですね。
by shinobu_kaki | 2009-04-13 18:03 | エウレーカ! | Trackback | Comments(6)

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by Shinobu_kaki
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