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すべての自省たちへ 2nd

昨日、ネットでふと懐かしい名前を見つけた。

参考:すべての自省たちへ

彼は数年前にスコットランドから日本に戻っており、
井の頭線のとある駅のそばでショットバーを開いていたが、
惜しまれつつ、その店も閉めてしまい、
今は新しい分野での人生を歩んでいるらしかった。

彼の名前と写真を見つけた時は、懐かしくて涙が出そうになった。
そんな感じは本当に久しぶりだった。

素晴らしくしなやかな物腰の持ち主で、
決して強烈ではないが、印象的な暖かみのある人柄が、
彼のまわりの人々を魅了してゆく。もちろん僕もその一人だ。
ぜひまた、会えるといいなと思う。


この間、広尾の裏道を通ったときに、
「kana bar」がなくなり、違う店に変わってしまっていた。
気になってネットで調べてみると、
数年前に店主のkanaさんは亡くなっていたのだという。
たまたま近くに住んでいたからという理由で行った事が数回あるだけで、
店にはそれほど通い詰めたわけではなかった。
それでもオレンジ色の壁に囲まれた不思議なその空間で、
何度か杯を傾けた時間は確かに存在したし、
年齢の割にやんちゃさを残した店主の佇まいは忘れない。
ある夜、女優の桃井かおりさんが同じカウンターに座った時はドキドキした。
カウンターメインの小さな店だったので、
知らぬ人とのちょっとした会話に巻き込まれる、bar独特のあの感じ。
「彼は?」
「最近来てくれるの。kakiちゃんって言うのよ」
……
遅まきながら、ご冥福をお祈りいたします。


街も、店も、人も、それぞれ変わってゆく。
それは寂しくもあるが世の必然でもある。
古典風に言えば鴨長明「方丈記」から引用して、
「よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし」
となるが、
より僕らの時代にしっくりくるのはこちらだろう。


あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。
僕たちはそんな風にして生きている。

(村上春樹「風の歌を聴け」より)
by shinobu_kaki | 2009-05-13 13:03 | ライフ イズ

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