色。


エントリにするまでもない短い話題は短いままアップする、
というのが僕の常だったのだが、
そんなつぶやくようなカテゴリの言葉は今、
すべてtwitter(@shinobuk)に集約されてしまう。

しかし「王様の耳はロバの耳」という童話があるように、
人は口に出すか書くかすることで発散されてしまうようで、
本来であれば冗長にテキストを打ち出すようなことでも、
たった一言二言つぶやく(書く)ことで、
何か終わったような気持ちになってしまうのである。
ある種の想い、というのは揮発性なのかもしれない。


いろいろな人生があり、いろいろな言葉がある。
いろいろな人がいろいろな関係性の中、いろいろな暮らしを生きている。
そして世の中の大概の不幸は、コミュニケーション不全から起こるものだ。
「不足」ではない。「不全」である。
関わりすぎてだめになるもの、という事も世の中には確実に存在する。

昨日も僕自身、いろいろなことがあった。
懐かしい人たちとの再会、電話による実家家族の問題(暫定)解決。
青山と六本木の本屋を仕事で巡り、探しまわった夜。
小さな娘のいたずらに、咄嗟に怒ったような声を出してしまい、
ひどく怯えられて泣かれてしまったり(ごめんね)…。

最近、娘はずいぶん自覚的な表情が増えたように思う。
つまり「わかっている」のだ。
例えばこれを触るとパパが慌てるだろうなとか、
こうするとママがこう返してくるだろうなとか、
すべてわかったような顔で「えへへ」という感じで笑っている。
カラダを持ち上げ「高い高い」をすると喜ぶが、
する前に「行くよ、行くよ」と言ってスタンバイすると、
次に何が行われるか知っているという風情でキャハキャハと笑うのだ。
不安の時は不安そうに泣くし、不満の時は不満そうな声を出す。
もう、わけのわからないフニフニとした赤ちゃんではなく、
周りを見て、あらゆることを吸収する段階なのだ。
あまりみっともないことは出来ないなあと思うよね。

そして。




そんな一日の終わり。

家の廊下にアオガエルが現れた。本当に驚いた。
宮本輝の「春の夢」という小説では家の中にトカゲが現れるが、
ちょうどその話を思い出した。しかしいったいどこから現れたのか。
きっと、カエルを見たい見たいと言い続けている妻の願いが叶ったのだろう。
みずみずしい緑色をしたカエルが、体躯の何倍もの高さを跳ねて進んで行き、
カエルの何10倍もの大きさのはずの人間が圧倒されている。

そのままにしておくわけにはいかないので、
キッチンにあった小さなカゴなどを駆使して追いやろうと試みた。
近づくと、逃げるように跳ねてゆく。
ベランダへ出る。2度、3度とカエルは跳ねる。
ふと、柵の間から手の届かない闇の中へアオガエルは消えて行った。
高いところから落ちて死んでしまったのではと、
一瞬ヒヤリとしたのだが、
見下ろしてもつぶれてしまったカエルの姿はどこにも見当たらない。

きっとカエルは見事な着地を果たし、
あたたかな水のあるほうへたどり着いたのだろう。
そして無事に仲間のもとへケロケロと帰り着き、
「まったくひどい目にあったよ。人間の家なんて行くもんじゃないね」
なんて言ってるかもしれない。
そんなことを思っているうちに、無数のカエルの声が夜一杯に響きわたって、
あの一匹のカエルが存在ごと闇にまぎれてしまったように思われた。
それにしても見事な色をしたカエルだった。
「みずみずしい」とはまさにあのこと。
つまり存在として無理がなく、しかも中途半端でない。
それは実に自然の色だった。
やっぱり自然の作った色がもっとも鮮やかなのだ、と思った。
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Commented by junco at 2009-07-07 20:53 x
>あまりみっともないことは出来ないなあと思うよね。

そうですよね…。
言葉使いとか昔と比べて気をつけるようになりました。

が。

「泣くことあらへんがな~」と言ってる自分に気づき愕然。
なんてこったい。

一度カエルうじゃうじゃのこちらに遊びに来てくださいませと
奥様&小さいお姫様にお伝えくださいませ~。
Commented by shinobu_kaki at 2009-07-08 11:48
>juncoはん

カエルうじゃうじゃ…狂喜乱舞でしょう!
ありがとうございます。

今朝、家を出るときに手を振って「ばいばい」とやったら、
(きっと)同じように手を振って「ばいばい」と言ってくれました!

いやあ、かわいいですやね。
メロメロレポートでした。
by shinobu_kaki | 2009-07-07 14:49 | ライフ イズ | Trackback | Comments(2)

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