マンガについてのいくつかの雑感。

フォロワーってんじゃなくて、
ある漫画家の元アシスタントが師匠の作風を色濃く引き継ぐ、
というパターンがあるでしょう。
ちばあきおに対する高橋広(「イレブン」)がそうだし、
青木雄二に対する東風孝広(「カバチタレ!」「極悪がんぼ」)がそう。
つまり、一見して系譜がわかるタイプの漫画家さんね。
もちろんまったく同じ筆致というわけではなくて、
例えば上の2人については構図の取り方に変化をつけたりして、
師匠の作品よりも読みやすくなるよう工夫してるように見える。
ただ、どうしたって「キャプテン」「プレイボール」にはかなわないし、
歴史に残るのは「ナニワ金融道」のほうなのである。
正当継承者と思われる作家が、師匠を越えるパターンは見ない気がする。
でも考えてみればこれは当然のことで、
要するに「真似」からスタートしてその範囲内で勝負しているわけだから、
オリジナルよりも上の評価をもらうほうがおかしいってもんなのだ。

そういう意味でも、最近あらためて荒木飛呂彦はすごいと思っている。
ほとんど「ジョジョの奇妙な冒険」1作の人と言ってもいいくらいだが、
(他に短いのはいくつか描いてるけどね。「バオー」とか「ビーティー」とか)
ケレン味ありまくりの筆致は他に真似できる人がいない。
そして週刊ペースの連載のくせにその描き込みは非常に細かく、
真っ黒になってしまいがちな紙面を余白の効いたコマ割りでカバーしている。
こういうのは非常に大事なテクニックだ。
さらに扉絵の一枚絵としての完成度も高く、アイテムもゴージャスで、
読む側にある種の贅沢さを感じさせてくれる。
時々セリフの日本語がおかしい時があるが、その無国籍な作風と相まって、
まるで翻訳文体のマンガを読んだようで許せるのである。

セリフと言えば、小畑健である。
言わずと知れた「ヒカルの碁」「デスノート」「バクマン。」の作家だが、
セリフが異様に多いのは上のうちの後半2作、大場つぐみが原作についた時だ。
大場つぐみは公開されているネームを見ると、
「ラッキーマン」などを連載したガモウひろしに間違いないと思われるが、
この人のネームはちょっと常識ではありえないほどにセリフが多い。
「デスノート」と「バクマン。」は小畑の絵が固まった時期であるからなのか、
並べてみてもほとんど同じトーンで描かれている。
長期連載だった「ヒカルの碁」の途中から今の筆致になったようだ。
「ヒカルの碁」の初期はまったく別のマンガのように違う。

こういうのは連載が長いとよくあることで、
井上雄彦の「スラムダンク」も初期と後期ではずいぶんと印象が違うのである。
井上はこの後の「バガボンド」の中でもタッチの変遷が見られる。
大きく2度、画風をチェンジした作家と言える。
「スラムダンク」は、たまに通しでじっくり読んでみたくなる。
これはストーリーというよりも、魅力的なキャラクターが多いからだと思う。
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Commented by こーさく at 2009-07-28 19:49 x
宇宙兄弟の小山宙哉なんかは
完全井上フォロワーですよね~。
最近、個性が出てきて面白くなってきましたが。

後「遊戯王」の連載初期は
若干荒木っぽかったような気が・・・。


Commented by shinobu_kaki at 2009-07-29 22:02
>島耕作

宇宙兄弟、面白いと思う。
驚くほど動きのないマンガだと思うけど、ちゃんと面白い。

あ、「遊戯王」フォローしてないかも。
(そんなんで記事書くなって話ですなw)

ずっと4部派でしたが、最近5部なのですよ。
一押しはもちろんブチャラティで。
by shinobu_kaki | 2009-07-28 11:02 | shinoBOOKS | Trackback | Comments(2)

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