2009年 09月 18日
「芸術の予言!!」
タイトルに「!」が2つである。
造本・デザイン自体が非常にポップで、
60年代、70年代にはこういう凝り方をした本が多かった。
奥付を見ると、初版2009年というのに驚く。
装丁は佐々木暁氏。
サブタイトルが「60年代ラディカル・カルチュアの軌跡」とあるため、
その時代のテイストをふんだんに盛り込んだ造本になっている。
身近なところでいうと、奥村靫正らが手がけた
村上龍「POST〜ポップアートのある部屋」と似た方向性のデザイン。
つまりそれが「時代の気分」というやつだ。
コンテンツ自体は古いものだ。
1973年〜1974年当時の「季刊フィルム」という雑誌の内容が主で、
登場するのは寺山修司、赤瀬川原平、アラーキー、横尾忠則、
大島渚、武満徹、高橋悠治、杉浦康平といった面々。
なぜ今?
しかし書籍の刊行にはすべて意味がある。
これを出すことは、
今という時代を相対化して照らす試みなのではないかと邪推する。
だからタイトルに「予言」の文字が踊っているのだろう。
ひとつ例を出す。
「複写時代の仕事」という鼎談では、
印刷による複写が可能になったことでオリジナルの概念を考えざるを得ない、
という話なのだが、これは実に今の時代にこそあてはまることである。
情報がデータ化されて何が変わったかと言って、
コピーが容易になったということが大きいと思うのだ。
テクノロジーが変われば思想も変わる。
これは今も昔も当てはまる真理だと思う。