友達と恋人の違い。

「私たちはときどき会って、一緒にお昼ごはんを食べる。あるいは夜ごはんを。
午後のお茶を。深夜のお酒を。散歩をし、誠実に言葉を使って話をし、
会わずにいたあいだにみつけたいいものやいいことについて知らせあう」

「恋愛関係にならなくてよかった、というのは負け惜しみに聞こえるかもしれない。
負け惜しみに聞こえても全然かまわない、と思うのは、
これから恋愛関係になるとはいえない、という事実上の可能性が、
私にとって-----おそらく彼にとっても-----実にとるにたらないことだからだ。
私が男友達と共有できるたくさんの物のなかで、いちばん重要なのは人生だ。
世界と言い換えてもいい。つまり、同じ時代を生きるということ。
恋人との違いの一つはそこで、恋人の場合は、輝くばかりに甘美な途方もなく特別な、
人生も世界もどうなろうと知ったことじゃない、という一瞬の真実が大事なのであて、
その一瞬の真実がたまたまずっと続いて人生を生きる、ということはあるにしても、
それはあくまで結果にすぎない」

「男友達と恋人との違いは、肉体関係の有無ではない。
一般的に言って肉体関係はあちこちに存在するし、それを含んだ鉄壁の友情、も存在する。
それは、恋愛という観点からみると時に絶望的なことではあるのだが、
友情という観点からみると、時に、素晴らしいことだ。
男友達とのあいだのタブーは、だから寝ることではない。
たいていのことは気の持ちようなので、
タブーなどというものは、そもそも一人ずつの中にしかないのだ」

「世界に男と女がいるというのは素敵なことだ。
遠くで、あるいは近くで、それぞれが惹かれあうのは素敵なことだ。
そうしながらでなかったら、生きることはしばしば困難すぎる。
友達を持つという贅沢は、大人にだけ許された特権のように思う。
ことに、異性の友達を持つことは」

江國香織(作家)
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Tracked from 弁護士秘書の恋する毎日☆ at 2004-09-07 09:37
タイトル : ナイト☆騎士
「K君はさ、いづみちゃんのナイトだよね」 とYちゃんに言われた。 ナイト☆騎士、私にそんなのいたんだ……。... more
Commented by G嬢 at 2004-09-05 18:41 x
異性の友達は成り立つか否か。
難しい問題かもしれないけど・・・

でも、私はお互いがおじいちゃん、おばあちゃんになっても、
お茶・・・いや、おそらくお酒(ばく)飲みながら、今となんら変わらない状況で笑っていられればいいな~と思っているわよ♪

しばらく会ってないね・・・。
Commented by いづみ at 2004-09-05 18:41 x
大人だけに許された特権ていうのはわかる気がする。
私がルームシェアを始めた当初(26歳)は、「友達は友達」っていうガチガチの価値観があったけど、今は友達だけど寝ちゃうこともあるだろうし、それで友情が壊れるという短絡的な考え方はしなくなった。
べつに自分が節操なくなったという意味ではなく(笑)、周りの話とか聞いてそれを受け入れられるようになっただけだけど。

Commented by Shinobu_kaki at 2004-09-06 00:07
>G嬢

そうだね、その時いろんな物を持っていても持ってなくても、
楽しく酒が飲めるような、豊かな関係であればいいなと思います。

また肉を焼きましょう、じゅうじゅうと。
Commented by Shinobu_kaki at 2004-09-06 00:15
>いづみさん
僕もだんだん考え方が柔軟になってきている気はする。
カテゴリを決めちゃうというか、
事前に価値観でもって縛ってしまうのは損だと思う。
「大人」っていうのは「自分で責任のとれる人」のことでもあるから、
最終的に責任を引き受けられるのであれば、
どのような選択肢もアリかなって気になっている。
最近すごくそう思う。
Commented by kuro at 2004-09-06 15:13 x
んー。
難しい問題なのでやり過ごそうかと思ったが。

確かに事前の価値観やら最終責任やら、その通りだし、
ぼくもそう思うんですが、
未婚か既婚かで随分その範疇が変わってくるんだよねぇ。
あったりまえっちゃぁ、あったりまえなんだけど。
変わらないと困るし。

でもでも、一方で、友達論的なものって、
そんな未既婚の差で違うものでもないと思うし。
とすると恋人論的にも、


いや、それは別なんだろうねぇ。
でも、定義とか微妙だったり、


すいません(とりあえず謝っとこう)。
結論なし。
Commented by kyon at 2004-09-06 20:39 x
あとの人はやり過ごすのかな〜 と思ってそーっと見てたんですが(笑

男女間の友情は当然成り立ちますよね。人と人ですから。
で、私の説(一同苦笑)では「友情」と「愛」は分離できません。
同じ気持ちを違う名前で呼んでるだけ。
「恋」は別。「寝る」に繋がる生物学的な反応(身も蓋もないな・・)

で、友達と寝るかどうかですが
たまにいる、「友達」という言葉を便利に使おうとするヤカラ
例)“A 好きな異性となんとか個人的に付き合いたくて「友達(から)」”
  “B 自分を好きな異性となんとなくいたしておいて「友達(のままで)」”
はさておき、世の中には“C 異性の友人と、美味しい物を楽しむようなノリで
気持ちいいことを楽しむ”オトナの方々もいらっしゃるようですが

私の場合は絶対ムリ〜(×_×) なぜかというと、
自分でも呆れるほど人間が単純にできているので。すぐ混乱する。
Cができる人との恋愛もムリでしょう。友達なら全く問題ないけど。

まぁでも
>タブーなどというものは、そもそも一人ずつの中にしかないのだ
これに尽きるんじゃないんでしょうか。
すいません(とりあえず謝っとこう)。おぢゃましました。

(流してね〜)
Commented by shinobu_kaki at 2004-09-07 00:42
>kuroさん

結局「エピキュリアンくんとモラリストくん」みたいな(みたいなって)、
2極のはざまで揺れる構造で、あとはバランスの問題とか。
違いますか。違いますね。

江國香織がここでいうところの彼女の「タブー」は、
「友達と寝る事では無い」とされていて、
もうそれは「江國香織はそうなのだ。彼女はとにかくそうなのだ」
という一つの「ケース」としてしか語られるべきではなく、
一般論的に何々という話はとかくモラルに寄りがちで、結局一個人の、
「だってあたしはこうなんだもんしちゃうんだもん」という
既成事実的事象に勝てるわけがないのではないかと思う、
ビールのおいしい秋の夜なのであります。

すいません(とりあえず謝っとこう)。

というわけでkyonさんは御希望どおり流してみる(笑)
Commented by 豆次郎 at 2004-09-07 01:50 x
んと、私もkuroさんと一緒、やり過ごそうと思いながら。。。

友達と恋人。
友情と恋愛感情。
私のなかでは、やっぱり別かも。
友達とはそういう関係にはなれない、ならない。
なぜなら、そんなに器用じゃないから。
私にとっては、身体ごと、まるごと愛せるひとが“恋人”だから。

大人、じゃないのかなぁ。。。
う〜む。(-"-;)
Commented by シホ at 2004-09-07 09:41 x
これは結構考えてしまった。。

言われてみれば私は10代後半から20代前半にかけていた男友達、仲が良かったハズなのに、恋愛相談なんかもしてたハズなのに、最終的にはその友達との間で恋愛感情に振り回されて(こっちが想いを寄せたり、逆に想われたり)うまく友情が保てなくなり疎遠になってしまう事が多かった。

まだ若かった為に責任が自分でとれなかったという事なのかな?

でも全員がそうってワケでもなく、友情関係がうまくキープできた人もいたのは確か。

その微妙な線をバランス良く保てる友達として付き合えそうな異性は探せば絶対いるんだと思う。

今はオトナになった分だけ、その可能性は増えているのかもしれない。
Commented by いづみ at 2004-09-07 10:06 x
最近、シホさんとコメント合戦してる感じ。

これ、考えさせられる記事だよねえ。
早速、トラバしてみました。
っても、内容はちょっと違うけど。
Commented by kuro at 2004-09-07 11:16 x
んー。


ま、でも、
子供の頃は子供の頃で、それなりに責任は取れた気もするし、
大人の責任の取り方って、より重いものも含んでくる可能性が高くなるわけで。

友情も恋愛も、そもそも相手に対する「好意」があって、
その度合いというかグラデーションというか境界というか、
人によってえらくバラつきもあり。
そこが互いにズレてるとややこしいことにもなり。

っていうか、




だめだ。

追加でもっと気の利いたこと書けそな気がしたんだけど、
書けば書くほど、墓穴の直径と深さの数値が比例して大きくなっていくようで。

ほんっと、すいません(もいっかい謝っておこう)。
by shinobu_kaki | 2004-09-04 02:19 | 言葉は踊る。 | Trackback(1) | Comments(11)

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