カテゴリ:人生は映画とともに( 56 )

今さらながらDVDで「スウィング・ガールズ」を観た。
なんというか「かなり楽しい」映画で、
ある種の感動はしっかりとあるし、観て損はないのではないだろうか。

舞台は山形だそうだが、東北の他の方言というのはよくわからない。
「訛り」としてのリアリティはあったと思うけどね。
つまり、「標準語スピーカーが無理矢理方言をしゃべっている」
感じではないということだ。

女子高生「たち」が主役の映画であるが、
(もっと言えば主役は「ビッグバンドジャズ」かもしれないのだが)、
その中でも主役というか「顔」なのは上野樹里で、
「そこそこ地味」をそろえた顔ぶれの中で、主役らしい目立ち方をしていた。
演出は言うまでもないとして、彼女自身に表現力があるのかもしれない。
映画の主役を張るには主役らしい説得力が「顔」になければならない。
それはおそらく美醜度とは比例しない。
グラビアモデルと女優では、求められるものが違うというのと同じである。

どこか『下妻物語』に似た快感のある一本で、どうしてだろうと思っていたのだが、
おそらくそれはキャラクターと展開が限りなく「マンガ」である、
ということにある気がする。ストーリーはある程度読めるのだが、
「そうそうそうそう」といった感じで肯定的に追って行ける。
上手くはまったご都合主義は時として水戸黄門的カタルシスを生む。
違う言い方をすると、「ベタ」とは気持ちがいいものなのだ。
次々登場する主要なキャラクターが、上手いこと順繰りに役立って行くのも楽しかった。
主要キャラクターの中では、メガネのセキグチさんがいい味出していたと思う。

作り手が楽しんでいる様子が見えるような、
こういう映画はいいよね。こういうのをもっと観たい気がする。
いわゆるハッピーになる映画である。
by shinobu_kaki | 2005-10-10 21:56 | 人生は映画とともに | Trackback | Comments(10)
3連休2発とも、特に予定を入れず。
僕にしては珍しいと言えるが、新居は快適だし自炊は楽しいので良し。
うどん、クリームパスタ、不格好なコロッケ、
などを作って(正確には手伝って)食べる。
基本的にやり方が分からないので、手際も何もなく、
ぱっぱとさばかなくてはならない料理に関してはまったく使えない自分。
道は遠い。

3連休で映画を借りてきて2本見た。
こないだ観た「BEFORE SUNRISE(恋人までの距離)」の続編、
「BEFORE SUNSET」である。
9年の歳月を数日間で確かめられる贅沢。
偶然な出逢いからウィーンで一夜を過ごし、再会した二人。
パリを舞台に、やっぱりひたすら会話して映画は進む。
特典映像のメイキングによると「台詞を覚えるのが大変だった」とのこと、
それはそうだよね。でも映画は今一つに感じた。
時間をもたせるだけの「引き」が皆無なのだ。メリハリがない。
そういう映画だ、と言われればそれで話は終わるのだが、
映画の本質はエンターテイメントだと思うとちょっとキツかった。
ラストも余韻を狙っていたのかもしれないが、
ちょっと「放り投げられ感」が気になりました。中途半端。

2本目は「コーリャ 愛のプラハ」。
まだ「ソ連」軍が居座っているころのチェコ・プラハ。
独身のおっさん音楽家はひょんな事から見知らぬ五歳児と同居することに。
ロシアから来た母親がドイツに亡命してしまったのだ。
子供の名前が「コーリャ」。はじめはコーリャを邪魔者扱いしていた彼も、
だんだん心を通わせて…という話。当時の時代背景もよく反映されている。
クローズ・アップをポイントポイントで使ったカメラも良かった。
美しい話だったけれども、たったひとつの僕の誤解により、
感想としては「拍子抜け」という結果になったのだった。
それは、ビデオのパッケージに楽器(ヴァイオリン…か?)を引くコーリャがいて、
僕はすっかり「天才音楽少年の話」だと思い込んでしまったのだった。
天才譚が好きなのに…残念。(←勝手)


そして今日の夕方から明日いっぱいまで、
わたくしまたまた「うどんの国出張」へ行って参ります。
by shinobu_kaki | 2005-09-26 11:22 | 人生は映画とともに | Trackback | Comments(4)

トレインマン

「電車男」の話題は、口にするには少々「今さら感」がある。
二次使用・三次使用を経て、ネタとしては使い古しの域だろう。
会社の同僚は、そんな気恥ずかしさとでも言うべきニュアンスを、
「トレインマン」と英訳して中和していた。
あの名作「レインマン」と一字違いなのが可笑しい。

「レインマン」は1988年の映画で、監督はバリー・レビンソン。
俳優は、言わずと知れたダスティン・ホフマンとトム・クルーズだ。
ダスティンは自閉症で施設に保護された兄を演じ、
トムは私欲に満ちたやり手のカーディーラーの弟を演じる。
アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞に輝き、
押しも押されもせぬ名作と呼んでさしつかえない。

ちなみに「主演」男優賞はダスティン・ホフマンだったが、
ストーリーラインに照らすとこの映画の主役は間違いなくトム・クルーズで、
いくらキャリアと才能による圧倒的な演技力を披露したとしても、
(しかもアカデミーの好きそうな障害を持った役柄であるところの)、
ダスティン・ホフマン演じるレイモンドは主役とは呼べないはずである。
描かれている心象風景は弟役のトムのものだし、
作品を通して成長するのもまた、トム演じる弟チャーリーに他ならない。
アメリカでは、主役と主演は同一の意味ではないのだろうか?

僕はこの映画が大好きで、DVDも持っているし、サントラも持っていた。
「レインマン」はいわゆるロードムービーだ。
ロードムービーとは、主人公達がある場所からある場所へと移動する映画。
「映画は2種類しかない。穴に落ちた男がはいあがる話と、
穴に落ちた男がそのまま死ぬ話だ」といった人がいたが、
ロードムービーは、その移動している最中に何かが起きるというのが基本だ。
もしくは、移動そのものに大きな意味があるのだ。
ロードムービーは観客を、文字通りショート・トリップへといざなってくれる。
映画の存在意義、本質がそこにある。

自閉症の兄・レイモンドは、箱から落ちた大量のマッチの数を、
瞬時に数えられるといった抜群の記憶力で(フラッシュ・メモリー!)、
ラスベガスでカジノのカードを覚えて大儲けする。
非常に官能的でエキサイティングなシーンである。

しかし、この映画のクライマックスはそこではない。
静かではあるが、とあるモーテルで、チャーリーが幼き日の記憶を取り戻し、
自閉症の兄とわずかではあるが心を通わせる瞬間。
この穏やかなシークエンスこそがこの映画の山場であろう。
無頼漢チャーリーが愛すべき弟へと変化していく、
この演出こそは見事と言わなければならない。

チャーリーは変わったが、レイモンドはしかし、一貫して変わらない。
彼はストレンジャーのまま結局施設に戻っていく。
映画は、レイモンドの乗った列車を見送るチャーリーの姿で終わる。

レインマン(レイモンド)は成長しない。
ストレンジャーはストレンジャーのまま、弟の前から消え去っていく。
しかしトレインマン、つまり「電車男」はちょっとした成長物語、
いわばちょっとした現代のフェアリー・テイルと言えるからこそ、
ムーブメントとしてこれほどの拡大を見せたのではないだろうか。
…なーんて、心にもないことを書いちゃったりしてね。

ハリウッドを始め、映画界はマンガや小説のリメイクが目立つ。
すでにある「出来上がった物語」を使い回しているわけで、それは、
「新しくて普遍性のあるストーリー」が生み出されていないということだろうか。
もっとも最近観た映画(DVD)は、イーサン・ホークの「大いなる遺産」。
カメラこそ素晴らしく美しかったが、これも古い映画のリメイクなのだった。
by shinobu_kaki | 2005-08-13 00:36 | 人生は映画とともに | Trackback | Comments(6)
この週末はほぼ寝込んで過ごしたのだが、
そんな中、久しぶりに映画を立て続けに2本観た。
DVDレンタルである。
「スーパー・サイズ・ミー」と「サイドウェイ」。
偶然なのだが、どちらも飲食にまつわる映画ではある。
しかしながらテーマに関するアプローチは、
真逆と言っていいほど対照的ではあったけれど。

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「スーパー・サイズ・ミー」はひと言で語ることができる。
それは、
「マクドナルドのメニューを、食べ続けると死んじゃいますよ」
ということだ。ハッキリ言って身体に悪いのである。
所詮ファーストフードだし、何しろ安いし、
それにマクドナルドは世界中のどこにでもある。
言わば世界を征服しているのだ、コーラのように。
それだけに、ついつい手に取ってしまうハンバーガーの、
栄養バランスを無視した危険度にもっと気づかなければいけない。
監督が身をもって、そんな警鐘を鳴らしている。

まあ、誰しもがうすうす感じていたのかもしれないけれど、
どう考えてもマックの食事が、栄養バランスがいいわけもない。
それを実証したのがエライというか酔狂というか、
その企画イッパツの映画ですね。

ちなみに僕はほとんどハンバーガーを食べないけれど、
たまーにマクドナルドで食事をした時は、
必ずと言って良いほどトイレに駆け込んでいた。
ある意味コーラックのような効果を期待した食事と言えよう。
ちなみにアメリカで、もっとも肥満の多い都市はヒューストン、
州で言えばテキサス州だそうです。

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「サイドウェイ」は枯れた物語、
ワインを巡るオッサンたちの美しきロードムービー、
かと思いきや意外にコメディであった。
アカデミー賞候補にも上った作品ゆえ、もっとお堅いのを想像していた。
いや、ワインを巡るオッサンたちのロードムービー、
というのは当たっているが、何というか、
出てくるオッサンたちの往生際が極めて悪いのである。

主役の英語教師マイルスはウジウジとネガティブに愚痴ってばかり、
2年前に別れた前妻をいつまでも忘れられず、
ワインばかり飲んで(ピノ種が好きで、メルローは絶対飲まない)、
女に見栄を張るために、成り行きとは言えウソをつく。
地味なテレビ俳優のジャックは結婚を1週間後に控えているが、
女をナンパしてファックすることしか頭にない。

そのジャックの、いい年をしてフシダラな性向ゆえに、
2人はかなりトホホでキツい、みっともない目に逢うことになるのだが、
映画としての全編は肯定的な明るさに満ちている。
それはカリフォルニアの鮮やかなワイン畑のせいかもしれないし、
海沿いを走る赤いオープンカーの気持ち良さのせいかもしれないし、
センスのよいカメラ・ワークと音楽のせいかもしれない。
とりわけキラキラとしたカリフォルニアの太陽の、
黄金色の陽光、ライティングは見惚れるほど美しい。

漫画「ジョジョの奇妙な冒険」ではないが、
作品というのは、映画も漫画も基本的には「人間賛歌」であることを思うと、
これは文句無く良い映画だと言える。

同時にこれは「オッサン達がやたらと脱ぐ映画」でもある。
中年太りしたオッサンの、下腹部の露出がやたらと多いのだ。
そういった意味では、英語教師マイルスはメンタル担当、
地味俳優ジャックはフィジカル担当の、
「オッサン丸裸映画」というのがこの作品のポイントではないだろうか。

しかし、みんな昼から夜までワインを飲みっぱなしである。
僕などは、あれだけ飲んでよく寝ないなあと感心してしまうのだが。
by shinobu_kaki | 2005-07-19 11:25 | 人生は映画とともに | Trackback(3) | Comments(22)

お台場のファントム。

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お台場とは「砲台場」と言う意味であって、もともとの由来はキナ臭い。
都内随一のオサレスポットと呼ばれて久しいけれど、
自分自身、なぜこれほどまでに足が遠のいているのかといえば、
その理由はよくわからない。
きっと「流行りもの」が嫌いというか面倒くさい、
というその一言に尽きる気もするが、とにかくお台場は久しぶりだった。

日曜日。これまた久しぶりの「ゆりかもめ」で東京湾を渡る。
新橋特有の「夜の街の昼の顔」といった乾いた佇まいに似付かわしくない、
ちょっとファンシィな乗り場から乗る「ゆりかもめ」。
浜松町の交差点を足元に見て、あの一回転するレールを渡る。
橋のフレームが「ゆりかもめ」の狭い車内にリズミカルに影を落とす頃、
もうジョイポリスやらアクアシティやらが見えてきた。
東京湾の歴史は埋め立て地の歴史である。
1854年のペリー。1995年の都市博中止。お台場。

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右手にホテル日航東京、左にホテル グランパシフィック メリディアン。
駅の名前はそのまま「台場」。中空の駅からブリッジづたいに歩く。
以前に訪れた時とほぼ同じ感想を持ったのだが、この密度の薄さ、
そのくせ建物自体は昔思った未来都市的なシャープな造形をしており、
それが「未完成感」を感じさせる。アンバランスなのだ。
とってつけたような浜辺も、フランスから借り受けた自由の女神も、
(一度フランスに返却されて、今はレプリカだそうである)、
どことなく非現実な、乾燥した夢のような印象をうける。
あるいは銀河のどこかにある、地球によく似た星のようでもある。
次の星はお台場、お台場。停車時間は24時間…。

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最近映画が繁盛だそうである。
それは映画自体、つまりソフトの充実もさることながら、
シネマ・コンプレックスであるとかのハード面の改善も大きいように思う。
ラブ・ストーリーのような小品はビデオでもいい。
けれども、映像にお金をかけた大作はやはり劇場で観たいのだ。
音響も違うし、スクリーンが大きいというのはやはり価値がある。
そして、その映画と「出会う」という第一印象において、
スクリーンのインパクトというのは圧倒的である。
シネマ・コンプレックスと言えば六本木ヒルズのヴァージンシネマだが、
今回は始めての来場となるこの「シネマメディアージュ」。
しかも、これぞ劇場で観るほかはないと思われるタイトル。

すなわち「オペラ座の怪人」である。

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「キャッツ」「エビータ」等でも有名な、
アンドリュー=ロイド=ウェーバーの手になるミュージカル。その映画化。
というわけで台詞もほとんどが歌である。
僕はミュージカルを2回しか観たことがないのだけれども、
(「ミス・サイゴン」と「ウエスト・サイド・ストーリー」だった)、
なんというか「歌劇」というのはお腹一杯になる。
つまり満足度が高い。歌のチカラというのは偉大なのだ。
スケールは小さいながら「8人の女たち」も同じことが言える。

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あまりにも有名な作品、それゆえに王道。
ひねったり奇をてらったりというところは特にない。
それよりも「きちんと」練られたストーリー、安心して観られる偉大なる予定調和。
腰の据わったストーリーは風格なのだろう。これが名作の「柄」というものだ。
それにしてもここまで圧倒されるのは、やはり音楽と歌のチカラ、
そしてアカデミー賞で部門賞確実と言われる美術の美しさのせいかもしれない。
2時間半ほどの上映時間の間、スクリーンの中は常に絢爛豪華、
目に残るは金色の色彩、耳に余韻するその音楽。そして「怪人」の切ない半生。
ミュージカルファンにとっても、満足できる仕上りなのでは。知らないけど。
というわけで「観る」よりも「観賞」といった作品。
映画はシナリオだ。だが「オペラ座」の見どころはシナリオではない。
よってこれは、映画とは呼べないかもしれない。

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怪人は去る。上映終了午後8時前。
夜景と言えばお台場、お台場と言えば夜景。
遠く東京タワー、そして午後に渡ってきたレインボーブリッジ。
海風が寒く、長居は無用だがやはりお約束とばかり東京湾系を眺める。
首都の上空には星など見えない。
そのかわり、地上の街は堕ちてきた星のように明るいのだった。

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夕食は香港へ。
もちろん本物ではなく「台場小香港」である。「デックス東京ビーチ」の6〜7階。
なんというか、とてもお台場らしい空間と言える。
雑貨屋も軒を並べるが、香港らしいネオン、屋台風の店がずらりなのだ。

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思いっきりチープな丸テーブル、ビールと、
鶏肉、ギョーザ、ピータン豆腐、焼きビーフン等で「声の魅力」について話す。

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声と言えば「オペラ座の怪人」、プリマドンナであるエミー・ロッサムの声は抜群で、
(プリマドンナを干されるカルロッタ役はミニー・ドライバー、
あの「グッドウィル・ハンティング」の「イマイチ・ヒロイン」である。
ちなみに彼女だけ吹き替えだったそうだ。どおりでやけに上手いと思った!)
脇を固めるキャストも素晴らしかったが、プリマドンナ・クリスティーヌにとっての
「音楽の天使」であったはずのファントムの声はイマイチであった。

ファントムの武器は色気だったのかもしれない。
by shinobu_kaki | 2005-02-07 16:53 | 人生は映画とともに | Trackback(4) | Comments(26)
「キネマ旬報」選出による、2004年度の映画賞だそうです。

【日本映画】
(1)誰も知らない
(2)血と骨
(3)下妻物語
(4)父と暮せば
(5)隠し剣 鬼の爪
(6)理由
(7)スウィングガールズ
(8)ニワトリはハダシだ
(9)チルソクの夏
(10)透光の樹

【外国映画】
(1)ミスティック・リバー
(2)殺人の追憶
(3)父、帰る
(4)オアシス
(5)ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
(6)オールド・ボーイ
(7)モーターサイクル・ダイアリーズ
(8)シービスケット
(9)春夏秋冬そして春
(10)ビッグ・フィッシュ

【文化映画】
1位「海女のリャンさん」

【個人賞】
監督賞=崔洋一「血と骨」「クイール」
脚本賞=崔洋一、鄭義信「血と骨」

主演女優賞=宮沢りえ「父と暮せば」
主演男優賞=ビートたけし「血と骨」

助演女優賞=YOU「誰も知らない」
助演男優賞=オダギリジョー「血と骨」

新人女優賞=土屋アンナ「下妻物語」「茶の味」
新人男優賞=柳楽優弥「誰も知らない」

外国映画監督賞=クリント・イーストウッド「ミスティック・リバー」



なにしろ世界のカンヌでパルムドール男優賞の、
「誰も知らない」柳楽優弥くんが主演男優賞ではないあたりがサスガ。
(カンヌの選出基準に疑問がないではないが…)。

もともと映画を凄く観るほうではないとはいえ、
2004年、あんまり映画を観ていないかも…。
上記の中で観た作品といえば、
「誰も知らない」「下妻物語」「モーターサイクル・ダイアリーズ」
の3本でーす…じゃなかった、3本だけだったのだった。
観なさすぎです。

個人的にとても気になっていたのは、
「理由」「スウィングガールズ」「春夏秋冬そして春」。
特に「理由」は観ておきたいなあ。
俳優・岸辺一徳はとてもいいですね。サイコで。
by shinobu_kaki | 2005-01-06 21:19 | 人生は映画とともに | Trackback | Comments(24)
医学生エルネストは23歳。
友人のアルベルトは29歳。
ブエノスアイレスの青年2人は中古のバイクに2人乗り、
南米をめぐる旅に出る。

貧乏旅行は道中多難。
カーブに転び、雪道に凍え、テントは風に飛ばされ、
見知らぬ家の扉を叩き、宿と飯とを惨めにタカる。

それでも2人はへこたれず、
雪のアンデスを越え、チリの夜に踊り、
酔っ払いに追われ、病に苦しみ、あるいは病人に薬を与え、
海岸線をひた走り、途中唯一のバイクをロストし、
ペルーの山道からインカ帝国の首都クスコ、
そして神秘の空中都市マチュピチュを訪ね、
船に乗り、イカダを漕ぎ、砂漠を横切り、ヒッチハイクを繰り返す。
あらゆる人と出逢い、あらゆる人と語らい、
特に若き青年エルネストの、
人生観が変わってゆく様子が瑞々しく描かれる。

エルネストとはエルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
後にキューバ革命において世界の英雄となる、
あの“ゲバラ”その人だった---。

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これぞロードムービー。
南米に行ってみたい、また興味のある人は必見。
実際にアンデスを、マチュピチュを、アタカマ砂漠を
旅したような気にさせてくれます。
荒涼とした南米の自然の厳しい美しさに圧倒されることでしょう。
そして旅においての、人との激しく刹那なつながりがいかに大事で素晴らしいか。
お調子者のアルベルトと、一本気で嘘のつけないエルネストの対比が面白く、
後の世に革命家として名をなすエルネストですが、
そういったカリスマの本性というのは極めて真面目で純粋である、
といったことが謳われていると思いました。

個人的にはペルーに昔から興味があるんですが、
インカというのは非常に高度な文明を持ちながら、
ピサロ率いるたった200人のスペイン人たちにあっさり滅ぼされた国ですよね。
その理由はいまもって謎が多いともされていますが、
一説にはインカ人が白人達を「伝説の神の使い」と見てしまったとの話もあります。
「白き太陽神の使い」を闘う対象として見られなかったんですね。

富士山ほどの標高の街・クスコのシーンでは、
見事なインカ時代の石組みを見ることができます。
有名な「12角の石」もラスト近くのショットで見られますが、
今の技術をもってしても、これらの石組みを再現するのは難しいとされ、
映画のなかでもケチュア(だと思う)の子どもガイドが、
スペイン時代以降の石組みの稚拙さに対して、
インカの技術の見事さにプライドを持っている、
そんなようなことを言うシーンがあります。
「失われた街」クスコと、スペイン人が創った雑多な都市・
リマ(ペルーの首都)を見比べて、
ある繁栄が何かの犠牲のもとに成り立っている事実に何かを感じるエルネスト。
「世の中の理不尽さ・弱者の不公平さ」に憤りを覚え始める、
映画はそんなエルネストの心の動きを追っています。

というか青年ゲバラ役のガエル・ガルシア・ベルナルはカッコ良すぎ。
パーフェクト。


予告編を初めて見てから、
「これはきっと面白いぞ」と見込んでいた映画でしたが、
まさに期待にそぐわぬ素晴らしさでした。
見た後は、遠くへの旅から帰ってきたような、そんな心地よいぐったり感が。
バカラのイルミネーションがキレイな恵比寿ガーデンプレイス、
11月のガーデンシネマは、まだ混み混みでした。



「モーターサイクルダイアリーズ」(2004年イギリス=アメリカ合作)
   監督:ウォルター・サレス
製作総指揮:ロバート・レッドフォード
 キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル
      ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
      ミア・マエストロ
   提供:日本ヘラルド映画、アミューズソフトエンタテインメント
by shinobu_kaki | 2004-11-15 12:22 | 人生は映画とともに | Trackback(10) | Comments(7)

映画「デビルマン」酷評

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映画「デビルマン」の評判が悪いね。
僕は観てないのであまり語れないけれども、イイ話をまるっきり聞かない。
永井豪の原作が漫画史上に燦然と輝くマスターピースであることもあるが、
製作は3年がかり、10億円という巨額が投じられたというふれこみに、
期待したファンの肩透かしがとにかく凄かったみたいです。


「原作とは別なのはわかるが、映画自体とても評価できる代物ではない」
(映画関係者)

「CGがPS2以下」
(某映画評論家)

「現場の実写チームが絵コンテを理解しないで勝手に作っていた」
(製作関係者)

「アクション監督の技量が足りず、シーンを後でCGに変更するなどドタバタ」
(映画誌関係者)

「東映本社と東映アニメーションの確執が現場を混乱させた」
(映画誌関係者)

「あたしが今年見た映画のワーストを大きく更新したね」
(映画好きの友人)

「こんな毒にも薬にもならないデビルマンなどありえない」
(映画誌関係者)


まさにブーイングの嵐(ソースは「サイゾー」他)。
この映画はすでに世界40ヶ国で上映されることが決まっているらしいけど、
確かにちょっと心配ではあります。

原作の永井豪「デビルマン」はかなり昔の作品だけど、
まだ読んでいない人は漫画喫茶ででもなんでも、ぜひ一読をオススメします。
びっくりすると思うよ。良くて。
絵柄も古いしノリもアレだけど、描かれているテーマの深さ。
名作のホマレは伊達じゃないと思う。

あまり何かを叩くのは好きじゃないけれども
(しかも観てもいないというのはいかがなものか)、
この「映画版デビルマン」に関しては、
5年ほど前にこしらえた僕のロゴを、かなり「まんま」な形でパクられている
という個人的経緯もあり、
容赦なく酷評記事をアップさせていただきます(笑)

いや、まあ製作サイドにウラミはないんだけどもね。別に。
よくある事っちゃよくある事だし。
でも、やっぱりちょっと面白くないじゃない?
by shinobu_kaki | 2004-10-27 12:48 | 人生は映画とともに | Trackback | Comments(19)

「らくだの涙」レビュー

母親にとって初めての出産は、難産だった。
産みの苦しみは何日間にもおよび、周りはどうにかできないものかと手を尽くした。
数日目にようやく、無事、元気な子供を産むことができた。
しかし問題があった。
愛おしいはずのわが子を、母親は見ようともしないのだ。
ノイローゼかもしれなかった。
出産のショックがあまりにつらすぎたのかもしれない。
周りの人間が産まれたばかりの子供を近づけても、どうしても逃げてしまう。

しかし、授乳はしなければならない。

とりあえず、周りの人間が疑似的にお乳を飲ませるしかない。
それで一応の栄養は与えられる。
しかし、このままでいいはずがない。
子供が母親の愛情を受けずに育っていいはずがないのだ。
周囲がさまざまな努力を試みても、一向に母親は回復しない。
子供を愛そうとする様子はどうしても見られない。

距離の縮まらない、らくだの親子。

母親の「出産ノイローゼ」を解消するため、ある伝説の療法が採用された。
そして、その方法はとても意外なものだった。


音楽。




以前から、なぜか良作の確信があって観に行きたかった映画。
モンゴル南部、ゴビ砂漠にラクダや羊とともに住まう遊牧民達。
砂漠に沈む巨大な夕日、吹き飛ばされそうな砂嵐、
ラクダの出産、幕舎(ゲル)での遊牧民達の生活など、
なかなか目にする機会のないものがスクリーンに展開され、
セリフと音楽のほとんどない映画ながら退屈さを感じさせません。
名門ミュンヘン映像大学に通う学生2人が、
共同の卒業制作として作ったドキュメンタリー。
それにしても、モンゴルの人はみんなあんなに声がいいのか?(笑)
映画終了後、それほど入っていたわけでもない映画館のあちこちから、
たくさんのすすり泣く声が聞こえてきました。良作。

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「らくだの涙」(2003年/ドイツ)
 原題:The Story of the Weeping Camel
 監督:ビャンバスレン・ダバー、ルイジ・ファロルニ
    インゲン・テメー(親らくだ)
    ボトック(子らくだ)
    オーガンバータル・イフバヤル
    オドゲレル・アユーシ
 マイアミ国際映画祭優秀ドキュメンタリー賞
 サンフランシスコ国際映画祭国際批評家賞
 ブエノスアイレス国際映画祭観客賞
 配給:クロックワークス
 字幕監修:旭鷲山昇
 らくだの涙・公式HP


 
by shinobu_kaki | 2004-10-18 10:50 | 人生は映画とともに | Trackback(6) | Comments(23)

「華氏911」レビュー

恵比寿ガーデンシネマで「華氏911」を観てきました。

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封切りからずいぶん経ったからなのか、
朝10時半と早い回だったからなのか、

ガラガラでした。いつかの行列はどこへやら。

映画に関してはテンポがよく、そして「へええ」と思うこともあったものの、
結局主張的コラージュ・ドキュメンタリー・フィルム。

カンヌパルムドール?これが?というのが正直な感想。

仮に日本に、すべての新聞を対象にした権威ある賞があったとして、

なみいる一般紙をさしおいてタブロイド紙が受賞した、
そんな例えがあてはまるでしょう。

マイケル・ムーアの危機感、そして主張はよく分かるし、
今のアメリカの暗黒面をするどく突いていると思う。
そして何よりパワーがある。
カンヌ受賞云々については審査員が決めることだからあれこれ言うことはない。
べつにカンヌに思い入れがあるわけじゃないし。
ただこれ、「映画」というカテゴリーで判断してよいのか?とは思った。
結局、ムーア氏としては世界の一人でも多くの人にこの「主張」を見てほしくて、
そういった意味ではカンヌを席巻したという事実は、
ムーア氏にとっては「まんまと」という感じじゃないでしょうか。

いつからか勝手に「戦争はもう核の時代だから」と思い込んでいた。
ボタン一つで消滅か否かという状態なのだと。
しかし、人が人をこの手で切り刻む、痛々しい白兵戦はいまだに行われている。
中には「デビルマン」の魔女裁判のシーンのような、
凄い映像が入っていた。トラウマ必至。でもこれが、現実。


それより今回の収穫は「予告編」。


さすが恵比寿ガーデンシネマ、と唸らざるをえない、
魅力的な映画のラインナップがぞくぞくと。
はっきり言って本編よりこっちが良かったです。どの映画もイイ!
まとめてご紹介しましょう。


●モーターサイクルダイアリーズ●
キューバの「世界でもっとも美しいゲリラ」チェ・ゲバラの
23歳の時の南米縦断旅行を綴ったロードムービー。

はっきり言ってこれは必見。

アマゾン川、アンデス山脈、マチュピチュ遺跡、果てしなき草原…。
バイクで南米を駆ける、のちに世界のカリスマとなる若きゲバラの物語。
ガス・ヴァン・サントを思わせる、ざらざらとした質感の映像。
ロバート・レッドフォード製作総指揮。
主演は“ラテンのブラピ”(←これはどうか…)ガエル・ガルシア・ベルナル。
そして監督は「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス。
10月9日より公開。くり返すが、必見。


●ピエロの赤い鼻●
スピルバーグがリメイク権をすでに買っているという一作。
舞台はドイツ占領下のフランス。
街の公民館で毎週日曜日、ピエロとなって人を笑わせている父親。
息子はそんな父親を好きになれずにいた。
でも息子は知らなかったのだ、なぜパパがピエロになったのか…。
ストーリーとしてはシンプル。でもシンプルなほど泣けるのが映画。
ただ予告編が説明過剰で、

観る前からプロットが全てわかってしまう

のはどうかと思うが、すでに「超名作」の匂いがぷんぷん。
そしてスピルバーグがこしらえるハリウッド版は、
残念ながらどうしても駄作になるという、そんなパターンなんだろうな。
これはね、きっといい意味で裏切られる「観て良かった」と思う映画になると思う。
根拠のない確信があります。僕は観ます。10月9日より公開。


●イブラヒムおじさんとコーランの花たち●
モモは13歳。父はいない。母の顔も知らない。笑顔を忘れたモモ。
そんなモモがある日万引きした書店、
そこの店主のトルコ人イブラヒムが唯一モモを受け入れた。
「なぜ笑わない、笑うことで人は幸せになれるんだ」
実の親子のようになっていく二人は、イブラヒムの故郷であるトルコを目指す。
イブラヒムおじさんはあのオマー・シャリフ。
思えばシャリフもかなりのおじいちゃん。

ということはいつ死んじゃうかわかんない、

そんな「森繁的」な意味でも必見の映画。
トルコの風景が美しく描かれています。2005年正月公開。


●モンスター●
2002年に死刑となったある女性の真実を綴った実話。
「超演技派」主演のシャーリーズ・セロンが演じるのは、
不幸な環境で育ったゆえに娼婦として生きる術しか知らなかったアイリーン。
彼女は続く不幸な境遇に負け、アメリカ初の女性連続殺人犯として身をやつしていく。
共演に「バッファロー’66」のクリスティーナ・リッチ。

いやー、もうね。痛いです。予告編だけでじゅうぶん痛い。

ちょっと「ボーイズ・ドント・クライ」のラスト以上に痛いかも。
「ずーん」とくること間違いなし。もう予告編だけで半泣きです。
ちなみにシャーリーズ・セロンはこれでアカデミー主演女優賞を受賞。
体調を整えて行きたい一作。
9月25日、渋谷シネマライズにて公開です。
ところでファンが多い(特に女性ファン)クリスティーナ・リッチだけど、
僕はいいと思ったことがないです。
どうなの?クリスティーナ・リッチ。




結局「レビュー」と言いながら
本編の「華氏911」がおまけのような扱いに。
まあ、しょうがないね。今回の収穫は予告編にあり。
by shinobu_kaki | 2004-09-26 01:53 | 人生は映画とともに | Trackback(3) | Comments(8)

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