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アカデミー賞速報。

第77回米アカデミー賞が発表されました。
eiga.com

作品賞:『ミリオンダラー・ベイビー』
監督賞:クリント・イーストウッド 『ミリオンダラー・ベイビー』
主演男優賞:ジェイミー・フォックス 『Ray レイ』
主演女優賞:ヒラリー・スワンク 『ミリオンダラー・ベイビー』
助演男優賞:モーガン・フリーマン 『ミリオンダラー・ベイビー』
助演女優賞:ケイト・ブランシェット 『アビエイター』
脚本賞:『エターナル・サンシャイン』
脚色賞:『サイドウェイ』
撮影賞:『アビエイター』
編集賞:『アビエイター』
美術賞:『アビエイター』
衣裳デザイン賞:『アビエイター』
メイクアップ賞:『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
作曲賞:『ネバーランド』
オリジナル歌曲賞:"Al otro lado del Rio"『モーターサイクル・ダイアリーズ』
音響賞:『Ray レイ』
音響編集賞:『Mr.インクレディブル』
視覚効果賞:『スパイダーマン2』
外国語映画賞:『海を飛ぶ夢』
長編ドキュメンタリー映画賞:『Born Into Brothers』
短編ドキュメンタリー映画賞:『Mighty Times: The Children's March』
長編アニメーション映画賞:『Mr.インクレディブル』
短編アニメーション映画賞:『Ryan』
短編実写映画賞:『Wasp』



基本的に僕は上記の映画一本も観てませんからね。
無責任に書きますけど(笑)

えーと…。
クリント・イーストウッドは凄いですね。
「イーストウッドの映画は基本的にハズレない」と誰かが言っていましたが、
美味しいトコごっそり持っていきました。
まあ主演女優賞のヒラリー・スワンクなんかは、
性同一障害の女性を演じた「ボーイズ・ドント・クライ」もあれですけど、
言わば「超演技派」なので受賞むべなるかなという感じではありますが。
どうもイーストウッドは「風格」がある感じがします。
へんな話、オスカー向きというか。

『アビエイター』は残念でした。
巨匠スコセッシはまたもやオスカーならず。ディカプリオもね。
今は東大総長の蓮實重彦もあまり褒めてませんでしたけど、
スコセッシの映画ってなんというか、マッチョな感じがするんですよね。
淡々とゴリゴリと映画が進んでいくというか。
テンポも良くて好きなんですけど(『カジノ』とかね)、
ちょっと荒い感じがしてしまう。「風格」からちょっと離れる気がします。
ハワード・ヒューズの生涯、なんて得意分野だったかもと思ったけどね。
ディカプリオはちょっと変なポジションになっちゃってる気がしますね。
上手い俳優だと思うんですけど。印象が軽い気がします。もったいないな。

『サイドウェイ』は予告を観るかぎり、すごく良い映画っぽかったけど、
ワインのピノ種を追い求める男達の話だし、柄が小さいというか、
オスカーに値するようなどっしり部分がなかったのかも。
でもこの『サイドウェイ』、上記のリストの中では、
もっとも観てみたい映画なんですよね。個人的に。
あ、『Ray レイ』の次に、かな。

ジェイミー・フォックス(『Ray レイ』)の受賞は、おそらく順当。
いいとこじゃないでしょうか。
盲目のレイ・チャールズを演じるために1日12時間以上目隠しをして過ごし、
生前のレイからお墨付きをもらったというジェイミー。
その辺のエピソードも美談と呼べるものだし、
リスペクト・レイ・チャールズという意味からもやはり順当では。

『ネバーランド』のジョニー・デップ…。
どうもオスカーに縁がないですね。もういいんじゃないでしょうか。
この人の凄さはみんなが認めるところだし、
本人もインディペンデントの匂いのする映画を好むしね。
「無冠の帝王」としてオスカーとは無縁のまま、
最後まで行ってしまうのもひとつの役者人生なのでは。
by shinobu_kaki | 2005-02-28 16:09 | Trackback(15) | Comments(6)

東京ライフ。

渋谷で、芋焼酎「タイガー&ドラゴン」のロックを水で少しずつ割りながら、
東京についての話をしていた。黒い陶器になみなみとつがれた焼酎が、
水を注ぐたびにカラカラと気持ちのよい音を鳴らす。今週はよく飲んだ週だった。
例えばイタリアのように古い遺跡がゴロゴロしているというわけにはいかないが、
東京も歴史のある古い街であり、地名にその名残を感じさせる。
味のある地名が多いのだ。例えば表参道。
すっかりお洒落なブランド店の並ぶ街として認知されているこの街だが、
名前をよく見ると「参道」つまり明治神宮へと続く神社の参道であり、
今のお洒落なイメージとはそのルーツにおいてミスマッチが発生している。
無理もない。地名というのは昔からあって変わらないものであり、
街というのは常に新陳代謝のさなかにあって変化を常とするものだからだ。
名前と言えば、焼酎の名前もユニークなものが多い。
栗焼酎ダバダ火振(ひぶり)、無手無冠(むてむか)、
そしてこのタイガー&ドラゴン…。
日本酒にはここまでの遊びはない。焼酎という酒のポジション、
ほどよい軽さとフットワークを持った装いのせいだろうか。
日本酒が着物なら、焼酎は例えば甚平、そんな感じがする。
少しゆるく、足どり軽く。

東京と言えば、2年住んだ仙台から東京へ来た最初の頃、
友達も知り合いもまだほとんどいなかった僕はよくひとりで街を歩いた。
名前だけは知っている、街に対してはそんな情報ほどしか無く、
けれどもそういう「イメージだけはあった場所」を
自分の足で訪れるのは悪くない感覚だった。
緑の多い晴れた日の表参道も大好きだったし、もっと都心、
皇居周辺や永田町あたりを歩くのも楽しかった。
国会図書館に行ってみたこともある。
こうして思うと基本的に人の少ない、緑の多い場所を好む傾向がある。
もともと田園、というかひどい田舎の生まれという事を思うと、
とても自然な事なのかもしれない。
歩くのは苦じゃなかった。2〜3駅くらいなら平気で歩いた。
「退屈」という感覚は今でもほとんど持たないが、当時からそうだった。
何もなくても退屈じゃない。そういう才能だけは持っていると思っている。

ある時、坂道の多い住宅街に迷い込んだ。
歩きすぎて駅から遠く離れて、しかも土地勘がまったくないときた。
まあいい、歩けばどこかへ出るだろう。それが東京という街だった。
実際に僕はてくてくと歩き、立派な家の建ち並ぶ自分とは縁の無さそうな場所、
しかしどことなく品が良く、ゆったりとした空気に魅力を感じていた。
思えば、それが今の住まいの周辺であり、その時迷い込んだと思った家並みは、
僕の部屋から歩いて5分とかからない場所だったのである。
by shinobu_kaki | 2005-02-26 11:32 | ライフ イズ | Trackback | Comments(12)

餃子のとりこ。

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荻窪の南口にはイマドキではない屋台。
吹きっさらしの中でのラーメンも悪くはないが、
屋台をスルーして商店街へ向かう。

ロイホの前、
商店街の路地を左に入り、しばし歩くと右側に「とりこ」。
餃子で名を成す有名店だ。

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名物は水餃子らしいが、もちろん焼き餃子も得意技。
その焼き餃子、にんにくのアリナシが選べるが、
男2人のマッチョな集い、ここはにんにく入れたいところ。
お店は基本的に飲み屋。
小さいカウンターとテーブル席2つの小ぢんまり。
幸運にもテーブルの空きが一席アリ、
しかしその他の席はすでにいっぱいである。

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キャパシティの割に店員が3名はいかにも多い。
だけどそれが故にテキパキと全てが小気味よい。
飲み屋だからつまみがきちんと充実。
餃子だけではないのである。

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僕は冷えたビールを頼むが、
ただいまパパへの道を歩まんとする友人、
酒の好きな女房が酒を飲めずにいるってえのに
なんで俺だけ飲めようか、とばかりに徹頭徹尾ウーロン茶。
心意気と思いやり。エライ男である。
そんな男の目の前で向こう正面2人きり、
生ビールをお替わりするのは無情でしょうか悪でしょか。

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ぎょうざ「とりこ」
杉並区荻窪4-21-19
TEL:03(3220)5883
営業時間16:00〜23:00(日曜のみ〜22:00)
月曜定休
by shinobu_kaki | 2005-02-24 18:13 | 最初の一皿、最後の一杯 | Trackback(3) | Comments(32)
「兄さん、事件です!」

午前零時の電話のベル。僕にはそう聞こえた。
「…もしもし?」
僕は電話に出た。女の声だった。

それは、四谷三丁目にあるワインバーに駆けつけろとの要請。
僕はちょうどその頃1時間ほどのジョギングを終え、
お風呂に入ってさっぱりと汗を流しながらビールを飲んでいた。

電波が悪いらしく何度も電話が途中で切れる。
それが不安感を増大する。
もう終電が終わろうかという時間。
脳裏をよぎったのは酔いつぶれて動けないという状態。
それならば、可及的速やかな救出が必要だ。

「わかった、すぐ行く」

財布にはギリギリ往復のタクシー代しかなかったが、仕方ない。
僕は電話を切ると、まだ濡れたままの髪を乾かして着替えた。
そこで店の場所を聞いていないことに気づく。

「しまった…!」

さっきの番号に電話してみる。しかし、出ない。
電波が悪くて切れたままなのだ。
行き先が分からないのでは救出どころではない。どうするか…。
そうだ。
ワインバーはえだってんパパのお店。
確かえだってんがブログに店のレポをアップしていたはず。
僕は「Hageログ」にアクセスすると、過去の記事から住所を割り出し、
手元の文庫本カバーを引きちぎって簡単な地図を手書きした。
大通りに出て、タクシーを拾う。

「四谷三丁目までやってください」

タクシーは走りだす。午前零時を30分ほど回っていた。

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走り出してほどなく、さっきかけた電話の返信だろう、携帯が鳴った。

「…もしもし?」
「もしもーし。ごめん、鳴ったの気づかなかった」
「(けっこう飲んで)つぶれた?大丈夫?」
「いや、大丈夫よ」
「そう?戻したりとか、お店汚したりしてない?」

「ハッハッハ」

…ハッハッハとはなんだ!ヽ(`Д´)ノ と思ったところで交差点に着いた。
「運転手さん、群馬銀行の隣りに行きたいんだけど、銀行わかります?」
「銀行…さあねえ」
「地図だと確か、交差点の西側だったような。新宿ってどっちですか?」
「…いやー」

オイオイ!運ちゃんYO!

…もういいです。そのへんにつけてください。
タクシーを降りて、辺りを見回す。
暗くて正直よくわからないが、あった、群馬銀行の看板。
その横の路地を入ったところに「モンテ・ブラーヴォ」はあった。

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具合の悪い子いねが。ある意味なまはげ的に扉を開ける。
ソファ席に見慣れた顔が3つ。
見ると、普通である。酔いつぶれているようには見えない。
「あ、来たよ」
…来たよって…救出は…?
「座って座って。じゃあ、ワインでいい?」

普通にお誘いだったのかよ!

拍子抜けした僕は、座り心地のいいソファに深々と腰を下ろして、
そこにあったグラスの赤ワインをひとくち飲んだ。

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「絶品」と評された料理はすべて片づいているようだ。
何も乗っていない大きな白い皿がテーブルに置いたままになっている。
そして飲みかけの赤ワインのボトル。
何本飲んだの?
「ん、でもそんなには。最初白を空けて、2本目くらいだよ」
なんだ、それくらいだったら大したことないね。酔いつぶれるはずもない。
「料理すごく美味しかったよー」
残念、食べてみたかったな。でも次の楽しみにとっておこう。

カウンターとテーブルにそれぞれ客がいる。
時計はすでに午前1時。

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一人ソファに倒れ込むように横になり、静かに寝息をたてはじめた。
3人でサッカー話。みんなスタジアムに行くほど好きなのだ。

「しかし中田浩二は太ったね」
「ヽ(`Д´)ノウルチャーイ!」(←ナカタコファンの声)
「宮本はカコ(・∀・)イイ!!」
「俊輔はあの顔でプレイがエレガント、ギャップが(・∀・)イイ!!」
「鈴木の最近の髪形は(・A・)イクナイ!」
「久保は日本最高のFWだけど、ああいう天然タイプは大成しない」
「中田浩二は太ったね」
「ヽ(`Д´)ノウルチャーイ!」(←ナカタコファンの声)

などなど。
今度みんなでお店で観たいね、さかー。
そんな話をする。

仕事の話、フリーランスの話、沖縄の話、家庭の話…。
2時を回ったあたりでもうひとり、沈。
そろそろ時間も遅いし、お店にも悪い。帰りましょうか。

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すいません、お勘定お願いできますか。
笑顔の素敵なマスターに声を掛ける。
「いいですけど…なんかスゴイ飲んでるんだよねえ。金額が…。」
僕ともう一人の男性は途中参戦だ。
今日のアルコール総摂取量は2人ともわからない。
えーと、さっき聞いたらワインは白と赤で計2本とか…
「いや、5本ほど空けてるよ。すごーくいいワイン。もうびっくり」

ヽ(`Д´)ノウワアアン

もまいら、さっきの「2本」ってなんなんだYO!
普通に勘定したら、ちょっとした家賃ほどの額じゃーないですか。
張本人の2人は気持ち良さそーにソファですやすや。
あまりの豪快な丼っぷりに、男どもにむしろ笑いが込み上げる。

しかしここはマスターの超法規的温情措置により、

バンコクの値引き並みのプライスダウンを敢行。

我々はかろうじて一命をとりとめたのであった。
ていうかスミマセン…>えだってんパパ


モンテ・ブラーヴォ。
四谷三丁目の路地にたたずむ本格的にシックなワインバー。
究極に快適な店内と、ひょいと出てくるハイレベルなワイン、そして料理。
酔いにまかせて時間を忘れる、まさにマジックのような空間。
あなたも、めくるめく魔法のひとときをモンテ・ブラーヴォで。


と、お詫びを兼ねて宣伝してみる…。

しかし本当にいい店です。再訪が楽しみ。
自分の家の近くに欲しい、まさにとっておきにしたい店である。



モンテ・ブラーヴォ
新宿区四谷3−13−20YSビル1F(群馬銀行隣) 
東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅一番出口から徒歩2分
TEL:03(5368)1878
営業時間:19:30〜
by shinobu_kaki | 2005-02-24 10:31 | 最初の一皿、最後の一杯 | Trackback(6) | Comments(34)

桜吹雪が風に舞う。

もうすぐ桜の季節である。

日本人は本当に桜が好きで、
この神秘的なピンクの花が咲くほんの1週間ほどのあいだ、
日本のあちこちで花見と称する飲み会が行われる。
もちろん僕だって例外じゃない。
開放的なお外での楽しき花見に関しては
個人的に失敗談も多々あるが(もちろん酒がらみ)、
ここではあえて触れない。
書きたいのは1年前の小田原で見た桜である。

ちょうど1年前、僕は仕事の忙しさにほとほと疲れ果て、
身体もそうだが何より精神的に参っていた。
明らかに頭がリフレッシュを欲しているのを感じていた。
こういう時はぶらりと旅行になど出るのがいいのだが、
前々から予定を立てるといったバイタリティも疲れにより失われ、
とにかく今すぐにどこかゆっくりできる場所に逃避したかった。
そう、現実逃避が必要なのだった。
そうして訪れた土日の2連休。僕の疲れはピークに達していた。

前日の金曜日、友人に相談した。
内容は、東京からそこそこ近くてゆっくり泊まれる、
そして一人でも立ち寄れる温泉はないだろうかというものだった。
一人だし、別にそれほど素敵なとこじゃなくていい。
少しでもゆっくりできればそれでいい…。
相手だって急に言われても困る。突然だし、時間だって無い。
だがそこは流石というか有り難いというか、
短時間にいろいろ調べてメールで情報を送ってくれた。
友人が紹介してくれたのは、小田原のとある宿だった。

土曜日はよく晴れていた。
僕は小さいかばんに着替えと本とCDウォークマンだけ積め込むと、
現実逃避の旅に出た。まずは恵比寿のアトレの新星堂に寄り、
Mr.Childrenの発売したばかりのアルバム「シフクノオト」を買い、
山手線の内回りで品川へ向かう。
土曜日の昼の陽光が車内を明るく照らし、
気持ち良さそうにうたたねをしている人もいる。
電車の揺れというのはどうしてあんなに気持ちがいいのだろう。
心地よい一定のリズムを刻みながら、電車は品川へ着いた。
僕は品川の駅で軽く食事をし、今度は東海道本線に乗り込んだ。
新幹線ではない。でも小田原までは1本、1時間半もかからない。
僕はボックス席に座り、新しく買ったCDをかけ始めた。
両耳のイヤホンから鼓笛隊のような静かな、太鼓とラッパのイントロが流れ出す。
その感じは僕の東海道線の静かなイメージと重なり、
すっかり分かちがたいものとなっている。それは良く晴れた休日のイメージだ。
ごとんごとん、ごとんごとん。海沿いを走る電車。

横浜を越えるとやっぱり少しのんびりする。
藤沢、茅ケ崎…このへんは海と渚のイメージがある。
二宮、国府津。小田原は近い。小田原には降りたことがない。
箱根マラソンで見たことがある、くらいの印象しかない。
小田原は小田急線であるとか箱根登山鉄道であるとかのターミナル駅になっており、
かなり広い。そしてキレイである。
大きめの改札を出て右へ進むとエスカレーターがある。降りると駅前だ。
右へ進むと小田原城、その先は太平洋へと続いている。
駅前を歩くとやはり干物などの土産物屋が目に付く。
干物屋というのは大盛況することはめったにないだろう。
いつもボチボチなはずだ。それだけに店番のおばちゃんは心なしかのんびりと、
自分の一定のリズムで生きているような印象を感じる。
せわしない都市部ではなく、観光地に住まう人々のリズム。

宿は駅から5分と歩かない。キレイな外観である。
サイトで調べたのだが一度チェックインすると外出はできない。
水道橋のラクーアを思い浮かべてもらうといいかもしれない。
宿というか、アメニティ施設。
これはこれで、今回の僕のニーズにぴったりではあった。
外出ができないから、チェックインを遅らせ、初めての小田原を歩いてみることにした。
海の近くの街、というのはなんだかゆったりしていて好きだ。
ちょっと行くと無限に広がる海、というシチュエーションが
人の気持ちに関係がないわけがない。
波のリズムが影響するのかもしれない。いつも軽いゆらぎがあるような気がする。
そしてかすかな潮の匂い。心地よい湿り気を帯びた春の風。

この道を行くと右手には小田原城。看板にはそう書いてある。
秀吉が北条氏を攻めたというかの地、当時の戦の匂いはとうにない。
緩やかな曲がり角、城のお堀が見えてきた。そこで僕は声を失ったのだった。

桜吹雪。

お堀に沿って、ずうっと桜の木が並んでいる。
ちょうど見ごろ散りごろの桜、
やわらかく風が吹くたびに桜の花びらが一斉に舞うのである。
舞った桜は足元の、城のお堀に静かに落ちる。
桜の枝がお堀に張り出していて、水面に逆さに映りこんでいる。
そのお堀の水は陽光にキラキラと反射して、水というより光がそこにあるようだ。
そして桜の花がその光の上に一面に浮いている。ピンク色のお堀だ。
ああ、と僕は思った。
そうか、小田原ってこんなにきれいなんだ…。

小田原城が桜の名所かどうかはよくわからない。
でも驚くべきことに、僕は完全に癒されていた。
とことこと歩く、その一歩一歩が回復のための歩みだった。
そういう体験はあまりない。
くたびれていた身体と気持ちがじんわりと、
暖められるように癒されているのを感じた。
ざざざざざ、風が吹くたびに花びらが散って舞う。
桜が1枚2枚と髪の毛にからむ。昼下がりの街は陽に照らされて暖かい。
僕は桜の花を身体にまとったまま、ゆったりとした太平洋への道を歩く。
5分も歩けば、春の海はすぐそこにあるのだ。
by shinobu_kaki | 2005-02-23 12:35 | チープ・トリップ | Trackback(4) | Comments(12)

涙。

恵比寿の改札を出て家に向かう途中、なぜか涙がこぼれてきた。
時間はもう夜の9時をまわって暗かったので、
明るい恵比寿といえども夜道を歩けば、幸いにも通行人にばれることはない。
泣いたのは久しぶりだった。
映画などである程度「泣こう」と思ってハラハラと泣く事はある。
もちろん自然に流れる事もあるが、ある程度気持ちの用意ができた涙だ。
だが今回の涙は、まったく不意にあふれてきた。
そんなのは本当に久しぶりで、久しぶりすぎてびっくりしてしまった。

こみ上げる感覚が胸の奥からじんわりとわき起こり、
熱い液体が目からゆっくりと、しかし次々と流れ落ちて、
2月の冷たい風に冷やされ、頬を濡らす水はたちまち冷たいものに変わる。
涙でぼやけた視界の端に見えた地下のレストランは満席で、
シックに着飾った女性たちが白いテーブルにワインでおしゃべりをしている。
夜の9時、恵比寿の街はまだ華やかにして終わらない。そういう街なのだ。
そんな恵比寿に僕はもう5年も住んでいる。

僕はドラッグストアの横の信号をわたり、
タコをかたどった滑り台のある、有名な公園のそばの道を歩く。
駅前の喧噪がウソのように、道は暗く、そして静かだ。
涙はまだ止まらない。そばに誰かいたならぐっとこらえて、
泣いてなどいないがごとくに振る舞った事だろう。
でも僕はひとりでいた。自らの感情を、誰にはばかることもない。
泣くにまかせて泣き続けた。なんだか気持ちがいいものだ。
まっすぐ家に帰ろうかと少し迷った後、公園の白いトイレに入り鏡を見ると、
メガネの奥の目が赤く潤んでいた。
自分の泣き顔を見る機会なんてそうはない。
夜も明るい公園のトイレ、なんだかみっともない顔がそこにあった。

哀しいわけでもなく涙を流すというのは不思議なものだが、
時にはそういうこともあるのだろう。理由はない。それだけ。
街への突然の愛おしさからくる涙。家族に対するそれに似ているかもしれない。
泣くことの浄化作用のおかげで幾分すっきりした僕は、
しかし頬を流れていたさっきの涙の跡を拭き取ることなく、
家へと続く道をひとりして歩いて行く。歩き慣れた道だった。
by shinobu_kaki | 2005-02-23 01:10 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(22)
「ねえねえ、あなたって何フェチ?」

こういった会話がわりかし普通に行われるようになっている。
もともとフェティシズムという言葉には「変態性欲」的なニュアンスがあり、
オープンでオフィシャルな席上でこんな言葉が出てくることに、
僕などは一瞬ドキッとしてしまうのだが、
ここで言われるフェティシズムという言葉のニュアンスはカジュアルだ。

「異性の身体に対する部位的なこだわり」といった程度のことなのである。

さて、冒頭の質問に対する僕の答えであるが、
なんだかいつも返答に困るので「メガネフェチ」と答えることにしている。
嘘ではない。メガネをかけた女性は好きである。
もっと正確に言うと「メガネをかけたスタイルが似合う女性」ということだ。
「似合う」というのは「状態に違和感がない」というほどの意味ではあるが、
ここでは「そのスタイルをまとうことで、その人が魅力的に映る」、
そんなニュアンスで使いたい。

メガネには「知的」「清潔感」といった記号性がある。
その記号が僕は好きなのかもしれない。
しかしメガネは本来のフェティシズムのニュアンスからは、
かなり遠く離れてしまったと言わなければならない。
Far from fetishism, フェティシズムから遠く離れて。

先日発売の「AERA」でフェティシズムに関する記事が載っていた。
女性が魅力を感じる男性の身体的部位の1位は「手と指」だそうである。
手は身体の中でも端末的部位。それだけに、身体全体の出来を反映するという。
女性が繊細で精緻な手と指を持つ男性を求めるのは、
オスの優秀な遺伝子を求めるといった、生物学的な見地からも正しいというのだ。

「相対的に薬指の長い男は、攻撃的でスケベ」とは、
動物行動学者で数々の著書を持つ竹内久美子氏。
男性の薬指は人さし指よりも若干長くなっているものだが、
特に薬指が長めの男性は、男性ホルモンであるテストテロンのレベルが高く、
なおかつ優秀な精子の持ち主だということである。鍵は薬指にあったのだった。
これは、指輪を薬指にすることと何か関係があるのだろうか?

さらに最近のデータでは、「目の細い男性がセクシー」という声が多いという。
一重はまぶたが腫れぼったく見えるので、むしろ不人気の印象があるのだが、
最近は逆転しているらしい。ジャニーズ系人気の傾向から変わってきているのだ。
中でも中田英寿の目に人気が集まっている。
「一見、何を考えているかわからないところが神秘的」なのだそうだ。

「骨っぽい手がいい」
「ヤクルトの古田のお尻が好き」
「むしろ、ぶにょぶにょの太った人が安心感があっていい」
「爪がキレイな人が好き」…
やはり好みは千差万別。
そしてやはり現在使われる「フェティシズム」は、
かなりライトな「こだわり」程度のニュアンスであると言っていいだろう。

「フェチ」と聞くと思わず、
谷崎潤一郎や村上龍のような「足フェチ」を思い浮かべてしまうのだが、
「脚」ではなくて「足」が好き、というはやはりひとつの変態だそうだ。
チャイナドレスのスリットがほぼ全ての男性にとって魅力的なように、
脚はセクシャルに直結している。だが、足というのはそうではない。

こうして考えると「メガネ」はフェチに入らない気がした。
それは身体の部位ですらないのである。
by shinobu_kaki | 2005-02-22 13:27 | shinoBOOKS | Trackback(4) | Comments(51)

シノブ逮捕。

シノブが逮捕されました。
ニュースでも報じられています。


SHINOBU逮捕−泡盛飲み運転、同乗者けが

 警視庁麻布署は21日までに、道交法違反(酒酔い運転)の現行犯で、
人気ダンスボーカルグループ「DA PUMP」のメンバー宮良忍容疑者(25)を逮捕した。

調べでは、宮良容疑者は20日午前2時半ごろ、
東京都渋谷区内の飲食店などで友人らと泡盛などを飲んで車で帰宅途中、
自宅近くの港区麻布十番で、貸店舗のシャッターに突っ込んだ。
宮良容疑者にけがはなく、助手席の自営業の男性(39)が頭に軽いけが。

調べに対し「ばかなことをした」と話しているという。

宮良容疑者は沖縄県出身。1997年に「DA PUMP」のメンバー、
SHINOBUとしてデビューした。

ニュースソースはこちら


当日は同じく泡盛を飲んでいましたが、逮捕は僕じゃーありません。

某所で、
「ボーカルは髪が薄いが、他の奴らは影が薄い」
と言われるDA PUMP(ひどいなあ)。

DA PUMPのシノブって誰? という方、
そんな「他の奴ら」の中でも、一番大人しそうで目立たない人、
と言えばわかっていただけるでしょうか。
そうそう、その人ですよ。

しかし彼には立派でピースフルな特技があります。
それは、

「鳩をなんなく素手で捕まえることができる」

というもの。

ステキですね。鳩を肩に乗せたSHINOBUくん。
なんか「いい人」って感じです。



ところで昨夜、夜1時頃に社長と二人で打ち合わせしていて、
突然「一杯飲みに行くか」ということになり、
外苑東通りのリストランテ山崎の1階にできた(というか西麻布から移転した)、
バー「TSURU」のカウンターで珍しくマティーニとか飲みながら、
前から聞いてみたかったこととか含めてかなり社長とぶっちゃけ話。
1時間ほどで閉店の時間だったので、
西麻布交差点そばのバー「LAND'S END」で、
スコッチとかキツめの酒を飲みながら話の続き。
帰ったのが5時でした(月曜から…)。
社長は10時から打ち合わせって言ってたけど、大丈夫かなあ。

それでは、僕も行ってきます。
って、まだ家かよ!(笑)
by shinobu_kaki | 2005-02-22 11:26 | エウレーカ! | Trackback | Comments(7)

ダルビッシュの憂鬱。

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ダルビッシュくんが謹慎処分だそうです。

ダルビッシュ。本名は「ダルビッシュセファット ファリード 有」。
名前からひと目でわかるように、ハーフ。
お母さんが日本人、お父さんがイラン人です。
知らなかったけれど「ダルビッシュ」で区切るんじゃないんですね。
ダルビッシュセファット、で一区切り。
1986年8月16日生、大阪府松原市出身。194センチ84キロ。でかいね。
足のサイズも30cmとでかい。右投げ右打ち。投手。
最高球速は149km/hとも152km/hとも。

この度のドラフトで、北海道日本ハムファイターズに入団。もち、ドラフト1位。
背番号は11。期待の高さがうかがえますね。
でも今は宮城県の東北高校に籍を置く、一応まだ高校生。
高校2年の夏にエースとして甲子園準優勝。


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ちなみに当時の東北高校の控え投手は、

メガネッシュこと真壁くん。
今年のバレンタインにもらったチョコレートは60個を数えるそうである。
いや、バレンタインはダルビッシュくんのほうね。
メガネッシュくんのチョコの数は知りません。


そんなダルビッシュくんの謹慎の理由は、喫煙。
しかも球団のキャンプに参加中、
那覇市内のパチンコ屋で

パチンコ&タバコスッパーしてるところを補導です。

18歳なので法的にはパチンコはオッケーなワケですが、まあタバコはね。
本日付で東北高校も停学処分を発表しました。
卒業式にはダルビッシュくん出られません。残念ですね。


というか最近、イチローのような「自己管理の鬼」
といった風情の選手を見ていると、
近ごろのスポーツ選手はどんどんストイックになってきていて、
二日酔いで試合に出るとかいった、

あの古き良き無頼派野球選手は絶滅したかと思いましたが、

ダルビッシュくんのようなある意味健全な人とか見てると、

「ああ、まだプロ野球も捨てたもんじゃない」と思わずにはいられません。
(そうか?)


他にも巨人からお小遣いをもらっていたとして、
「ナベツネのクビを切った男」ソフトバンクの一場選手とともに、

フレッシュさのかけらもない新人が今年は続々です。

なんか、見てるぶんにはとても楽しいですね。
スター選手のメジャー流出が続き、期待もあるが寂しくもある。

日本のプロ野球、彼らの風格あふれるプレイに期待しましょう。


特に「日本一幸福な野球選手」新庄、
ダルビッシュくんと同期、あの済美の4番打者だった鵜久森くん、
「あまりにも通好みな野武士系実力者」小笠原などなど、
北海道日本ハムファイターズが熱い。香ばしい。なんか楽しい。

巨人と東京ドームをシェアというか間借りしていた昔に比べ、

北海道への地域密着に成功した日ハムは、
チームカラーのイメチェンにも成功していると思うのです。
by shinobu_kaki | 2005-02-21 16:11 | エウレーカ! | Trackback(1) | Comments(21)

寒くない?。

なんで寒いのって嫌なんだろうね。
俺、寒いの嫌いだよ。
いや、ホント。無理無理。

寒い時期はやだね。
陽が当たんなくて寒いと、なんか気持ちまで下がって来ちゃうんだよね。
俺、手も足も冷たくて冷え性っぽいし、すぐ手がかじかんじゃう。
だから一日に2回も長風呂したりしちゃうんだけどさ。
本とか漫画とか持ち込んで、しわくちゃにしながら読んだりさ。
でも、あったまったと思っても風呂からでたらまた冷えちゃう。
エアコンだけじゃ寒いのかもしれないね。暖房。
床もフローリングだし。絨毯も敷いてないしさ。
もちろん床暖房があるわけじゃなし。え? 絨毯買え?…わかってますよ、
いつも思うんだけど買いそびれたまんまなだけでさ。
寒がりのクセに薄着で出歩くからますます寒いってのもわかってんだけどね。
でも、フローリングも春と夏と秋はちょうどいいんだよな。涼しくてさ。
よく晴れた午前中に窓とカーテンを開けて、
ぽかぽかと陽の射した床に寝そべるのはほんと気持ちいいし。
猫にでもなった気分だね。いや、猫飼った事なんてないんだけどさ。

だいたい部屋を選ぶ時にも陽当たりはかなり気にするし、
晴れた日には絶対外に出かけたい。歩きでも、自転車でもね。
天気がいいって、それだけで気持ちがいいからね。
なんでだろうね、あれは。別に特別なことなんかしなくていいね。
安上がりといえば安上がりだけど、
絶対そういうところは人間みんなあると思うんだよな。

いつも思うんだけど、北国とか、緯度の高いとこに住んでる人は大変だね。
まあ北海道くらいになると食べ物も美味いし逆にすがすがしいけど、
日照の少ない東北地方の日本海側とかね。無理だね。無理。
住めないでしょ。住めません。
フォロー?住んでる人に失礼だからあんまり言うな?
いや、いいとこもそりゃたくさんあるよ。
夏は比較的過ごしやすいし、米とか、まあ食べ物も美味いしさ。
美人も多いっちゃ多いし。まあ住んでるとそんなことあまり意識しないけどね。
そういうのは外に出て初めてわかるもんだから。

でも18年ほど暮らして思ったのは、ありゃちょっと寒すぎだよ。
まあしかしそこは暮らしの知恵ってもんで、暖房をガンガンたくんだね。みんな。
あちらの方々はさ。もう容赦ないよ。やけくそかってくらいに暖房。
こたつとストーブとダブルで、目盛りは「強」だよ。
なんか暑いのよ、部屋の中。外は雪なのに中はTシャツ、みたいな。
無駄じゃん、とか思ってたけどね、ずっと。無駄無駄。あれ無駄。

なんか何が言いたいのかわかんなくなっちゃったけどさ。
まあ死ぬ時はポカポカした陽の中で死にたいね。
寒いのは嫌だよ。辛気くさくてさ。もっとあったかいのがいいね。
火葬するから大丈夫? いや、火葬はそりゃ熱いだろうけどさ。そんな話じゃなくて。
ヒュルリララ、な日本海の岸壁に落っこちて死んじゃう、みたいなのはヤ。
そんな「火曜サスペンス劇場」みたいなのはヤだね。
だいたいみんなそんなに岸壁とか行かないから。いっつも告白シーンは岸壁じゃん。
なんかあんのかね、岸壁に。意味がわかりません。無意味です。
なーんて言ってると、誰だっけ、あの人。アレアレ。
なんかで読んだ。有名な人だかなんだかわかんないけど、作家だか誰だかで。
その人、飛行機と火事が嫌いだ嫌いだってずっと言ってて、
飛行機は墜落する気がして怖い、
火事は火が怖くてしょうがないって生前よく言ってたら、
飛行機の墜落事故の時の火事で死んじゃったって言う。
笑えないね。笑っちゃうくらいひどい話だけどさ。で、実際笑っちゃうんだけど。
だから、そんなこと言ってると俺なんか凍死しそうでさ。
それかヒュルリララって岸壁に落ちて死んじゃいそう。そんなのヤだからね。
あんまり言わないようにしてるんだけど。こんな死に方は嫌だとかさ。
もう言っちゃったけどさ。

それにしても今日は寒いね。エアコンの温度、表示だけど28度だよ。
それでも全然あったかくないんだからね。やだね、寒くて。
日本は寒すぎるのかもしれないね。
いや、海外に住んだ事なんてないけどさ。例えだよ、ものの例え。
こんな日は鍋とかいいね。身体の芯からあったまるのがね。こたつでね。
しかし今日は寒いよ、ほんと。グレーの空に、アスファルトが雨で濡れて黒いしね。
なんか、電柱まで寒いって言ってるみたいだよな。寒い寒い。

夏がいいよな。カーッと暑いのはけっこう平気でね。
Tシャツにサンダル履きで、サングラスで夕方からぷらぷらしてね。
ビール飲みに行くわけですよ。そういうのがいいね。
汗もかくけどさ、汗かくのは嫌いじゃないんでね。
もう夏大好き。常夏ラブ、みたいな。

でも今年の夏はちょっと暑すぎたね。
ありゃ暑すぎでしょ。ひどかったよね。もうね、無理。無理無理。
なんにもやる気おきないよ、あれじゃ。限度があるっつの。

いつも思うんだけど、赤道付近とかの人は大変(長いので以下省略)
by shinobu_kaki | 2005-02-19 16:01 | ライフ イズ | Trackback | Comments(30)

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by Shinobu_kaki
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