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前回の続き。

僕がその頃通っていた専門学校の同級生にHがいた。
彼とは家も近い事もあったが、来るものを拒まない独特の空気を持っており、
僕はそのうちにHの家に入り浸って遊ぶことが多くなった。
Hは高校時代の同級生Iと家賃を折半して2DKの部屋に住んでおり、
その広さが僕を気軽に遊びに行かせる後押しとなった。
ある日、Hがアルバイト情報誌で面白そうなバイトを見つけてきた。
それはヒーローショウの着ぐるみに入るというもので、
バイト料は非常に安かったが、その内容に我々は魅きつけられた。
その仕事について詳しくは「風の歌を聴け」というエントリに書いた。
ここは給料については絶望的だったが何しろ仕事内容が気楽だったのと、
同じような思惑の同年代の男女が集まってきていたのが魅力だった。

もう一つ、友人のHと一緒にやったのは警備員のバイトだった。
警備会社に制服や帽子を借りて、その都度指示された現場におもむき、
およそ8時間ほど、交通整理をしたり車の誘導をするのだった。
大きな現場で複数人で警備する時は別だが、
基本的には誰とも話すことのない孤独なバイトだった。
僕は見回りを装ってブラブラとあたりを徘徊しながら、
当時の流行り歌をきちんと2番まで(心の中で)歌ったり、
各プロ野球チームの選手名を背番号順に思い出したりして時間をつぶした。
このバイトの良いところは週単位でバイト料を支払ってくれるところであり、
それ以外に特に魅力を感じるわけではなかった。
仙台近郊の菅生サーキットや、もう少し小さめのサーキットにも行った。
これは「真夜中のレース」というエントリに書いた話だが、
それ以外はもっと仙台駅周辺の、何の変哲もない工事現場が多かった。

仙台には国分町という繁華街がある。博多で言えば中州だし、
新宿で言えば歌舞伎町ということになるだろうか。
ともかく唯一の繁華街が国分町なのだった。
僕は飲み屋のバイトを探していた。
それは寒くなる時期の屋外のバイトがきつかったからだし、
おおむね食事つきという条件なのもありがたかったからだ。
別に酔客を相手にしたかったわけではないが、
なんとなくゆるそうなルーズな雰囲気の中で働ける場がいい、
そんな後ろ向きな理由もあったに違いなかった。
そんなわけで僕は「パイナップルアイランド」という、
雑居ビルの中にある小さなカラオケパブのような飲み屋で、
卒業までの数ヶ月をアルバイト店員として過ごした。
「パイナップルアイランド」はホールとか厨房とか、
そんな分担はまったく必要がないほどの本当に小さな店で、
14、5人も入れば店はもう立錐の余地はなかったと思う。
僕は厨房でマニュアル通りにピザを焼いたり、
冷凍のたこ焼きの盛りつけをして客に出したりしていた。
そんな小さな店なのでバイトは2人も入ればいっぱいだったが、
同時期に務めていた女性のアルバイトが何人かいて、
客のいない暇な夜などはダラダラと来し方行く末などを話した。
僕は当時19歳で、相手も同じくらいの年齢だった。
ある時、近くの大学の打ち上げと思われる団体がやってきて、
歌いまくりで騒ぎまくりの夜があった。
厨房に入っていた僕もいつの間にかその輪の中に入り、
夜がすっかりふける頃には一緒のテーブルでカラオケを歌っていた。
「ザ・学生」という感じがして、あれは面白かった。

僕の仙台時代はこうして、バイトに明け暮れながら過ぎていった。
もちろんこれが全てではない。他にもいくつかやった気がする。
だがまあ、ざっとこんな感じである。

そして僕はこの数ヶ月後、
友人の借りてくれたハイエースのレンタカーに荷物を満載し、
真夜中の高速を東京へと向かうことになる。
かすかに振る雨がフロントガラスを叩いている。
僕ら2人を乗せた車は、まっしぐらに東京へ向かっていた。
by shinobu_kaki | 2009-03-31 21:12 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

空飛ぶペンギン。


空飛ぶペンギンの映像です。
映画みたい。

Penguins - BBC youtube
by shinobu_kaki | 2009-03-31 07:56 | エウレーカ! | Trackback | Comments(0)

ゴール。



ゴールはない。
だから、過程を楽しんだもの勝ち。
by shinobu_kaki | 2009-03-30 18:21 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(0)

歌う。

かつて誰もがカラオケに興じた時代があった。
僕だって例外じゃない。
気の会う友人と飲みに行った時の「3次会」は必ずカラオケだったし、
金曜の夜に、始発を待ちながら思う存分歌うこともあった。
何より僕自身、歌うことがとても好きだった。
場所の頻度としては圧倒的にカラオケボックスで、
カラオケスナックはもっと年かさのいった人たちの娯楽という感じだった。
最近は歌いに行くことはない。
そもそも外に飲みに行くことがほとんどない。
すっかり「パパ・モード」という感じで、
酒がなくとも生きて行けると言っても過言ではない。
独身時代とえらく違う。
もちろん、酒にまつわるどこかルーズな文化というのは好きなのだが。
(…ああ、寝室で娘が泣きだした。)

こんな話をするのは、
iTunesで流れている懐かしい曲のせいかもしれない。
いつかカラオケで何度も歌った曲たち。
パソコンの前で晩酌のビールを気持ちよくあおりながら、
軽く口ずさみ、時には歌ってみたりする。

歌はフィジカルに気持ちがいい。
歌うことは非日常だ。
歌は人の心を軽やかにする。
歌を歌えるくらいの余裕が、人生には欲しい。

春の週末はこうして歌とともに暮れてゆく。
by shinobu_kaki | 2009-03-29 22:48 | 最初の一皿、最後の一杯 | Trackback | Comments(1)

辞める理由。

桜はまだのようだね。
でも場所によってはちらほらと咲いている。
本番は来週かな。

10人ほどしかいない社員の1人が今月で辞める。
彼は年齢こそ僕と変わらないくらいだが、
経験的にベテランというキャリアではなかった。
ただ僕から見てもすごく才能のある人で、
何を作らせてもそれなりに綺麗なものを作るというタイプの人だった。
そういう人はいるものだ。
金曜に彼とちょっと話をしたが、辞める理由は僕の予想通りのものだった。
というのは、かつて僕が辞めようかと悩んだ時と同じ理由だったし、
まったく同じ理由で会社を辞めて行った人間を何人も知っていたからだ。
僕自身は今、直接仕事の依頼が入るようになっているので、
その状況からほぼフリーになっている。だから辞めないでいられている。
僕はたまたまそのきついトンネルを抜けたに過ぎない。
でも、辞めて行く彼は入社して日も浅く、まさにその状況にさらされていた。
だから彼の気持ちはとてもよくわかったし、
先に書いたように彼は才能のあるタイプの人だと思っているので、
彼がさっさと会社を辞めて行くことには賛成だった。
才能がある人に対しては、
その人の良さをそのままに出してあげることがいいのであって、
例えば上司が思うままに振り回したり、厳しくダメ出しすることは、
彼のやる気を腐らせ、結果的に彼の才能をスポイルさせてしまうことになるのだ。
幸い、彼は次の会社のあてがもうあるという。
仕事で絡む機会もまだ少なかったし、寂しいことは寂しいのだが、
彼にとっては正しい選択だったのだろうと思う。

仕事の悩みとは、ほとんどが人間関係だ。
経営者でもなければ、売り上げがそれほど上がらなくても、
また、ものすごく自分の納得するものができていなかったとしても、
身の回りレベルの人間関係が上手くいっていたなら、
それほど悩むようなことはないのである。
人間関係とは個人と個人のパーソナリティのぶつかり合いではあるのだが、
ペースを握る人間、つまり上役がマネージメントすることはできるものだ。

ちょっと内容は離れているように思うが、考えさせられたスレ。
厳しく育てられるとどういう子どもに育つの?
by shinobu_kaki | 2009-03-29 09:10 | ライフ イズ | Trackback | Comments(0)

名前のない感情

例えばこういうこと。

自分たちが毎日遅くまで働いて、
ギリギリで家庭やプライベートとのバランスを取りながら、
仕事をして売り上げを上げている。
それを、昔はどうか知らないが、
今はほとんど仕事をしているのかどうかもわからない、
気まぐれに会社に出てこないことすらある、
そんな上役が日がなワインだバーだとふらふらと、
とんでもなく高価な遊びに金を使っている。
もちろん給料は(おそらく)社内の誰よりも高い。
そんな人に、自分たちの日々の努力が吸い取られているなんて、
考えたくもないし、恐ろしく気分が悪い。

あくまでもフィクション、例え話だが、そういうこと。
こういった感情を何と呼べばいいのだろう?
by shinobu_kaki | 2009-03-28 12:17 | ライフ イズ | Trackback | Comments(2)

余裕。

いい時もある。悪い時もある。
すべてが上手くいくときもあるし、
完全に裏目にでる時もある。
いい時はそれでいいが、悪い時はちょっとまずいことになる。
そして、どちらの目が出るかなんて誰にも分からない。
だから余裕を持っておく。
がんばりすぎない。
あまりギリギリでやらないことだ。
by shinobu_kaki | 2009-03-26 09:58 | 言葉は踊る。 | Trackback | Comments(0)

Traveling book store.

夕方、本屋に行ってきた。一番よく行く本屋と言えば、
会社からほど近い外苑前のリブロ青山店である。

ここは地下一階にある。青山通りに面した階段を降りて行く。
英会話スクールの勧誘が入り口付近にいることが多いが、
今のところ英会話に用はないのでスルーさせてもらっている。

入るとすぐに新刊の棚がある。
新刊を買う頻度がそれほど多いわけではないが、
「今」を捉えておきたいという意味もあり必ずチェックしている。
もちろん中には古くさいルックスの本もあるものの、
やはり「今」作られたものというのは、
「ふさわしき今日性」というべきものが必ずあって面白い。
文化は呼吸している。新陳代謝があるのだ。

僕は職業柄、気になった本の装丁者、
つまりブックデザイナーは誰なのか確認する事が多い。
手に取る本の基準は自分の中にいくつかある。
それは、綺麗なものか、強烈なものか、実験的なものか、意志的なものである。
最後の「意志的なもの」というのは何かというと、
デザインする上での制作者の意図が強く出ているもののことだ。
例えば「本らしくない本にしたい」「ノートみたいな表紙にしたい」など、
ギミック的な意図がある表紙が僕はわりかし好きなのである。

さらに、面白い傾向がある。
上記の条件の中で僕が「綺麗」で「意志的」と思った本を手に取ると、
「鈴木成一デザイン室」の手になるものである確率が高いのだ。
今日も同じようなケースがあった。
恩田陸のブラザー・サン シスター・ムーンという本だったのだが、
シルバーのタイポグラフィが綺麗で、これはいいなと思ったのだが、
クレジットを見ると「鈴木成一デザイン室」だったのである。

現代を生きる装丁の鬼才と言えば祖父江慎などが有名だが、
方向性としては鈴木成一のデザインのほうが僕は好きだ。
それはあくまでオーソドックスの範囲の中で研鑽が行われている、
そう思わせてくれるデザインだからではないだろうか。
ここでいうオーソドックスとは「平凡」「凡庸」という意味ではない。
像の斜め上から破壊的にやってくるようなクリエーティブではなく、
ある程度コンサバーティブな王道の範囲の魅力がある。
「非岡本太郎的」とでも言うべきだろうか。
もちろん王道であることと創造性は矛盾しない。
これはきっと僕が、デザインの仕事とはどこか職人的であり、
買ってくれる人ありきの存在であるという認識に基づいている気がする。
価値観を揺さぶるような品を求める客は、それほど多くないのだ。

今ちょうど再読している「村上龍映画小説集」も、
まさに鈴木成一デザイン室の装丁だった。
この「映画小説集」は記憶していたよりもずっと面白い。
デビュー作の「限りなく〜」や「69」の系譜に連なる自伝的な作品だが、
それらと同じようなスタイルの一編の小説ではなく、
短編集という形にしたのはなぜだろうか?
奥付を見ると初版は1998年とある。10年以上も前の作品だ。
村上龍がここ数年の間にリリースした作品は、読んでいない。
by shinobu_kaki | 2009-03-25 17:38 | デザイナーという病 | Trackback | Comments(0)

WBC決勝。

WBC決勝戦をラジオでさっきまで聴いてました。
何と言うか、決勝とか、世界とか、そういう要素抜きでもすごい試合。
韓国もやるなあ。ダルビッシュから奪った1点は執念だね。

そして最後に美味しいところを鮮やかに持って行ったイチロー。
ずうっと不振をかこっていながら最後の最後で勝負を決めるヒット!
やっぱりスターですね。本当に素晴らしいな。
それにしてもインタビューでのコメント、「イキかけました」ってのは
放送コードに引っかからなかったのか?(笑)

4番に入った城島は残念ながらチャンスに打てなかったし、
3番青木のところで2つの敬遠は屈辱的だったかもしれないけれど、
村田よりも城島が4番に入るほうが「打線」という感じがして良かった。
やっぱり貫禄があるよね。楽天・野村監督は城島に否定的だったけど、
結果を出したのだから文句も言わせないってことで。

そして原監督は男になりましたね。
現役時代はそれなりの好打者だったにも関わらず、
「巨人軍の四番」という重すぎる錦を背負い、
偉大な先人と常に比較され続け、酷評された原辰徳氏。
だが指導者としては非常な尊敬を集めている。
現在、巨人のコーチを務める吉村禎章氏も、
現在の原監督には一目も二目も置いているようだ。
こういう人生もある。

それにしても、WBC決勝。
ラジオで聴いているだけでもヒリヒリした緊張感あふれる試合で、
選手たちはしびれただろうな。



WBC決勝戦スコアボード
by shinobu_kaki | 2009-03-24 15:37 | エウレーカ! | Trackback | Comments(2)
イタリア代表でユベントス所属のサッカー選手、
アレッサンドロ・デル・ピエーロのことを調べていたら、
「バンディエラ」という言葉が出てきた。
直訳で「旗頭」、つまりチームにおいてシンボル的ポジションの、
「長期に渡って同一のチームの第一線で活動し続ける選手」のことを指す。
例えば「デル・ピエーロはユベントスのバンディエラである」
というふうに使うわけだ。フランチャイズ・プレイヤーとも言う。

他にもそういう選手はいるだろうか。
見て行きたい。

パオロ・マルディーニ(ACミラン、1984年〜)
長くイタリアのディフェンスのリーダーとして君臨したマルディーニ。
この人はデビューからずーっとミランである。すごい。
フランスのテュラム、デサイー、ブラン、リザラズも素晴らしかったが、
イタリアのディフェンスラインの3人、
ネスタ、カンナバーロ、マルディーニも歴史に残るメンバーである。

フランチェスコ・トッティ(ASローマ、1992年〜)
“ローマの王子様”トッティ。名前がかわいい。
テクニックがありフィジカルも強い。
イタリア代表の中心選手として申し分のない才能を発揮する一方、
テレビのどっきり番組にまんまとひっかかり服を脱ぐ場面を撮られるなど、
「アホキャラ」「おバカキャラ」として愛されている。

ハビエル・サネッティ(インテル・ミラノ、1995年〜)
足の速いサイドの選手、アルゼンチン代表。イタリアのザネッティとは別人。
エレガントというよりはフィジカルの強いハードな印象の選手であり、
インテルはそういう選手が多い気がする。
DFで言えばコロンビアのコルドバ、マテラッツィ、マイコン、サムエル、
FWのクレスポ、クルス、イブラヒモビッチ、アドリアーノ。
夜道でばったり会いたくないタイプの選手が揃っている。

ライアン・ギグス(マンチェスター・ユナイテッド、1990年〜)
ウェールズの突然変異的名選手。ルックスはさすがに老けてきた印象だが、
こないだのクラブワールドカップの活躍を見てもバリバリである。
自身のルーツとか家庭内不和とか、プライベートでは結構な苦労人。
だがサッカーにおけるキャリアは非常に輝かしいものがあり、
長年語り継がれるべき、まさにレジェンドといった選手である。

ジェイミー・キャラガー(リヴァプール、1996年〜)
「ザ・ロック」(岩)の異名をとる鉄壁のディフェンダー。
スティーブン・ジェラードと並ぶ「リヴァプールの魂」。
ジェラードと言えば1998年からリヴァプールひとすじの選手であり、
そろそろ「バンディエラ」と言ってもよい選手ではないかと思う。
(今回のリストアップはwikipediaに準じました)。

ラウール・ゴンサレス(レアル・マドリード、1992年〜)
この人を忘れてはいけない、ラウールである。
非常に上手く、器用で、ゴール前でなんでも出来る万能型の選手。
「選手として十点満点は付けられないが、全ての要素に九点が付けられる」
そう言ったのはヨハン・クライフだそうである。
UEFAチャンピオンズリーグ最多得点、スペイン代表最多得点、
レアル・マドリード歴代最多得点という勲章を見てもそのすごさがわかる。


他にもチェルシーのテリーとかバルサのプジョルとかいますけど、
そろそろ飽きたのでこのへんで。

今日は野球のワールドベースボールクラシック決勝ですね。
会社でもラジオを流してみんな聴いてます。
韓国と何回対戦してんだーとか、あんなに負けたのに次勝てば優勝?とか、
正直よくわからない部分もあるこの大会ですが、
真剣勝負の盛り上がりというのはなかなかいいもんです。
個人的には、以前ほど野球に夢中になれない自分がいるため、
そういう意味では残念なところもある。
10年前にこの大会が開催されていたら…とか思うんだけど、
そーゆーものでもないよね。
アメリカがあまり力を入れてない感じなのもなあ。
by shinobu_kaki | 2009-03-24 12:14 | さかー考 | Trackback | Comments(0)

移動祝祭日


by Shinobu_kaki