ザ・ロードムービー。「モーターサイクルダイアリーズ」

医学生エルネストは23歳。
友人のアルベルトは29歳。
ブエノスアイレスの青年2人は中古のバイクに2人乗り、
南米をめぐる旅に出る。

貧乏旅行は道中多難。
カーブに転び、雪道に凍え、テントは風に飛ばされ、
見知らぬ家の扉を叩き、宿と飯とを惨めにタカる。

それでも2人はへこたれず、
雪のアンデスを越え、チリの夜に踊り、
酔っ払いに追われ、病に苦しみ、あるいは病人に薬を与え、
海岸線をひた走り、途中唯一のバイクをロストし、
ペルーの山道からインカ帝国の首都クスコ、
そして神秘の空中都市マチュピチュを訪ね、
船に乗り、イカダを漕ぎ、砂漠を横切り、ヒッチハイクを繰り返す。
あらゆる人と出逢い、あらゆる人と語らい、
特に若き青年エルネストの、
人生観が変わってゆく様子が瑞々しく描かれる。

エルネストとはエルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
後にキューバ革命において世界の英雄となる、
あの“ゲバラ”その人だった---。

a0022014_12301632.jpg


これぞロードムービー。
南米に行ってみたい、また興味のある人は必見。
実際にアンデスを、マチュピチュを、アタカマ砂漠を
旅したような気にさせてくれます。
荒涼とした南米の自然の厳しい美しさに圧倒されることでしょう。
そして旅においての、人との激しく刹那なつながりがいかに大事で素晴らしいか。
お調子者のアルベルトと、一本気で嘘のつけないエルネストの対比が面白く、
後の世に革命家として名をなすエルネストですが、
そういったカリスマの本性というのは極めて真面目で純粋である、
といったことが謳われていると思いました。

個人的にはペルーに昔から興味があるんですが、
インカというのは非常に高度な文明を持ちながら、
ピサロ率いるたった200人のスペイン人たちにあっさり滅ぼされた国ですよね。
その理由はいまもって謎が多いともされていますが、
一説にはインカ人が白人達を「伝説の神の使い」と見てしまったとの話もあります。
「白き太陽神の使い」を闘う対象として見られなかったんですね。

富士山ほどの標高の街・クスコのシーンでは、
見事なインカ時代の石組みを見ることができます。
有名な「12角の石」もラスト近くのショットで見られますが、
今の技術をもってしても、これらの石組みを再現するのは難しいとされ、
映画のなかでもケチュア(だと思う)の子どもガイドが、
スペイン時代以降の石組みの稚拙さに対して、
インカの技術の見事さにプライドを持っている、
そんなようなことを言うシーンがあります。
「失われた街」クスコと、スペイン人が創った雑多な都市・
リマ(ペルーの首都)を見比べて、
ある繁栄が何かの犠牲のもとに成り立っている事実に何かを感じるエルネスト。
「世の中の理不尽さ・弱者の不公平さ」に憤りを覚え始める、
映画はそんなエルネストの心の動きを追っています。

というか青年ゲバラ役のガエル・ガルシア・ベルナルはカッコ良すぎ。
パーフェクト。


予告編を初めて見てから、
「これはきっと面白いぞ」と見込んでいた映画でしたが、
まさに期待にそぐわぬ素晴らしさでした。
見た後は、遠くへの旅から帰ってきたような、そんな心地よいぐったり感が。
バカラのイルミネーションがキレイな恵比寿ガーデンプレイス、
11月のガーデンシネマは、まだ混み混みでした。



「モーターサイクルダイアリーズ」(2004年イギリス=アメリカ合作)
   監督:ウォルター・サレス
製作総指揮:ロバート・レッドフォード
 キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル
      ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
      ミア・マエストロ
   提供:日本ヘラルド映画、アミューズソフトエンタテインメント
by shinobu_kaki | 2004-11-15 12:22 | 人生は映画とともに
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31