お台場のファントム。

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お台場とは「砲台場」と言う意味であって、もともとの由来はキナ臭い。
都内随一のオサレスポットと呼ばれて久しいけれど、
自分自身、なぜこれほどまでに足が遠のいているのかといえば、
その理由はよくわからない。
きっと「流行りもの」が嫌いというか面倒くさい、
というその一言に尽きる気もするが、とにかくお台場は久しぶりだった。

日曜日。これまた久しぶりの「ゆりかもめ」で東京湾を渡る。
新橋特有の「夜の街の昼の顔」といった乾いた佇まいに似付かわしくない、
ちょっとファンシィな乗り場から乗る「ゆりかもめ」。
浜松町の交差点を足元に見て、あの一回転するレールを渡る。
橋のフレームが「ゆりかもめ」の狭い車内にリズミカルに影を落とす頃、
もうジョイポリスやらアクアシティやらが見えてきた。
東京湾の歴史は埋め立て地の歴史である。
1854年のペリー。1995年の都市博中止。お台場。

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右手にホテル日航東京、左にホテル グランパシフィック メリディアン。
駅の名前はそのまま「台場」。中空の駅からブリッジづたいに歩く。
以前に訪れた時とほぼ同じ感想を持ったのだが、この密度の薄さ、
そのくせ建物自体は昔思った未来都市的なシャープな造形をしており、
それが「未完成感」を感じさせる。アンバランスなのだ。
とってつけたような浜辺も、フランスから借り受けた自由の女神も、
(一度フランスに返却されて、今はレプリカだそうである)、
どことなく非現実な、乾燥した夢のような印象をうける。
あるいは銀河のどこかにある、地球によく似た星のようでもある。
次の星はお台場、お台場。停車時間は24時間…。

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最近映画が繁盛だそうである。
それは映画自体、つまりソフトの充実もさることながら、
シネマ・コンプレックスであるとかのハード面の改善も大きいように思う。
ラブ・ストーリーのような小品はビデオでもいい。
けれども、映像にお金をかけた大作はやはり劇場で観たいのだ。
音響も違うし、スクリーンが大きいというのはやはり価値がある。
そして、その映画と「出会う」という第一印象において、
スクリーンのインパクトというのは圧倒的である。
シネマ・コンプレックスと言えば六本木ヒルズのヴァージンシネマだが、
今回は始めての来場となるこの「シネマメディアージュ」。
しかも、これぞ劇場で観るほかはないと思われるタイトル。

すなわち「オペラ座の怪人」である。

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「キャッツ」「エビータ」等でも有名な、
アンドリュー=ロイド=ウェーバーの手になるミュージカル。その映画化。
というわけで台詞もほとんどが歌である。
僕はミュージカルを2回しか観たことがないのだけれども、
(「ミス・サイゴン」と「ウエスト・サイド・ストーリー」だった)、
なんというか「歌劇」というのはお腹一杯になる。
つまり満足度が高い。歌のチカラというのは偉大なのだ。
スケールは小さいながら「8人の女たち」も同じことが言える。

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あまりにも有名な作品、それゆえに王道。
ひねったり奇をてらったりというところは特にない。
それよりも「きちんと」練られたストーリー、安心して観られる偉大なる予定調和。
腰の据わったストーリーは風格なのだろう。これが名作の「柄」というものだ。
それにしてもここまで圧倒されるのは、やはり音楽と歌のチカラ、
そしてアカデミー賞で部門賞確実と言われる美術の美しさのせいかもしれない。
2時間半ほどの上映時間の間、スクリーンの中は常に絢爛豪華、
目に残るは金色の色彩、耳に余韻するその音楽。そして「怪人」の切ない半生。
ミュージカルファンにとっても、満足できる仕上りなのでは。知らないけど。
というわけで「観る」よりも「観賞」といった作品。
映画はシナリオだ。だが「オペラ座」の見どころはシナリオではない。
よってこれは、映画とは呼べないかもしれない。

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怪人は去る。上映終了午後8時前。
夜景と言えばお台場、お台場と言えば夜景。
遠く東京タワー、そして午後に渡ってきたレインボーブリッジ。
海風が寒く、長居は無用だがやはりお約束とばかり東京湾系を眺める。
首都の上空には星など見えない。
そのかわり、地上の街は堕ちてきた星のように明るいのだった。

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夕食は香港へ。
もちろん本物ではなく「台場小香港」である。「デックス東京ビーチ」の6〜7階。
なんというか、とてもお台場らしい空間と言える。
雑貨屋も軒を並べるが、香港らしいネオン、屋台風の店がずらりなのだ。

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思いっきりチープな丸テーブル、ビールと、
鶏肉、ギョーザ、ピータン豆腐、焼きビーフン等で「声の魅力」について話す。

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声と言えば「オペラ座の怪人」、プリマドンナであるエミー・ロッサムの声は抜群で、
(プリマドンナを干されるカルロッタ役はミニー・ドライバー、
あの「グッドウィル・ハンティング」の「イマイチ・ヒロイン」である。
ちなみに彼女だけ吹き替えだったそうだ。どおりでやけに上手いと思った!)
脇を固めるキャストも素晴らしかったが、プリマドンナ・クリスティーヌにとっての
「音楽の天使」であったはずのファントムの声はイマイチであった。

ファントムの武器は色気だったのかもしれない。
by shinobu_kaki | 2005-02-07 16:53 | 人生は映画とともに
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