人気ブログランキング | 話題のタグを見る

終わる漫画たち。

ちょっと、最近の漫画について。


「20世紀少年」


スピリッツに連載中…だったが、「第一部・完」だそうである。
再開は半年後らしい。びっくり。
史上最大・最長ともいえる伏線をめぐらした漫画なわけだが、
最も重要なそれである「ともだち」の正体をはじめ、
一切の伏線が回収されないままだ。どうしちゃったんだろうか。

最近の漫画家の中で巨頭っていうと、
浦沢直樹(「Happy!」「MONSTER」「20世紀少年」ほか)と、
井上雄彦(「スラムダンク」「バガボンド」「リアル」ほか)が浮かぶ。
井上は寡作だし、スタンスもルックスもまるで隠居した炭焼き職人みたいだ。
でも浦沢は違う。マーケットのただ中にいて、しかもトップを走っている。
メジャーでありながら消耗しないというのは実は大変なことなのだ。

今や編集者の役割はいろんな場所で紹介されて有名になっているけど、
昔のようにただの原稿取りのイメージではない。
ほとんど漫画家と同等レベルの作家性と、企画力、批評眼が要求される。
さらにストーリーテリングの能力もだ。漫画家のブレーンに近い。
「手塚治虫を知る編集者」長崎尚志とタッグを組む浦沢直樹は、
そういった製作体制の部分でも先端であると言える。

そんな「チーム浦沢」がリリースする「20世紀少年」に限って、
「グダグダな収束」はありえない…そんな思いが読者側にあるだけに、
あの打ち切りのようなラストの展開には裏切られたという人が多いのだ。

この不自然な(または期待はずれな)終わり方については、
ネットによるバレなどの情報先取り状態に対する、
浦沢サイドの狡猾な戦略だという人もいる。

確かに最近のネットの情報漏えいはすさまじい。
ジャンプ連載中の「デスノート」なんか、
発売日の何日も前からスキャンされた画像が出回ったりしている。
著作権的にもちろん大いなる問題なわけだが、
インターネットの性質上、これを事前に防ぐ手立てはないだろう。


「DEATH NOTE」


その「デスノート」である。僕は単行本派なのでジャンプは読まないが、
最近ちょっとネットで「バレ画像」を見てしまい、気になって立ち読みしている。

なんというか、佳境である。佳境ではあるが、
これだけ盛り上がった人気漫画のクライマックスにしては、
ちょっと満足度の足りないボルテージにとどまってしまっていると思う。

「名前を書くと人が死ぬノート」という古典的ドラえもん風アイデアを、
ここまでダークサイドに飛翔させた作家陣の手腕は素晴らしい。
もともと、週刊連載にあるまじき小畑健の圧倒的画力と、
(特にリュークをはじめとする死神のデザインが魅力的)、
少年漫画にあるまじき大場つぐみの圧倒的なネームの量、
作品としての「デスノート」の魅力はこれらに尽きると思う。

そして主人公にあるまじき夜神月の圧倒的な魅力のなさを補って、
(主人公のくせに、あの恐るべき「内面の無さ」はすごい)、
相手役であるところの「L」のキャラクター造形が抜群に良かった。

僕は不幸にもネタバレを見てしまっているのでここには書かないが、
ともかく「デスノート第二部」はもうすぐ一応の決着をみる。
第三部はあるのだろうか?…ちょっと、厳しいかな。
やるならノートだけを残して「世界」を総入れ替えしないと、と思うけど。


それにしても、ストーリーを考えてセリフもつけて作画して…
漫画家ってものすごい才能だと思うよね。
脚本家プラス映画監督プラス絵描きって感じか。
by shinobu_kaki | 2006-04-27 12:21 | shinoBOOKS

移動祝祭日


by Shinobu_kaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31