2006年 09月 07日
【琉球回遊魚 その3】うりずん大盛況。
東京を発つ前日に、6時からで予約を入れていたのだが、
待ちきれずに開店の5時半から行ってしまった。
ゆいレール安里駅近くにある「うりずん」は、これもまた有名店である。
行くと、カウンターにはもうちらほらと客。
開店とほぼ同時に入ったはずなのだが…これも沖縄時間か。
店内はすごく暗い。なのでカメラに苦労した。光を拾えないのだ。
ふと入り口から外を見ると、外はまだ明るかったりする。
完全に隔離された別空間の趣きだ。
カウンターに座ると、目の前には、巨大な瓶がどすんと鎮座している。
その下にはクースーの壷がある。ひしゃくで掬ってくれるのだ。
かのさとなおさんをして、
「沖縄初心者にとって、あの接客はびびる人もいるかもしれない」
というコメントがあり、いくらか覚悟をして行ったのだったが、
いやいやどうして、にこやかでとても気分の良い接客に触れることができた。
それは僕が「沖縄初心者」ではあるけれど、
「飲み屋初心者」ではなかったからかもしれないが。
店内はまるで土蔵の中のようなしつらえ、酒を飲むのに適した気分になる。
壁にメニューはあるものの、有名店らしく手元にきれいな品書きが。
見ると、なじみの薄い沖縄料理の中身が写真付きで一覧になっている。
ベテランはこういうのを嫌うはずだ。でも初心者にはこの親切さがとても嬉しい。
一杯めのオリオンビールを飲んでいると、徐々に客が入って来た。
絶対に食べた方がいい、この店発祥の「どぅる天」。
めちゃくちゃ美味い。田芋と茎を茹でて炒めたものらしい。
ホクホクとしかしネットリとして、なんというか新しい食感である。
聞いていると、来る客来る客がみんな頼んでいる。店の看板メニューなのだ。
やはりはずせないゴーヤチャンプルー。
とても一般的な沖縄料理だけに、店によって味わいが明確に違う気がする。
そういった意味で、やはりベーシックにどこででも頼みたい。
お椀にアツアツで出てくるラフテー。美味し。
この他に海ぶどうも頼んだが、とにかく店が暗くて写真が上手く撮れない!
カメラマンはそこで「ま、いいや」とあきらめ、食べる飲むに徹しましたとさ。
この時点で店は満席。立って待っている客も現れた。
泡盛はいつも迷うが、そこでしか頂けないもの、という観点で
ここでは「うりずん」特製のクースーを頼む。
カウンターの中の瓶から柄杓で泡盛を汲んでくれる。
その昔「泡盛は水で割りながら」との誓いを立てた私は、
ロックグラスにカラカラと、水を注ぎながらゆっくりと頂く。
添えてあるのは細長いお品書き。
そろそろ帰ることにするが、お勘定を頼んでも混んでいるのでなかなか来ない。
「お勘定の方、あと1時間待ってネ」という店員のオヤジギャグ(女性だったけど)。
ちょうど泡盛も切れたところで最後の1滴をグラスに注いでいると、
カウンターの奥に座っていた常連客らしき人が、
「もう、飲めませんから」と瓶に残った泡盛を譲ってくれた。
もちろん、ありがたく頂戴する。
こういうのってとても楽しいよね。もらうにしても、あげるにしても。
なにせ5時半スタートなので、じゅうぶん満足して店を出ても7時台。
徐々に増えた待ち客は店の外まで溢れていた。
もともとかなりの人気店ということもあるし、
この日が日曜日で他の店が閉まっていたということもある。
調べたが、那覇は日曜日が休みの店がとても多いのだ。
しかし「うりずん」、有名店だけのことはある。
「こぢんまりとして料理もいけて、泡盛の種類がめちゃ豊富な沖縄らしい店」という、
客のわがままなニーズを十分に満たす良店ではないだろうか。
いつか再訪を希望する。そして「どぅる天」をまた食べるのだ。