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EURO2004開幕。

欧州限定のW杯、EURO2004がポルトガルではじまる。
大陸ごとの出場枠がある実際のW杯と違って、
サッカーの盛んな欧州ではチーム力の差が少ない。
EURO2004が拮抗した試合が多く面白いと言われるゆえんだ。
時差の関係でキックオフが深夜になってしまうわけだが、
4年前、EURO2000の決勝はリアルタイムで見ていた。
場所は高田馬場。とあるサッカーバー。

4年前ということは日韓W杯の2年前。
当時よくサッカーの話題で盛り上がった飲み友達がいて、
EURO2000の決勝を飲みながら一緒に観ようということになった。
今ほどあちこちの店でサッカー中継をしている訳ではなかったが、
彼が高田馬場の有名店を見つけてきたのだった。
決勝のカードはイタリア×フランス。
日曜の深夜というか月曜の未明、午前3時台キックオフ。
きついが、何とかならない訳ではない。
次の日の朝から会議だったが、寝ないで行けばいいか、と。

地下1階への狭い階段を降りると、決して広くない店内には
日本在住の外国人たちで満ちていた。熱気。ビール。

よく見りゃ女性不在。満タン、男汁。
店内の両側に大きなスクリーンが1枚ずつ。
なんとなくそれぞれイタリアとフランスの応援サイドに別れ、
僕と友達はイタリアのサイドで観る事にした。なんとなくだ。
試合が始まると歓声と怒号が店に満ち、たちまち無国籍な雰囲気になった。
イタリアのデルベッキオのゴールに湧く高田馬場イタリア・サイド。
物凄い熱さ。情熱というか熱気もそうだが、
店内は実際に熱く、汗びっしょりになった。
時間は午前4時を回っていた。

そこから試合終了直前までの事はよく覚えていない。
記憶にあるのはイタリアのデルピエロが
決定的なシュートをはずした事くらいだ。
大会を通してデルピエロは精彩を欠いていた。
しかし試合終了直前の事はよく覚えている。
守備には定評のあるイタリア、1-0のまま試合は終了かと思われた。
もうすぐ90分という頃、フランスのキーパー・バルテズがボールを持つと、
ペナルティエリアの前まで走ってボールを味方に送る。
バルテズが「まだだ」というような顔をしていた。
その時「ああ、こいつはあきらめてないんだなあ」と思った。
そう思った直後、フランスのヴィルトールが
イタリアのキーパー・トルドの足下を破った。
フランスの執念が生んだ同点劇。
背中のほうで爆発的な大歓声が聞こえた。

試合は結局延長に入り、
フランスがトレゼゲのファインゴールで逆転勝ちをおさめ、
この2年前のW杯に続いて優勝。
イタリアは手の中に掴んだ優勝をするりと逃がし、
店内は外国人が大騒ぎで、凄い事になっていた。
すっかりイタリアサポーターになっていた僕たちは、
がっくりとうなだれて店を出た。
数時間前「どっちでもいいけどイタリア側」だった僕らが
イタリアが負けた事実に本当にがっくりしていた。

外に出ると当たり前だがすっかり朝で、
夏のような日射しが応援の激情の疲れと敗北感にこたえた。
高田馬場のホームで友人と別れ、
一度家に寄って汗でよごれたシャツを替え、シャワーを浴びて、
ぐったりと疲れてはいたが会議のために出社したのだった。
会議のあと、言われた。「顔、死んでますよ」

フランスが勝ったのは、つまるところ
2年前のW杯で勝ったと言う世界王者としての自信というか、
「勝者のメンタリティ」を持っていたからだと思う。
自分で直接は攻撃できないキーパー、バルテズの目は
味方が点を取ってくれる事をあきらめていなかった。

大きなトーナメントを制するのは戦力もさる事ながら、
そういった勝つためのメンタリティがあるかどうかだと思う。
それはチーム単位、国家単位の「人格」のようなものであり、
それはサッカーの代表に対するバックアップ体勢であるとか、
国民のサポートのボリュームというところに反映される。
そういった全ての末端としてサッカーの代表チームがあるんじゃないか。
少し前のEURO、ユーゴの代理出場で優勝をさらった
デンマークのようなチームもあるが、
基本的には勝つチームは勝つべくして勝っている、と。
そんな事を思う。

戦前の予想としては、
2002年の反省を踏まえて万全のフランスが有利、との事。
しかしここ数年下克上が流行しているのも最近のさかー事情。

EURO2004開幕。
さて。
by shinobu_kaki | 2004-06-12 19:42 | さかー考

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