2007年 06月 17日
BOXING.
ここは聖地・後楽園ホール。
特等席でボクシングを生観戦してきました。
初めて見るボクシングのリングは、
スポットライトに浮かび上がってすごく綺麗に見える。
そしてボクサーはもっと綺麗だ。
ストイックな減量とトレーニングで、
極限まで無駄をこそぎ落とした若くシャープな肉体。
それをまとうのは「相手を倒す」というシンプルな意志だけだ。
なにしろ美しくないはずがないのである。
今回は「モンスター賞金マッチ」と銘打たれ、
強豪に挑戦者が挑むというマッチングとなっている大会である。
もちろん青コーナーがチャレンジャーであり、
僕らの席はその青コーナーの花道の脇にあった。
挑戦者が目の前を通ってリングへと向かう。
そこらを歩いているだけでは一見華奢に見える選手たちが、
リングに上がると立派な戦士としてぐっと大きく見える。
そのギャップが不思議だった。
そんな土曜日の後楽園ホールは、
素性のしれない人種であふれていた。
「尊敬する選手」に判定で勝ち、リングを下りてくる選手。
応援団に祝福を受け、嬉しそうだ。
この日は派手なKOシーンというのはほとんどなく、
6ラウンドや8ラウンドをフルで闘うという試合が多かった。
なんだかんだとトータル5時間近くも観ていただろうか、
時間だけを思うなら途中で飽きてしまいそうなものなのだが、
まったくそんなことはなかった。最後まで熱中して観ていた。
ボクサーは、休まない。
試合中のボクサーは一瞬たりとも気を抜くヒマがない。
わざと転んで時間を稼ぐこともできないし、
タイムをかけることも不可能だ。
そんな「真剣の斬り合い」のようなリング上の緊張感が、
観客の時間を止めるのかもしれない。
最前列の席に座っているので目の前に手すりがある。
よく見ると、小さなへこみがいくつもあった。
興奮した観客が、ここを叩くことで出来たへこみなのだろう。
これもまた後楽園ホールの歴史と伝統のひとつなのだ。
この日のメインは渡嘉敷ジムのホープ・
元東洋ライトフライ級王者・現世界9位である山口真吾選手の登場。
素人目に見てもパンチはコンパクトで速いし、動きもシャープ。
そしてライトフライ級ってことは50kgに満たない体躯のはずなのだが、
とてもそうは見えないほどにパワフルな印象があった。
重そうなパンチの音が響き渡る。
試合は10ラウンド闘い抜いて山口の3-0判定勝ち。
間近で見たボクシングは素晴らしく迫力があった。
それは見た目というよりも、リング上で斬り合う選手たちの真剣さが、
客席にまで伝播する、そんな感じ。独特の緊張感があった。
特等席にご招待いただき、友人には感謝しきりである。
試合後、さっきまでリングにいたボクサーが、
着替えてそこらで談笑しているのも新鮮ではあった。
帰りの通路、タバコの煙で真っ白な中を通っていった。
ホールのある青いビルを一歩出ると、
この日はドームでKAT-TUNのライブがあったことで、
とにかく「そういう」女性でいっぱいだ。
ドームシティのデニーズも「そういう」女性でぎっしり。
こりゃもう「KAT-TUNデニーズ」だ。
見ると水道橋あたりの飲み屋は「KAT-TUN爆音」という看板を出すところ多数。
つまり店内に大音量(爆音)でKAT-TUNを流していますので、
ライブの余韻に浸りながら飲むのはどうですか、というわけだ。
これを商売上手と言わずしてなんという。
ストイックな男の殴り合いと、アイドルへの嬌声。
おそらくは決して混じり合うことのない、
両極端な世界の共存が見られた水道橋の夜だった。
あ、やっぱりこういうの見ると血って騒ぐもので、
帰りにゲームセンターでパンチングボールを叩いて帰りました。