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黒澤明「羅生門」

誰もが観ているであろう超メジャー、という映画たちの中で、
僕がまだ観ていない作品というのはたくさんある。
思いつくのは「ゴッドファーザー」シリーズがそうだし、「第三の男」などもそう。
「ディアハンター」「真夜中のカーボーイ」なども未見である。

でも古い映画の中でも、名作と言われるものはやっぱり良くできていて、
「市民ケーン」は若きオーソン・ウェルズにしびれたし、
「アラビアのロレンス」は完全版DVDを買ってしまうほど良かったし、
こないだ観たチャップリンの「街の灯」は表現者チャップリンの凄みを感じた。
20代の初め、グリフィスの伝記を読んでは「イントレランス」のビデオを買い、
現代の感覚とは全く違う無声映画の大作を部屋でひとり観ていたりもした。
かように僕は時々古い映画を観ようと思い立つことがあるんだよね。

話がそれたが、そんな「まだ観ぬ名作」の中に黒澤明作品がある。
恥ずかしながら僕は黒澤映画をほとんどカバーしていない。
やはり20代の初め頃に「夢」という作品を観たくらいで、
決して多作とは言えない世界の巨匠の映画をまったく観ていないというのは、
日本人としていかがなものかという思いがちょっとだけある。

黒澤明「羅生門」_a0022014_22543111.jpg

というわけでつい先ほどだが、黒澤映画「羅生門」を観た。
「羅生門」は芥川龍之介の同名の短編が有名で、これは僕も何度も読んだ。
だから映画を観終わった感想のひとつとしてあったのは、
「『羅生門』ってこういう話だっけ?」というものだった。
ウェブで色々と調べると、この映画は芥川は芥川でも、
「薮の中」という小説から作中のエピソードのモチーフを得ており、
そのエピソードを語る「今」の場として、雨の羅生門があるのであった。
というわけで印象が違って当然なのである。
だから映画には死体の髪を抜くあの老婆も出てこない。

それにしても三船敏郎は顔がいいね。あの濃さはちょっと凄い。
この映画の白眉は京マチ子、まさに鬼気迫る迫力、なんだろう、眼力がすごい。
そして「羅生門」は虚実入り乱れる構成のため、当時の大映社長がオフィシャルで、
「この映画はわけがわからん」と発言したというのもまあ分からんでもない。
とはいえ、現代の感覚からするとディテールは実にはっきりとしていて、
映画そのものは分かりづらくはないんだけれどね。

TSUTAYA DISCUSから届いたもう1枚のDVDは、やはり黒澤明の「乱」である。
そう、ちょっと「クロサワ」をまとめて観てみようと思っている次第。
僕はあと小津安二郎も押さえてないので、こちらもじきにと思っている。

古い日本映画と言えば、今日渋谷を歩いていて見つけたのだが、
「たばこと塩の博物館」で川島雄三の「幕末太陽傳」の特別上映があった。
観て行こうかとも思ったけれど、「幕末太陽傳」はもう何度か観ていたし、
(かつてDVDで持っていたのだ。友達にあげてしまったけれど)、
ちょっと買い物もあったので今回は見送ったのだった。
代わりに、というほどじゃないけれど、代々木公園近くのオープンスタジオで、
いまや時の人、東国原英夫宮崎県知事を見かけた。
道路に面した中の見えるスタジオで、サイバーエージェント藤田晋氏と話しており、
やっぱり人気なんだね、そこそこの人だかりができていた。


wikipedia「羅生門」(映画)
wikipedia「羅生門」(小説)
芥川龍之介「羅生門」全文
wikipedia黒澤明
by shinobu_kaki | 2007-12-22 22:57 | 人生は映画とともに

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