人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ツィゴイネルワイゼン。


ふと、ツィゴイネルワイゼンの「ツィゴイネル」つまり「ツィンガル」って、
青森県の「津軽」と共通項があるんじゃなかったっけ?と思い、
検索したら1ページだけありました。

ジプシーと都市文化のバレーと農耕民族のサッカー
物書き冥利に尽きるまで


この中に、書籍からの引用として三浦雅士の言葉が載せられてあります。
僕の記憶は確か、「村上龍全エッセイ」の対談か何かだったと思う。

実際どうなんだろうと思うけれど、真偽云々はともかく、
そういった説があることは面白いと思うし、興味深い。
ブックマーク的に以下にちょっと引用させていただきます。
長くなるけど。


 舞踏っていうのは 3 種類って言うか、大きくいうと 2 種類あるんだよね。
 それは“舞踏”って書くでしょ。その舞うっていうのは回ることなんだね。
 これはだいたい農耕民族のものなんだ。で、特徴は大地から足をはなさないわけ。
 たとえば日本で激しい踊りだって言われてても、
 四国の阿波踊りみたいなのでも、絶対地面から足を離してないでしょ。
 ピュッ、ピュッって手を交互に出して、こういうふうに行くだけじゃない。

 で、農耕民族。その典型的なのは能だね。
 それともう一つは踊りっていうのがあって、それは跳ねるやつなの。
 その典型的なのはバレエだけれでも、その跳ねるのはどこから来るかというと…。

 能の跳ねるっていうのは踵で大地を踏むことなんですよ。
 ところがバレエの跳ねるっていうのは爪先なんだよ。
 爪先の文化と踵の文化とは全然違うわけ。農耕と遊牧民。

 爪先で立っていないとフェイントできないんだからね。
 バスケットボールでもサッカーでもラグビーでもアメリカン・フットボールでも。

 片一方に、大地から足を離さない舞というのがあって、
 片一方に、ぽんぽこ、ぽんぽこ跳ねるのがあるでしょ。
 その中間のがあって、それは大地を蹴るんだって。
 これは五木寛之の説なんだけど、
 その大地を蹴って去っていくっていうふうなのがジプシーだっていうのよね。

 大地を蹴って去っていくっていうのは、つまり移動するっていうことだね。
 つまり定着しないの。バレエは都市に定着するっていうわけ、彼の言うには。
 都市に定着した連中っていうふうなのがバレエをやって、
 農村に定着したものがやるのが舞だと。

 音楽も全くそうね。対応するとおもうね。
 いちばん簡単な対応っていうのは 3 拍子だよね。
 日本の舞踏は基本的に 2 拍子もしくは 4 拍子でしょ。
 中国は 2 拍子、 4 拍子。中国も日本も舞の文化なんだね。
 つまり大地から足を離さない稲作民族の文化なのね。
 ところが韓国は違うのね。 3 拍子。やっぱり騎馬民族なのよ。

 日本の踊りは基本的に全部舞いの文化なの。でも例外が一つあるんだよね。
 と、ぼくはあえて思ってんだけど、青森のねぶたなのよね。
 弘前のねぶたっていうのはやっぱり足をペタッと付けて地から離さない。
 ただ練り歩く。

 ところがね、青森のねぶたっていうのはピョンピョン跳ねるのね。
 それは非常に例外的なんです。珍しいわけだよ。

 本州の北端の津軽のねぶたはピョンピョン跳ねる。なぜか。
 ザンガロっていうのはフランス語でジプシーのことでしょ。
 で、ジプシーていうのはツィンガルっていうんですよ。
 ツゴィネルワイゼンのツゴィネル。
 津軽というのはそのツィンガルという言葉が変形したんだって説があるんだよね。
 だからフラメンコ・ギターと津軽三味線のオリジンは
 ユーラシアのど真ん中で一致している。

 片一方は東に来て片一方は西に来た。そのときに跳ねるっていうか、
 大地を蹴るっていうふうなのも、東の果てに行ってねぶたになって、
 西の果てに行ってフラメンコになったと。


ところでいま、農耕民族・狩猟民族みたいなくくりってどうなんだろう?
DNAからくる民族的性格付けの意味としてよく使われた印象だけど、
もともと人類はすべて、狩猟生活の期間のほうがうんと長かったわけでしょう。
日本人イコール農耕民、ヨーロッパ人イコール狩猟民みたいなのって、
いまや少々アバウトというか乱暴な気もするのだが。
確かにキャッチーで分かりやすいから流布しているのもわかるけどね。


ところで三浦雅士といえば、
以前エントリしたことがありましたね。これだ。

打楽器革命
by shinobu_kaki | 2010-01-27 13:09 | 言葉は踊る。

移動祝祭日


by Shinobu_kaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31